| 授業コード | 24011600 | 単位数 | 2 |
| 科目名 | 社会学文献講読演習Ⅲ | クラス | |
| 履修期 | 第3学期 | カリキュラム | *下表参考 |
| 担当者 | 池原 エリコ | 配当年次 | *下表参考 |
| 授業の題目 | ネラ・ラーセン『Passing』を読む:境界線の構築とアイデンティティの社会学 |
| 学修の概要 | 本演習では、ネラ・ラーセンが1929年に発表した小説『Passing』を精読し、社会的な「境界線(ボーダー)」がどのように構築され、維持され、また攪乱されるのかを社会学的に考察します。 「パッシング(白人と偽って生きること)」という行為を単なる個人の心理問題としてではなく、人種主義、家父長制、階級構造が絡み合うマクロな社会構造の現れとして捉え直します。受講生は、テキストの精読(クローズ・リーディング)と社会学理論(交差性理論、クィア理論、相互行為論など)の往還を通じて、現代社会にも通じる「アイデンティティの流動性と抑圧」について批判的に議論します。 |
| 学修の到達目標 | 1. 構造主義、交差性(インターセクショナリティ)、クィア理論などの基礎的な社会学概念を理解し、説明できる。 2. 文学作品から社会学的課題(人種・ジェンダー・階級の交差性)を抽出するスキルを習得する。 3. 提示された論点について、他者の意見を傾聴しつつ、自身の論理的な意見を口頭および文章で発信できる |
| 授業計画 | 第1回 | 第1部:導入と理論的枠組み オリエンテーションと導入 授業の進め方、評価方法の確認。ハーレム・ルネサンスの歴史的背景と著者ネラ・ラーセンの生涯。 |
| 第2回 | 社会学概念の整理:パッシングと交差性 「パッシング」の定義。人種・ジェンダー・階級の交差性(インターセクショナリティ)の理論的背景。 |
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| 第3回 | 第2部:テキスト精読と社会学的分析. Part One "Encounter" (1) — 偶然の再会と空間の社会学 シカゴの高級ホテルの屋上という「空間」。誰がその空間にアクセスできるのか(空間の排除と包摂)。 |
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| 第4回 | Part One "Encounter" (2) — 視線と監視の相互行為 アイリーンとクレアの視線の交錯。誰が「見つめる側」で、誰が「見られる側」か。ゴーフマンの相互行為論の応用。 |
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| 第5回 | Part One "Encounter" (3) — 白人至上主義の家庭空間 クレアの夫ジョン・ベロウの登場。露骨な人種差別発言と、それを「やり過ごす」パッシングの心理的・社会的コスト。 |
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| 第6回 | Part Two "Re-encounter" (1) — ハーレムというトポス 舞台のニューヨーク(ハーレム)への移動。黒人ブルジョアジー(中産階級)の生活様式と「黒人の誇り(Racial Pride)」。 |
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| 第7回 | Part Two "Re-encounter" (2) — 階級意識と消費文化 アイリーンの家庭環境。メイドの存在、衣装、パーティー。黒人コミュニティ内部における階級格差と分断。 |
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| 第8回 | Part Two "Re-encounter" (3) — 母性とジェンダー・ロール 「良き妻・良き母」を演じるアイリーンと、家庭を捨てるクレア。1920年代のアメリカにおける女性の役割規範。 |
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| 第9回 | Part Three "Finale" (1) — クィア・ディザイア(性愛の攪乱) アイリーンがクレアに抱く、憧れと嫉妬が入り混じった感情の分析。異性愛規範(ヘテロノーマティビティ)への揺さぶり。 |
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| 第10回 | Part Three "Finale" (2) — 語りの不確実性と主観性 アイリーンの視点(三人称一視点)が持つ歪み。社会学的調査における「語り(ナラティヴ)」の信頼性を考える。 |
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| 第11回 | Part Three "Finale" (3) — 崩壊とラストシーンの衝撃 クレアの転落死。誰が彼女を突き落としたのか(あるいは自殺か事故か)。社会秩序の回復と犠牲。 |
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| 第12回 | 第3部:ゼミ生による発表と現代的展開 研究発表会 (1) — 人種と階級の交差性 受講生による個別発表(テーマ例:ベロウの差別意識と構造的暴力、ハーレム内部の階級格差)。 |
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| 第13回 | 研究発表会 (2) — ジェンダーとクィアの視点 受講生による個別発表(テーマ例:アイリーンの抑圧されたセクシュアリティ、母性神話)。 |
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| 第14回 | 現代社会への接続:「見えないパッシング」 現代におけるパッシング(学歴、性的指向、国籍、精神疾患などの隠蔽・同化)について、現代の社会問題と絡めた全体討論。 |
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| 第15回 | オンデマンド (11/16)・'総括とリフレクション 15回の講義のまとめ。演習を通じた学びの共有。 |
| 授業外学習の課題 | '事前学修(2時間程度): テキストの通読: 指定された章を読み、全体の論理構成を把握すること。 キーワードの抽出: ワークシートに記載された英語のキーフレーズ(Key Phrases)を精読し、自分なりの仮訳と疑問点をノートにまとめておくこと。 議論用メモの作成: ワークシート内の「Question」に対し、自分の経験や現代社会の事例を最低一つ挙げたメモを準備すること。 事後学修(2時間程度): 議論のリフレクション: 授業内で行われた議論を振り返り、自分の考えがどう変化したか、あるいは新たな問いが生まれたかをリフレクション・ログ(短い感想文)に記録すること。 |
| 履修上の注意事項 | 公認欠席は期末試験の受験要件には影響しないように配慮します。 公認欠席時の資料は配布しますので、指示に従って受け取ってください。 |
| 成績評価の方法・基準 | 授業への積極的参加 (Participation) 40% 議論への貢献、他者の意見に対する誠実な応答。 事前準備ワークシート (Worksheets) 20% 予習時間が適切に確保され、独自の問いや視点を持って授業に臨んでいるか。 リフレクション・ログ (Reflective Logs) 40% 授業での学びを自分なりに咀嚼し、英語概念を正確に使いこなせているか。 |
| テキスト | パッシング/流砂にのまれて PASSING / QUICKSAND ネラ・ラーセン(著)、鵜殿えりか(翻訳) 出版社 : みすず書房 発売日 : 2022/3/18 |
| 参考文献 | 追加資料は授業中に配布します。 |
| 主な関連科目 | 人種、ジェンダー、セクシュアリティ、階級に関する理論。 |
| オフィスアワー及び 質問・相談への対応 |
授業の前後でも質問に応じますが、オフィスアワーでも対応できます。その際はメールにて予約をとってください。授業内容に関する質問ならば、次回の講義冒頭で全体フィードバックという形で行います。 |
| 所属 | ナンバリングコード | 適用入学年度 | 配当年次 | 身につく能力 | ||||
| 知識・技能 | 思考力 | 判断力 | 表現力 | 協創力 | ||||
| 人文学部社会学科(専門演習科目) | 24400 | 2024~2026 | 3・4 | - | ○ | - | ○ | ○ |