授業コード 22015802 単位数 4
科目名 卒業研究 クラス 02
履修期 年間授業 カリキュラム *下表参考
担当者 阪上 辰也 配当年次 *下表参考

授業の題目 卒業研究指導 (Tutorial for Graduation Study)
学修の概要 「卒業研究」は、学士課程の最終段階として、履修者が3年生までに習得した専門知識や研究手法を統合し、独自の研究課題に取り組む重要な科目である。特に、効果的な教育方法や言語習得のメカニズムの解明を目指す言語教育・言語習得分野における卒業研究は、言語学、教育学、心理学、社会学といった多岐にわたる学際的な知識に加え、データの統計解析に必要な技能も求められる。データの統計解析とは、収集したデータを数値化し、適切な統計手法を用いて傾向や関係性を分析することであり、本科目では、基本的な記述統計(平均・標準偏差など)から、回帰分析や分散分析などの手法を学びながら研究を進める。

この科目では、履修者は自身の興味や社会的ニーズを考慮し、言語教育・言語習得に関連する具体的な研究テーマを設定する。例えば、第二言語習得における動機づけの影響、特定の教授法が学習成果に与える影響などが考えられる。設定したテーマに関連する国内外の先行研究を調査し、既存の知見や理論的枠組みを把握する。これにより、研究の背景や意義を明確化し、研究課題の精緻化を図る。

明確化された研究課題に基づき、具体的な研究計画を策定する。ここでは、研究の目的、仮説、方法論、データ収集手段、分析手法、倫理的配慮などを詳細に計画する。例えば、実験的手法、調査研究、質的研究など、適切な研究デザインを選択する。計画に沿ってデータを収集し、適切な統計的手法や質的分析手法を用いて分析を行う。例えば、アンケート調査の結果を統計的に解析したり、言語データを量的・質的に分析したりする。

分析結果を基に、研究課題に対する考察を行い、結論を導き出す。また、研究の限界や今後の課題についても検討する。研究の全過程を論理的かつ明確に記述した卒業論文を作成する。論文は、序論、文献レビュー、方法論、結果、考察、結論、参考文献などの構成要素を含めたものとする。完成した論文を口頭発表会で発表し、教員や他のゼミ生からのフィードバックを受ける。

言語教育・言語習得分野における研究を通じて、履修者が専門的な知識と技能を身につけた上で、問題発見・解決能力、論理的思考力、創造性、コミュニケーション能力、プロジェクトの管理能力など、社会で求められる総合的な能力を養成する。
学修の到達目標 1) 言語習得・言語教育分野における課題を自ら発見し、研究課題として適切に設定できる
2) 先行研究を批判的に検討し、仮説を設定した上で自らの研究の位置づけを明確にできる
3) 適切な研究手法を選択・適用し、データ収集とその分析を行うことができる
4) 研究成果を論理的に考察し、学術的な文章として表現できる
5) 研究成果を効果的にプレゼンテーションし、質疑応答ができる
6) 研究活動を計画的に進め、日本語または英語により卒業論文を期限内に完成させることができる
7) 研究活動や文章執筆において AI を効果的に利用することができる。
授業計画 第1回 ガイダンス:卒業研究の進め方を理解する

卒業研究の第一歩として、まずはこのガイダンスで卒業研究全体の概要を把握する。卒業研究は単なる課題ではなく、これまでの学びを統合し、自ら問いを立て、探求し、新たな知見を生み出すプロセスを辿る。卒業研究になぜ取り組む必要があるのか、卒業研究を通じて何を得られるのか、卒業研究の目的と意義を理解してほしい。続けて、研究計画書の作成方法を説明する。研究の目的、方法、スケジュールなどを明確に記述し、実現可能な計画を立てるためのポイントを理解する。また、研究倫理に関する重要な事項についても説明する。データの捏造や改ざん、剽窃などの不正行為は決して許されない。最後に、今後のスケジュールと進め方について具体的な指示を出す。各回の授業内容、課題の提出期限、発表会の日程などを確認し、計画的に研究を進めるための準備を行う。
第2回 研究テーマの選定方法を理解する

研究テーマは卒業研究の根幹をなすものである。自分自身の興味関心と問題意識を掘り下げ、研究テーマを見つけるための方法について説明する。まずは、自分の興味のある分野、過去の学習経験、将来の目標などを書き出す。次に、先行研究の調査方法を習得する。図書館やインターネット(AI 含む)を活用し、関連する論文や書籍を探し出す。参考文献リストの作成方法も学ぶ。研究テーマを絞り込むためには、先行研究の成果を理解し、未解決な問題点や新たな視点を見つける必要があることを理解する。必要なデータや情報が手に入るか、研究期間内に完了できるかなど、現実的な側面も考慮する。
第3回 理論的背景:理論とは何かを理解する

