授業コード 50006312 単位数 4
科目名 卒業研究 クラス 12
履修期 年間授業 カリキュラム *下表参考
担当者 岡西 政典 配当年次 *下表参考

授業の題目 卒業研究:海産無脊椎動物の分類学的研究
Graduation Research: Taxonomic Study of Marine Invertebrates
学修の概要 本科目では,海産無脊椎動物を対象に,標本にもとづく分類学研究を一年間かけて遂行する.テーマは各自が設定し,材料の確保(採集・借用・既存コレクションの利用),形態観察(形質抽出,計測,図版作成),文献・データベース調査(原記載・改訂・同物異名の検討)を行う.必要に応じてDNA情報を取得し,系統解析等を通じて同定・分類学的判断の根拠を補強する.最終成果として,分類学的根拠が追跡可能な卒業論文(本文+図表+付録データ)を完成させる.
学修の到達目標 1.海産無脊椎動物の同定を,形態形質と文献根拠にもとづいて説明できる.
2.観察データ(形態・画像・配列等)を再現可能な形式で整理し,根拠にもとづく分類学的結論を導ける.
3.記載・比較・系統推定の基本的作法を理解し,学術論文形式で研究成果を文章化できる.
4.標本・データの取扱い(ラベル情報,採集記録,引用・著作権,研究倫理)を遵守して研究を進められる.
授業計画 第1回 ガイダンス:研究の進め方,安全・倫理,標本取扱いとデータ管理の約束事
→ 研究倫理・安全,研究ノートとデータ管理の基本,年間の進め方を理解する.
第2回 分類群の基礎整理:対象群の概説,主要な同定形質,参考図鑑・キーの使い方
→ 対象群の主要形質を説明でき,キーや図鑑で同定の入口に立てる.
第3回 原記載を読む:タイプ概念,記載論文の読み解き,必要情報の抜き出し
→ 原記載から標徴形質・産地・タイプ情報を抽出し,要点を整理できる.
第4回 研究テーマ案の設計:対象群×材料×問い(未整理群/地域差/近縁種比較など)
→ 研究の「問い」を文章化し,材料・方法・成果の見通しを立てられる.
第5回 材料と到達目標の確定:標本・写真・配列等の入手可能性と研究範囲の再設定
→ 到達可能なスコープに絞り,評価可能な目標(アウトプット)を定義できる.
第6回 研究プロトコル作成:観察項目,計測法,撮影条件,記録様式(再現性の担保)
→ 再現性ある観察・記録手順(プロトコル)を自分で設計できる.
第7回 研究計画書の提出:材料一覧,工程表,必要機材,想定アウトプット
→ 工程表・材料一覧・必要資源を含む研究計画書を作成できる.
第8回 標本調査①:ラベル情報の整備,採集・来歴情報の標準化(例:地点,深度,日付)
→ 標本情報を標準形式で整理し,追跡可能な記録(メタデータ)を整備できる.
第9回 標本調査②:形態観察の実装(解剖・観察・計測),写真図版の基本設計
→ 観察・計測・撮影を実施し,図版の構成案を作れる.
第10回 比較の作法:近縁種比較の組み立て(診断形質,変異,成長段階,保存状態の影響)
→ 何を比較すべきか(形質・変異・保存影響)を踏まえ,比較枠組みを立てられる.
第11回 分子データ導入の判断:目的に応じたDNA利用(バーコーディング/系統推定/集団差)
→ 分子データが必要かどうかを研究目的から判断し,利用方針を説明できる.
第12回 データ整形①:計測表・形質表・画像管理(ファイル命名,メタデータ,バックアップ)
→ データを破綻しない形で管理(命名規則,表形式,バックアップ)できる.
第13回 データ整形②:分布・産地情報の可視化(地図化,深度帯整理,採集努力の偏り確認)
→ 産地・深度などを整理し,分布の特徴や偏りを読み取れる.
第14回 中間報告①:問題設定と材料の妥当性
→ 研究目的・材料・方法を他者に説明し,指摘を受けて修正できる.
第15回 中間報告②:観察結果の速報と課題検討
→ 暫定結果を要点化し,次に潰すべき課題を明確化できる.
