授業コード 24001900 単位数 2
科目名 マイグレーション・スタディーズ クラス
履修期 後期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 佐藤 量 配当年次 *下表参考

授業の題目 日本人の国際移動
学修の概要 この授業では、「日本人の国際移動」をテーマとして、日本人移民の100年の歴史を通して、日本社会と移民問題について考えます。
昨今、地方から都市への人口移動や外国人労働者の受け入れ問題など、人の移動めぐる問題が注目を集めていますが、かつての日本は多くの海外移民を送り出す「移民大国」でした。
本授業では、明治から昭和にかけて、北海道、台湾、朝鮮、満洲、北米、ハワイ、ブラジル、アルゼンチンなどの地域へ移動した日本人移民の歴史を紐解きながら、なぜ日本人は海外に移動したのか、日本社会が移民問題とどのように向き合ってきたのか(もしくは向き合ってこなかったのか)を考えることで、現代社会につながる通時的な問題として理解することを目指します。
学修の到達目標 移民をめぐる基礎的な理論を理解できるようになる。
日本人移民についての理解を深めることで、移民問題を遠い海外の出来事ではなく、自分たちに身近な問題として認識できるようになる。
・移民問題を単なる移民当事者だけのことではなく、社会構造や制度、政治、経済、歴史、文化なども含めた多角的な視点から考えられるようになる。
授業計画 第1回 イントロダクション
授業の進め方を理解する。「日本人移民」という人々を知る。
第2回 移民政策と植民地主義
プッシュ・プル理論など移民研究の基礎的な理論を理解する。
第3回 北海道と移民
北海道開拓と移民の歴史について理解する/北海道開拓と内国植民地
第4回 北米と移民
アメリカ・カナダをめぐる日本人移民の歴史について理解する/アジア系移民と移民排斥
第5回 ハワイと移民
ハワイと日本人移民の歴史について理解する/広島と野球とハワイ/真珠湾攻撃と日系人
第6回 南米と移民
ブラジル、アルゼンチンと日本人移民の関係を理解する/コーヒー・花卉栽培・柔道
第7回 台湾と移民
台湾と日本人移民の関係を理解する/学校教育と製糖業/高知のカツオ漁
第8回 朝鮮と移民
朝鮮と日本人移民の関係を理解する/農業移民/電力開発・鉄道敷設
第9回 満洲と移民①
満洲と日本人移民の関係を理解する/「満洲国」の建国/エリート会社員の満洲駐在
第10回 満洲と移民②
満洲と日本人移民の関係を理解する/満洲農業移民/大豆とモノカルチャー
第11回 満洲と移民③
満洲と日本人移民の関係を理解する/理系エリートの養成/戦争と子どもの移民
第12回 引揚者
引揚者の歴史について理解する/600万人の帰国/戦後補償問題
第13回 中国残留日本人
中国残留孤児、中国残留婦人の歴史について理解する/『大地の子』/基町アパート
第14回 公害と移民
植民地主義と公害の関係について理解する/水俣病と植民地朝鮮/開発と移民
第15回 まとめ
移民が生まれる社会構造を考察する/移民を可視化するということ
授業外学習の課題 2時間程度の事前学習。授業前にテキストや参考資料を予習して授業に臨んでください。
2時間程度の事後学習。授業ノートをまとめ、講義内でわからなかった事例や用語を調べてください。
履修上の注意事項 本講義は連続で受講することによって理解を深めていくため、毎回出席をとります。
社会的に周縁におかれた人々を理解したいという意識のある学生の受講を望みます。
授業計画は状況によって若干の変更が伴う可能性があります。
欠席が6回以上の場合は失格とし、評価の対象に含めません。
公認欠席は、資料配付等の配慮は行いますが、欠席扱いとなります。
成績評価の方法・基準 毎回の授業の最後に提出する小レポート(40%)及び期末レポート(60%)を総合し100%で評価します。
テキスト 授業内で適宜指示します。必要に応じて資料およびレジュメを配布します。
参考文献 ・日本移民学会編(2018)『日本人と海外移住:移民の歴史・現状・展望』明石書店
・永吉希久子(2020)『移民と日本社会:データで読み解く実態と将来像』中公新書
・佐藤量・菅野智博・湯川真樹江(2016)『戦後日本の満洲記憶』東方書店
・小熊英二『生きて帰ってきた男:ある日本兵の戦争と戦後』岩波新書
・福間良明『「戦跡」の戦後史:せめぎあう遺構とモニュメント』岩波現代全書
その他、適宜授業中に掲示します。
主な関連科目 マイグレーション・スタディーズ演習、比較社会学
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
講義内容に関する質問は、授業時間内および講義終了後に対応します。メールでも受けつけています。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
人文学部社会学科(社会の諸領域に関する科目) 24300 2024~2025 2・3・4 - - -