| 授業コード | 24011400 | 単位数 | 2 |
| 科目名 | 社会学文献講読演習Ⅰ | クラス | |
| 履修期 | 第1学期 | カリキュラム | *下表参考 |
| 担当者 | 池原 エリコ | 配当年次 | *下表参考 |
| 授業の題目 | 境界線と魂のゆくえ:W. E. B. デュボイス『黒人のたましい』を精読する 前半 (Beyond the Color-line: A Close Reading of W. E. B. Du Bois’s "The Souls of Black Folk") |
| 学修の概要 | 「20世紀の問題は、人種境界線の問題である」。1903年に発せられたこの予言は、120年以上経った現代社会においても驚くほど鮮烈な響きを持っています。本ゼミでは、黒人知識人W. E. B. デュボイスの主著を1年(第1学期、2学期)かけてじっくりと読み解きます。第1学期は、デュボイスの代名詞とも言える概念の理解と、南北戦争後の「再建期」の歴史的文脈を整理することに重点を置きます。 「二重意識(Double-consciousness)」や「帳(The Veil)」といった重要な概念を英語原典と日本語訳を照らし合わせながら精査し、人種・階層・アイデンティティの葛藤を学びます。アメリカの歴史的文脈を理解するだけでなく、それらの概念を現代日本における「生きづらさ」や「社会的分断」に接続し、議論することを目指します。 英語に自信がない学生も歓迎します。大切なのは、言葉の裏側にある『痛み』や『希望』を感じ取ろうとする想像力です。 |
| 学修の到達目標 | ゼミの目的:Purpose 本ゼミの目的は、W. E. B. デュボイスの古典的名著『黒人のたましい』の精読を通じて、「他者の視線が自己形成に与える影響」と「社会構造が生み出す分断」を深く理解することにあります。120年前のアメリカ南部という文脈を学びつつ、そこで生まれた哲学を現代の日本社会や自分自身のアイデンティティに引き寄せて再解釈する力を養います。 ゼミの到達目標:Goals 1. 概念の習得: "Double Consciousness" や "The Veil" などの基幹概念を、英語と日本語の両方で論理的に説明できる。 2. 歴史的洞察: 奴隷制廃止後のアメリカ社会の葛藤(教育、宗教、経済)を多角的に論じる事ができる。 3. 批評的思考: テキストの議論を、現代日本におけるマイノリティ問題や自己の葛藤に応用して議論できる。 4. バイリンガル読解: 英語原典のキーワードに触れ、翻訳だけでは捉えきれない語彙のニュアンスを理解する。 |
| 授業計画 | 第1回 | イントロダクション:目標: デュボイスの生涯と時代背景を理解し、ゼミの進め方に慣れる。 内容:1903年のアメリカ南部の状況と、当時の社会学の役割について。 |
| 第2回 | 第1章:読解編 目標: 日本語訳で「二重意識(Double-consciousness)」の文脈を把握する。 内容:なぜ彼は「私」の物語から書き始めたのか?物語の構造を読み解く。 |
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| 第3回 | 第1章:対話編 第1章の冒頭に含むアーサーシモンズの「水の泣き声」の詞と「魂の苦闘」を検討する 目標: "Looking at one’s self through the eyes of others" の一文を精読し、現代日本に応用する。 内容:SNSや世間体など、現代の「他者の視線」との共通点を探る。 |
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| 第4回 | 第2章:読解編 目標: 南北戦争後の混乱と、自由局(Freedmen's Bureau)の限界を理解する。 内容:制度による解放がなぜ完全な自由をもたらさなかったのか |
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| 第5回 | 第2章:対話編 目標: "The problem of the color-line" の一文を精読し、境界線の正体について議論する。 内容:目に見える壁と、心の中にある壁の違いについて。 |
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| 第6回 | 第3章:読解編 目標: ブッカー・T・ワシントンの思想(実利と妥協)を多角的に理解する。 内容:当時の黒人リーダーの苦渋の選択と、それに対するデュボイスの立場。 |
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| 第7回 | 第3章:対話編 目標: "Adjustment and submission" をキーワードに、社会の中での「妥協」の功罪を論じる。 内容:生き残るための妥協はどこまで許されるのか。 |