研究を進める上で、理論は不可欠な基盤となる。理論の定義と役割を理解し、研究を支える理論的枠組みを構築する方法を学ぶ。理論とは、特定の現象を説明するための体系的な考え方であり、研究の方向性や解釈の指針となる。既存の理論を調査し、批判的に検討する。先行研究で用いられている理論を比較検討し、自分の研究に適した理論を選択する。研究の理論的枠組みを構築する際には、中心となる理論を明確にし、関連する概念や変数との関係性を整理する。研究仮説の設定では、理論に基づいて予測される結果を具体的に記述し、研究仮説はデータ分析の結果に基づいて検証され流ことを理解する。
第4回 理論的背景:理論を踏まえてデータを観察することの重要性を理解する

データ収集は、研究の客観性と信頼性を高めるために必要なものである。まず、データの収集計画を立てた上で、自身が設定する研究仮説を検証するために必要なデータの種類、収集方法、対象者などを明確にする必要性を理解する。次に、観察方法の種類と選択について学び、ぶ。質問紙調査、インタビュー調査、実験観察など、研究目的に適した方法を選択する。データの記録と整理には、客観性と正確性が求められる。データシートの作成、コーディング、データベースの構築など、効率的なデータ管理方法についても説明する。
第5回 理論的背景:理論を基に議論を進める方法を理解する

収集したデータを分析し、理論に基づいて解釈することは、研究の核心部分である。データ分析の結果を理論的に考察し、議論を構築する方法を学ぶ。まず、適切な統計手法や分析ツールを用いてデータを分析する。次に、分析結果を解釈し、研究仮説との関係性を検討する。分析結果の理論的考察では、既存の理論と照らし合わせながら、新たな知見や示唆を見つける。議論の組み立て方では、論理的な構成と明確な根拠を示すことが重要である。
第6回 先行研究の検索方法とまとめ方を理解する

効率的な検索エンジンの使い方やキーワードの選定方法を学び、必要な情報を収集する術を学ぶ。CiNii、Google Scholar、J-STAGE など、学術論文データベースの特性を理解し、目的に応じて使い分ける。キーワード選定では、研究テーマに関連するキーワードをリスト化し、検索クエリを作成する。また、論文や書籍の書誌情報を正確に記述し、参考文献リストを作成も始める。先行研究の要約と批判的分析では、先行研究の目的、方法、結果などを簡潔にまとめ、その限界や問題点を指摘し、自身の研究テーマとの関連づけを行う。
第7回 先行研究に対する批判的検討の方法を理解する

先行研究を批判的に検討することは、自分の研究の位置づけや独自性を明確にする上で不可欠である。先行研究の限界や問題点を指摘した上で、自分の研究の独自性を主張する方法を学ぶ。先行研究の限界と問題点を指摘する際には、データの偏り、分析方法の妥当性、理論的枠組みの限界などを考慮し、自身の研究と先行研究との違いは何か、自身の研究が何に貢献するのかを具体的に示す必要があることを学ぶ。
第8回 言語・教育データの収集と整理方法を理解する

調査対象者の選定からデータの入力、クリーニングまで、一連のプロセスを学ぶ。調査対象者の選定では、研究目的に適した対象者を選び、サンプリング方法を決定する。質問紙調査、インタビュー調査、観察調査など、適切なデータ収集方法を選択する。データの入力とクリーニングでは、正確かつ効率的にデータ入力を行い、誤りや欠損値に対処する。統計ソフトの活用では、R、Excel などのソフトウェアを用いて、データを分析する方法を振り返りつつ、AI を用いたデータの整理方法・コーディングのための基礎を学ぶ。
第9回 言語・教育データの観察方法を理解する

観察データの分析では、質的な分析方法や量的な分析方法を用いて、観察結果を解釈する。データの記録方式や観察記録の作成方法や観察項目の設定、ビデオや音声による記録方法などを学ぶ。観察記録の作成では、観察日時、場所、参加者、出来事などを詳細に記録する。観察項目の設定では、研究目的に合わせて観察項目を事前に決定し、観察の焦点を絞る。
第10回 言語・教育データの記述方法を理解する

