授業コード | 70009100 | 単位数 | 2 |
科目名 | 政治特論B(国際ジャーナリズム論) | クラス | |
履修期 | 後期授業 | カリキュラム | *下表参考 |
担当者 | 船津 靖 | 配当年次 | *下表参考 |
授業の題目 | 急変する国際関係と報道 Changing International Relations and Journalism |
学修の概要 | 今年度は第2次トランプ政権の動静が国際ニュースの中心。日本に関係が深い貿易や金融、対中国・ロシア・ウクライナ政策、さらにAI(人工知能)や宇宙・科学技術を取り上げます。客観報道とリベラリズムの価値(個人の尊厳)を信条としてきた欧米主要メディアは、権威主義の台頭や国境を超えるフェイク情報拡散、生成AIによる社会関係・産業構造急変の波に洗われています。 授業の柱は、①国際ニュースの知識と時事英語、②事実確認、言論・報道の自由の重要性、③教員の海外での取材・報道経験~です。 ①知識がないとニュースを理解できません。英単語を知らないと英文が読めないのと同じ。②ジャーナリズムはリベラル・デモクラシー(自由・民主主義)の土台。国際報道を主導してきた米英メディアを主に取り上げます。米以外の地域、政治以外の領域にもできるだけ目を配ります。③ジャーナリズムは実務。締切や字数との闘い、他社や同僚との競争。海外取材の経験や実務上の工夫、職業人生の実相についてもお話しします。 最新のニュースを解説します。文章表現の技術を指南します。多様な視点を紹介し、学生や教員の「協創」を目指します。 ここ数年、コロナ感染症、ロシアのウクライナ侵略、イスラエルvsイランを対立軸とする中東の戦争、超大国アメリカの一方的政策など衝撃的なニュースが相次いでいます。日本は人口が減少し財政赤字が積み上がっています。「核兵器なき世界」のスローガンの一方、お隣の中国は急速な核兵器増産中。北方領土を不法占領するロシアは核兵器使用をちらつかせ、核廃絶への現実的な可能性はありません。生成AIや先端半導体、レアアースを軸にビジネス環境が急変しています。 「知識(量)」を重視します。「量」が増えると「質」も向上します。「思考」より「調査」「確認」「記憶」。知識がないと、突飛な推測や的外れの主張になりがち。国際理解では無知な人ほど「個性的」「独創的」。「下手な考え休むに似たり」。精神分析で高名なユングは、 「事実が少ないと、人の心は憶測に走ってしまうものだ」 と警告しました。大学が課す「身に付く能力」の「思考力」にあえて〇を付けない理由です。 自分が属する共同体(広島、日本)の常識をいったん離れ、さまざまな「他者」とパワーが渦巻く国際社会の客観的な現実を学びましょう。 ニュースの状況に応じシラバスの順序や内容を変更することがあります。科目の性格上、ご理解をお願いします。 【実務経験】 共同通信記者として国内3支局で警察、裁判所、県庁や選挙を取材。モスクワ、エルサレム、ロンドンの特派員、ニュースセンター総合関門、ニューヨーク支局長、国際局次長、編集・論説委員などを務めました。近著に『聖書の同盟 アメリカはなぜユダヤ国家を支援するのか』(KAWADE夢新書)。ほかに著書『パレスチナ 聖地の紛争』(中公新書)。共著に『世界年鑑』『20世紀 未来への記憶』『アメリカ文化事典』 |
学修の到達目標 | ディプロマポリシーが掲げるThink Globally(and Realistically)。国際問題の知識、国際社会の多様性とダイナミズム(日本社会の個別性、特異性)を理解する能力を養うのが目標。①国際常識を身に付け国際ニュースをフォローできるようになる、②優先度の高い情報を選び出し要点をまとめられるようになる、③フェイクニュースに騙されないようになる、④スローガンや建て前と本音、看板と実態の区別がつけられるようになる、⑤人間の認識能力が時代や共同体の利害に強く制約されていることを理解できるようになる、⑥他者の視点を含む多角的な現実分析ができるようになる、⑦具体的で正確・明快な文章が書けるようになる、⑧英語のニュース記事が徐々に読めるようになる(目標は英検準1級以上)。 |
授業計画 | 第1回 | ①Mainstream Media: the Latest News, Fact Checks, Verification 米英の主要メディア、最新ニュースを概観し、事実確認や検証の重要性を説明できるようになる |
第2回 | ②the Trump administration: Autocrat and Populism 専制的で大衆迎合的な傾向を強めるトランプ政権と民主党系メディアの対立の要点を指摘できるようになる |
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第3回 | ③Nobel Prizes: Science, Literature, and Peace ノーベル賞(科学、文学、平和)の報道内容の要点を指摘できるようになる |
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第4回 | ④New York Times v. Sullivan, Pentagon Papers, Watergate Scandal 画期的なニューヨーク・タイムズ対サリヴァン判決と米主要紙の歴史的スクープ報道の意義について説明できるようになる |
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第5回 | ⑤Wars ,Peace and Nuclear Weapons: Deterrence and NPT 戦争の惨禍、核不拡散条約や核抑止について「核兵器なき世界」の理想との関係を比較できるようになる |
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第6回 | ⑥Changing Media, Changing History 活版印刷から宗教改革や市民革命が生まれたように、メディアの変化が世界史を変化させる過程を説明できるようになる |
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第7回 | ⑦Beyond Belief: Holocaust, Anti-Semitism, and White Supremacy 反ユダヤ主義、人種主義による大虐殺の歴史、現代の白人至上主義について述べることができるようになる |
