授業コード 70008800 単位数 2
科目名 政治文化論 クラス
履修期 前期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 越智 敏夫 配当年次 *下表参考

授業の題目 政治文化論 Political Culture
学修の概要  政治をどう理解すべきかという問いに対して文化という概念を中心に返答しようとする講義である。けれども現代社会では私たちひとりひとりが臣民や家来や農奴ではなく、市民であることの意味も考える必要がある。したがって本講義では、政治文化とは何かという問題とともに、現代社会において市民は政治にどのように関わるべきかという問題についても文化という側面から考えたい。それは政治において「論破しました」などという無恥で無能な姿勢を否定することでもある。
 なお講義においては人種問題や格差、不平等など、日本やアメリカ、また他の諸国における具体的な事例を画像等を使用して紹介し、それらが私たちにとって現実的な問題であることも再確認しながら議論を進めたい。
学修の到達目標 政治学の基礎が理解できる。政治文化の意味と作用について理解できる。市民として政治に参加することの意味が理解できる。現代世界における文化的問題について理解できる。
授業計画 第1回 政治1:定義することの罠

社会現象における「名づけ」行為の政治的機能について理解する。
第2回 政治2:制度

人間の行為の繰り返しとしての「状況・制度・組織」の関係について理解する。特にそれらが社会における諸価値の表現として機能している点について考察する。
第3回 政治3:権力

人間が他の人間を動かす関係としての権力について理解する。
第4回 文化1:枠の問題

政治文化を語る際、その集団はどのように確定されるのか。たとえば日本国民や広島県民といった集団の境界は誰が決めるのか。
第5回 文化2:変化の問題

ある集団の政治文化を語る際、その時間的経緯はどのように確定されるのかという問題について理解する。ある集団の政治文化的な特徴が確定されたとしても、それらはいつからいつまで持続しているものなのか。またそれらが変化する可能性を誰がどのように確定するのか。
第6回 文化3:価値の問題

ある集団の政治文化を確定した場合、たとえば差別の正当化など、それらに内在する問題が発見された場合、誰がどのような立場でそれらを是正するのか。それらの問題を理解する。
第7回 政治文化1:真偽のあいだ

虚偽情報によって集団が動く場合、それらを外部の人間が指摘することは政治的に公正なのか。それらの問題を理解する。
第8回 政治文化2:善悪の彼岸

さまざまな政治集団の政治文化を横断的に批判する視点はあるのか。「神の視点」ともいえるような普遍主義の問題を考察する。
第9回 政治文化3:美醜の交換

美意識のような領域は政治文化のなかでどのような位置に置くべきなのか。それらの問題を理解する。
第10回 市民と政治文化1:権力をコントロールする

市民社会において市民は権力を作る主体であると同時に権力に支配される客体でもある。それらの関係を権力のコントロールという観点から理解する。
第11回 市民と政治文化2:権力をつくる

市民社会において市民は権力を作る主体であると同時に権力に支配される客体でもある。それらの関係を権力主体としての市民という観点から理解する。
第12回 市民と政治文化3:権力を拒否する

市民社会において市民は権力を作る主体であると同時に権力に支配される客体でもあるという関係から逃避することは可能なのか。市民社会におけるアナーキズムの意味について理解する。
第13回 市民社会:人間の権利

市民社会における市民の「武器」としての人間の権利(人権)について理解する。
第14回 市民社会:人間の自由

市民社会における市民の「武器」としての人間の自由について理解する。
第15回 市民社会:人間の義務

「権利を主張する者は義務を果たせ」という命令を批判し、その虚偽と犯罪性を理解したうえで、市民としての本来の義務について考察する。
授業外学習の課題 1. ふだんから紙の新聞を読む習慣をもつこと。それによって、遠い場所の会ったこともない人の生き方に関心をもつこと(想定される所要時間:90分)。
2. 事前に配布するレジュメを読み、内容に関する理解を試みること(想定される所要時間:90分)。
履修上の注意事項 1. 事前にレジュメを配布するので、プリントアウトして教室に持参すること。
2. 私語厳禁。
成績評価の方法・基準 出席(50%)とリアクション・ペーパー(50%)で評価する。
テキスト テキストなし。レジュメを配布する。
参考文献 越智敏夫(監修)『10代のうちに知っておきたい政治のこと』あかね書房、2022年。
越智敏夫『政治にとって文化とは何か』ミネルヴァ書房、2018年。
高畠通敏『政治学への道案内』講談社学術文庫、2012年。
他はレジュメで、また講義中に紹介。
主な関連科目 政治学、政治思想史、現代政治、日本の政治、国際政治学、NGO・NPO論
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
講義中、講義終了後に質問を受け付ける。フィードバックとしてそれらへの返答を講義中に受講者と共有し、重要なものはMoodleに一定期間掲示する。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
国際コミュニティ学部地域行政学科(政治領域) FGRA30302 2018~2022 3・4 - - - - -
国際コミュニティ学部地域行政学科(政治領域) 2023~2025 3・4 - - - - -