授業コード 70008700 単位数 2
科目名 政治理論 クラス
履修期 第4学期 カリキュラム *下表参考
担当者 小須田 翔 配当年次 *下表参考

授業の題目 規範的政治理論(Normative Political Theory)
学修の概要  私たちが目指すべきコミュニティはどのようなものでしょうか。本講義では、規範的政治理論を通してこの問いにアプローチします。規範的政治理論は、過去半世紀で目覚ましい発展を遂げました。「自由で平等なコミュニティとはなにか」「正義に適ったコミュニティとは」「コミュニティの民主主義はどうあるべきだろうか」などの問いに対して、非常に深く考えられた答えが提案されています。
 規範的政治理論が対象とする望ましいコミュニティのあり方についての議論には、「平等」や「正義」や「平和」などといった概念が含まれています。私たちの生きるコミュニティは、こうした概念が複雑に絡み合うことによって成立しています。本講義では、複雑に積み重なり絡まりあう概念を一つ一つ分解して、それぞれがどのようなものなのか検討した上で、どのようにして組み立てていくべきなのかを考えます。
 議論は抽象的なテーマを含みますが、授業では地域コミュニティの課題を具体例として取り上げ、なるべく身近に感じられるように説明します。本講義は、地域コミュニティで起こるさまざまな課題を分析して、解決策を考える上でのヒントを提供することを目指します。
学修の到達目標 1.現代のコミュニティを支える基礎的な概念を理解することができる。
2.異なる立場の政治的言説に含まれる論理を分析し、その意義を再構成することで、多様な視点を獲得することができる。
3.地域コミュニティの課題に伴う規範的な側面を特定し、解決策を提案する際に、倫理的な側面から判断できるようになる。
授業計画 第1回 イントロダクション――平等な人々からなる自由な社会を目指して
政治理論という分野の目的と意義を説明することができるようになる。
第2回 規範的政治理論の方法①――アイデアを哲学的に「分析する」ということ
規範的政治理論の方法としての「概念分析」を理解できるようになる。
第3回 規範的政治理論の方法②――「政治的」であり「規範的」なアイデア
規範的政治理論の方法としての「規範」について理解できるようになる。
第4回 正義①――なるべく多くの人をなるべく幸せにする
功利主義とその問題点について説明できるようになる。
第5回 正義②――最も不利な立場にある人を優先する政治
正義の理論としての「公正としての正義」について説明できるようになる。
第6回 正義③――「公正としての正義」の制度
公正としての正義を実現する制度について説明することができるようになる。
第7回 正義④――日々の暮らしの中で生まれる不正義
制度だけに囚われない正義の考え方を説明することができるようになる。
第8回 コミュニティ①ーー意義と課題
コミュニティという概念の歴史や、現代における使用法について説明することができるようになる。
第9回 コミュニティ②ーーコミュニタリアニズム
コミュニタリアニズムの理論を通して、コミュニティの再生の問題点を理解することができるようになる。
第10回 コミュニティ③ーーナショナリズム
国家単位のコミュニティについて、意義と問題点を理解することができるようになる。
第11回 コミュニティ④ーー多文化主義(オンデマンド)
異なる価値観や文化を持つ人々が1つのコミュニティを共有するための原理と課題を説明することができるようになる。
第12回 現代の問題①――ローカルな正義とグローバルな正義の対立
グローバル化に伴う社会の問題に対して、正義の理論を応用して判断できるようになる。
第13回 現代の問題②――行政国家と公務員の規範理論(オンデマンド)
政府の役割がますます増大する社会で、公務員に求められる規範について考えることができるようになる。
第14回 現代の問題③――正義の影に置かれたジェンダー
フェミニズムの理論の知識を獲得することで、ジェンダー問題に対して判断できるようになる。
第15回 まとめ――これまでの政治のアイデアとこれからの政治のアイデア
講義全体の復習を通して、規範的な問題に対して判断できるようになる。
授業外学習の課題 事前学修:授業内で提示する参考文献を読み内容を理解する。(2時間程度)
事後学修:配付資料やノートなどを参照して授業を復習して、小テストに取り組む。(2時間程度)
※政治思想では、異なる人の立場に立つことが重要です。そのためには、ドキュメンタリーや小説、映画、ドラマ、アニメ作品なども役に立ちます。
履修上の注意事項 1.授業の連絡、資料の配布などはMoodleを用います。必ず定期的に確認してください。
2.ブレンド型授業を実施します。オンデマンド授業回ではMoodleにて指示をします。
3.公認欠席は成績評価に影響を与えないよう配慮します。小テストはその回を抜いた平均点で評価します。
・前提となる知識はありませんが、政治理論は抽象的な概念と複雑な論理を扱います。受講生には時間を掛けてゆっくりと解釈していくことが求められます。
成績評価の方法・基準 コメントシート、小テスト、期末試験を用いて評価します。
コメントシート:25%、小テスト:15%、期末試験:60%
※授業態度が悪く他の人の受講を妨げる場合には、評価を減ずることがあります。
テキスト 授業内で資料を配布します。
参考文献 田村哲樹・松元雅和・乙部延剛・山崎望(2017)『ここから始める政治理論』有斐閣ストゥディア、2017年。
川崎修、杉田敦『現代政治理論 新版』有斐閣、2012年。
他にも、各回に関連する文献を授業内やMoodle上で紹介します。
主な関連科目 民主主義論、政治思想
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
・オフィスアワー:木曜日12:15~13:05 ※この時間はアポイントメントなしで研究室で質問を受け付けます。その他の時間は事前にメールをしてください。
・授業前後にも質問を受け付けます。
・期末試験は、Moodleで解説を配布します。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
国際コミュニティ学部地域行政学科(政治領域) FGRA20301 2018~2022 2・3・4 - - - - -