第16回 中間報告③:同定仮説・比較計画の再調整
→ 同定仮説を言語化し,代替仮説も含めた比較計画に落とし込める.
第17回 解析①:形態データの扱い(変異の見積り,図表化,必要に応じて統計の基礎)
→ 形態データを図表にまとめ,変異の扱い(個体差/種差)を説明できる.
第18回 解析②:配列データの基礎(アラインメント,距離,系統樹推定の読み方)
→ 系統解析結果を読み,支持値や距離の意味を基本レベルで解釈できる.
第19回 解析③:結果の統合(形態×分子×文献根拠の整合性チェック)
→ 複数証拠の整合性を点検し,結論の強さ/弱さを見積もれる.
第20回 分類学的結論の整理:同定根拠の明文化,未解決点と代替仮説の提示
→ 同定・分類判断の根拠を文章化し,未解決点を適切に残せる.
第21回 執筆①:材料・方法の書き方(再現可能性,標本情報,データ公開の書式)
→ 方法を第三者が追試できる形で書ける(標本情報・手順・解析条件).
第22回 執筆②:結果の示し方(診断記載,図版,表,系統樹,分布)
→ 結果を「図表+文章」で過不足なく提示できる(診断・比較の要点化).
第23回 執筆③:序論・考察(既往研究との位置づけ,分類学的意義,今後の課題)
→ 既往研究に位置づけ,意義と限界を踏まえた考察を書ける.
第24回 原稿作成①:本文初稿の提出(構成チェックと改稿計画の策定)
→ 論文全体の骨格を作り,論理の穴を自己点検できる.
第25回 原稿作成②:図表・付録データの完成(測定表,標本リスト,配列情報等)
→ 図版・表・付録(標本リスト等)を整え,本文との整合を取れる.
第26回 原稿作成③:最終稿に向けた推敲(用語統一,引用整備,論理の飛躍の除去)
→ 学術文体としての品質(用語,引用,根拠の明示)を仕上げられる.
第27回 最終発表①:研究の要点と根拠提示
→ 研究の核心(問い・根拠・結論)を短時間で論理的に説明できる.
第28回 最終発表②:研究の要点と根拠提示
→ 質疑を通じて結論の妥当性を再確認し,反映点を抽出できる.
第29回 最終発表③:研究の要点と根拠提示
→ 指摘を受けて最終稿に反映する優先順位を付けられる.
第30回 提出・総括:最終版提出,データ保全(再利用可能な形での納品)
→ 成果物を規定形式で提出し,データと記録を再利用可能な形で整理できる.
授業外学習の課題 毎週,研究ノートを更新し,進捗・判断根拠・次の作業を記録すること.加えて,対象群に関連する一次文献(原記載,改訂,レビュー)を計画的に読み,毎回「要点(何が分かったか)」「未解決点(何が分からないか)」「自分の研究への影響(何を変えるか)」の3点で短く整理すること.
履修上の注意事項 ・遅刻・欠席の扱いは大学の規程に従う.
・実験・観察・標本取扱いに伴う安全管理を徹底し,採集・借用標本の扱い,画像・データの引用,研究倫理を遵守すること.
・1論文の精査には1-2時間程度かけること
・学期末に卒業データを提出する.
・公認欠席は単位認定要件には影響しないよう配慮する.
成績評価の方法・基準 卒業論文(本文の論理性・分類学的根拠の明確さ・図表と付録の整合性)を中心に評価する(100%).希望者には講評を返す.
テキスト 指定しない
参考文献 海産無脊椎動物の分類学・系統分類学に関する学術誌(例:Zootaxa,ZooKeys,Systematics and Biodiversity,Marine Biodiversity,Species Diversity ほか)
(加えて,国際命名規約,主要データベース・同定キー等を適宜参照する)
主な関連科目 生物学,生物情報と環境,生命科学,生物調査実習,環境ゼミナールa, b
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
随時受け付ける(メール等:mokanish@shudo-u.ac.jp)

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
人間環境学部人間環境学科(ゼミナール科目) FHES47101 2018~2021 4 - - - - -