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| 第8回 | 第1-3章 総括回 目標: ここまでの主要概念を統合し、自分の言葉で小論文(リフレクション)を書く。 内容:中間振り返り。概念が自分の現実にどう響いているか |
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| 第9回 | 第4章:読解編 K目標: 田舎の教師時代のジョジーの物語から、教育への情熱と絶望を読み取る。 内容:文学的な叙述の中に隠された統計的な真実を探る。 |
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| 第10回 | 第4章:対話編 目標: "How shall man measure Progress?" を精読し、真の「進歩」とは何かを問う。 内容:GDPや数値ではない、人間の尊厳に基づいた進歩の定義。 |
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| 第11回 | 第5章:読解編 目標: アトランタの都市化を「黄金の偶像」への崇拝として批判的に捉える。 内容:経済的成功が精神性をどう破壊するか、神話的メタファーから学ぶ。 |
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| 第12回 | 第5章:対話編 目標: "If the golden idol be set up..." を精読し、学問と商業主義の関係を論じる。 内容:大学教育の目的は、稼ぐためか、それとも良く生きるためか。 |
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| 第13回 | 第6章:読解編 目標: 「才能ある10分の1(Talented Tenth)」理論の真意を理解する。 内容:なぜ一部のエリート教育が共同体全体の救済に必要だったのか。 |
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| 第14回 | 第6章:対話編 目標: "The training of black men" を精読し、リーダーの責任と教育の権利を論じる。 内容:現代社会における「教育の格差」と「リーダーの質」。 |
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| 第15回 | 学期末まとめ 目標: 1学期で学んだ6つの章の概念を相関図にし、自分の言葉で発表する。 内容:最終プレゼンテーション、または概念マップの作成。 |
| 授業外学習の課題 | 事前学修(2時間程度): テキストの通読: 指定された範囲の日本語訳を読み、全体の論理構成を把握すること。 キーワードの抽出: ワークシートに記載された英語のキーフレーズ(Key Phrases)を精読し、自分なりの仮訳と疑問点をノートにまとめておくこと。 議論用メモの作成: ワークシート内の「Question」に対し、自分の経験や現代社会の事例を最低一つ挙げたメモを準備すること。 事後学修(2時間程度): 議論のリフレクション: 授業内で行われた議論を振り返り、自分の考えがどう変化したか、あるいは新たな問いが生まれたかをリフレクション・ログ(短い感想文)に記録すること。 語彙の定着: 授業で解説した英語の重要語彙(Double Consciousness, The Veil等)を用いて、その章の要旨を3文程度の英語で要約する練習を行うこと。 |
| 履修上の注意事項 | 公認欠席は期末試験の受験要件には影響しないように配慮します。 公認欠席時の資料は5日配布しますので、指示に従って受け取ってください。 |
| 成績評価の方法・基準 | 授業への積極的参加 (Participation) 30% 議論への貢献、他者の意見に対する誠実な応答。 事前準備ワークシート (Worksheets) 30% 予習時間が適切に確保され、独自の問いや視点を持って授業に臨んでいるか。 リフレクション・ログ (Reflective Logs) 20% 授業での学びを自分なりに咀嚼し、英語概念を正確に使いこなせているか。 期末最終レポート (Final Paper) 20% 学期の学びを統合し、デュボイスの思想を現代的な文脈で論理的に展開できているか。 |
| テキスト | 「黒人のたましい」岩波文庫版(木島始 訳)未来者2006年 |
| 参考文献 | |
| 主な関連科目 | |
| オフィスアワー及び 質問・相談への対応 |
授業の前後でも質問に応じますが、オフィスアワーでも対応できます。その際はメールにて予約をとってください。授業内容に関する質問ならば、次回の講義冒頭で全体フィードバックという形で行います。 |
| 所属 | ナンバリングコード | 適用入学年度 | 配当年次 | 身につく能力 | ||||
| 知識・技能 | 思考力 | 判断力 | 表現力 | 協創力 | ||||
| 人文学部社会学科(専門演習科目) | 24400 | 2024~2026 | 3・4 | - | ○ | - | ○ | ○ |