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第8回 | ⑧Foreign Correspondent: Personal Accounts 海外特派員の経験に関する質問を考え、個人的な話を聞き出せるようになる |
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第9回 | ⑨Social Psychology: Stereotype: Agenda Setting, Spiral of Silence, Cognitive Dissonance 社会心理学のステレオタイプ、アジェンダ設定、沈黙の螺旋、認知的不協和などの理論を説明できるようになる |
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第10回 | ⑩Power Corrupts: I Will Defend to the Death Your Right to Say it 権力の腐敗と言論の自由、善悪混沌とした現実世界。ヴォルテールや旧約コヘレトの格言の深い意味を理解できるようになる |
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第11回 | ⑪Pearl Harbor Surprise Attack: Imperial Japan's Fiasco, Atrocities against Asian people 国家神道信仰と真珠湾奇襲攻撃という大日本帝国の大失敗と、広島も関与したアジアの人々への加害を説明できるようになる |
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第12回 | ⑫Fight for Freedom: Oppression and Death of Journalists ロシアなど権威主義国家で自由を求めて闘ったジャーナリストの犠牲について述べることができるようになる |
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第13回 | ⑬Science and Journalism: Space, Climate, and AI 宇宙、気候変動、AIなど先端科学技術と一般市民を結ぶ啓蒙的報道の重要性を説明できるようになる |
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第14回 | ⑭Questions and Answers, Follow-up, Preparation for Examination 質疑応答、補足などで期末試験に向けた準備が整うようになる |
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第15回 | ⑮ Final Summary: Cool Heads, but Warm Hearts 英経済学者マーシャルの言葉「冷静な頭脳と温かい心」から、他者を思いやる心と協力、知識・努力の大切への認識を深められるようになる |
授業外学習の課題 | 事前学修(1時間半程度)Moodle掲載の資料や記事、週間リポートを読む。興味のある分野を調べ、質問を考える。 事後学修(1時間半程度)授業の復習。資料やノートを読み返し、固有名詞、キーワード、英語を中心に記憶の定着を図る。 共通の情報インフラとしてNHKのニュース防災アプリhttps://www3.nhk.or.jp/news/(無料)の国際・外交ニュースに目を通す。日経新聞(電子版含む)など新聞の国際面や民放の報道番組に日常的に接する。 |
履修上の注意事項 | 板書や講義をノートに。メモの技術は勉強でも実務でも基本。シラバスは暫定的。大ニュースが飛び込めば臨機応変に変更。 私語は迷惑。欠席や遅刻の多い学生は歓迎しません。不正行為には厳正に対処します。向学心のある学生には最大限の支援を惜しみません。 前期のメディア論との違いは、扱う日々のニュースが異なること、英語メディアや国際報道に一層傾斜することなど。重複する内容は基礎的・原理的な重要事項です。ミクロ経済学とマクロ経済学、数学と物理に重複する部分があるようなもの、と考えてください。 公認欠席は欠席として扱いますが、単位認定要件や期末試験の受験資格には影響しないよう配慮します。公認欠席時にMoodle掲載以外の配布資料があれば後日お渡しします。追試は教学センターの手続きに従います。 |
成績評価の方法・基準 | 期末試験約80% 受講状況・課題20%。期末試験受験は原則10回以上の出席が条件だが、事前に相談すれば個別の事情には柔軟に配慮する。 |
テキスト | レジュメや関連記事、「週間リポート」などをMoodleに掲載する。各自、地図帳や年表を準備してほしい。 |
参考文献 | 船津靖『パレスチナ 聖地の紛争』(2011年)『聖書の同盟 アメリカはなぜユダヤ国家を支援するのか』(2024年)。スヴェトラーナ・アレクシエービッチ『戦争は女の顔をしていない』、パトリック・モディアノ『1941年。パリの尋ね人』(いずれもノーベル文学賞受賞)など適宜紹介する |
主な関連科目 | 政治と社会(アメリカ)を履修していることが望ましい。総合教養講義b(メディア論)、政治と社会(中東)、異文化理解論 |
オフィスアワー及び 質問・相談への対応 |
授業中・授業後やMoodleでの質問を歓迎し評価します。相談などはメール(funatsu@shudo-u.ac.jp)や個人面談で。勉強法、留学、就活、就業などについての相談にも応じます。期末試験についてはMoodle上に解答例や講評などを掲載します。 |
所属 | ナンバリングコード | 適用入学年度 | 配当年次 | 身につく能力 | ||||
知識・技能 | 思考力 | 判断力 | 表現力 | 協創力 | ||||
国際コミュニティ学部地域行政学科(政治領域) | FGRA30313 | 2018~2022 | 3・4 | - | - | - | - | - |
国際コミュニティ学部地域行政学科(政治領域) | FGRA30313 | 2023~2023 | 3・4 | ○ | - | ○ | ○ | - |
国際コミュニティ学部地域行政学科(政治領域) | 72400 | 2024~2025 | 3・4 | ○ | - | ○ | ○ | - |