研究成果を論文やレポートとして発表するためには、データを適切に記述する必要がある。この授業では、量的データと質的データの記述方法、表やグラフの作成方法、論文の体裁と参考文献の書き方などを学ぶ。量的データの表現では、平均値、標準偏差、相関係数などの統計量を適切に記述する。質的データの記述では、インタビュー記録や観察記録から得られた情報を具体的に記述する。表やグラフの作成では、データの傾向や関係性を可視化して表現する。論文の体裁と参考文献の書き方では、関連学会やジャーナルの規定に参考にし、必要十分な情報を正確に記述することを理解する。
第11回 卒業研究題目届・研究計画書を完成させて提出する

これまでの研究テーマ選定のプロセスを振り返り、最終的な研究題目を決定する。研究題目は、研究内容を明確に示し、なぜその研究が必要なのかを説明できることを心がける。次に、研究計画書を完成させる。研究の目的、方法、スケジュール、参考文献などを詳細に記述する。研究計画書は、研究を進める上での羅針盤となるものである。卒業研究題目届と研究計画書は、提出前に教員が確認し、個別にフィードバックを行う。
第12回 論文の書き方:先行研究のまとめを独力で行う

これまでに収集した先行研究の論文や書籍を読み込み、それぞれの研究の目的、方法、結果、結論などをまとめる。先行研究のまとめは、自分の研究の位置づけを明確にする上で必要な作業であり、先行研究のまとめは、単なる内容要約ではなく、批判的な視点を持って行う必要がある。この作業は、Notion を用いて独力で行い、自身の研究に対する理解を深め、課題に取り組む主体性を養う。
第13回 論文の書き方:データの分析を独力で行う

適切な統計手法や分析ツールを用いて自身のデータを分析する。データの種類や研究目的に応じて、適切な分析手法を選択する。統計ソフト(R など)の使い方を習得し、データを分析する。分析結果を表やグラフで表現し、視覚的にわかりやすく提示できるようにする。データの分析結果は、客観的な根拠に基づいて解釈する。分析結果は、論文の結果のセクションで詳細に記述する。分析や可視化に際しては、AI による支援を受けつつ、基本的には独力で行い、データ分析のスキルをさらに向上させる。
第14回 論文の書き方:分析結果の考察を独力で行う

分析結果を理論的背景と照らし合わせながら考察し、研究の意義や限界を議論する。分析結果が示す意味を深く掘り下げ、新たな知見や示唆を見つけ出す。研究結果が先行研究と一致するか、異なるかを検討し、その理由を考察する。さらに、研究の限界点と今後の課題を示す。この作業を通じて、論理的思考力や批判的思考力を養う。
第15回 前期の振り返りと論文執筆の準備を終える

論文執筆に取りかかる前に、これまでの学習内容を振り返り、論文の構成や内容について最終確認をする。これまでに学んだこと、研究の進捗状況、データ分析の結果などを整理する。論文の構成を再検討し、序論、本論、結論などの各セクションの内容を明確にする。参考文献リストを再確認し、必要な文献がすべて揃っていることを確認する。論文執筆に必要な準備(参考文献の整理、データの整理、執筆環境の整備など)をすべて終える。
第16回 論文執筆のルール:引用の方法を理解する

論文における引用のルールを理解し、盗用を防ぐ方法を学ぶ。引用とは、他者の著作物(論文、書籍、ウェブサイトなど)の一部を自分の論文で使用することである。引用には、直接引用と間接引用の2種類がある。直接引用は、他者の文章をそのまま引用する方法であり、間接引用は、他者のアイデアや情報を自分の言葉に置き換えて表現する方法である。いずれも、参考文献の情報を適切に明示する必要がある。引用元を明示しない場合、盗用などの研究不正行為とみなされるため、適切な引用方法を理解する。
第17回 論文執筆のルール:注の付け方を理解する

注とは、本文に記載された内容を補足したり、関連情報を示したりするために使用される。注には、脚注 (footnote) と後注 (endnote) の2種類がある。脚注 (footnote) は、各ページの末尾に表示される注であり、後注 (endnote) は、論文全体の末尾にまとめて表示される注である。注を付ける際には、注番号を本文中に記載し、注の内容を脚注 (footnote) と後注 (endnote) に記述することを学ぶ。
第18回 論文執筆のルール:参考文献リストの作成と管理方法を理解する

参考文献リストの作成方法を学び、参考文献の記述形式を統一する。特に、言語教育・言語習得分野の論文で広く用いられている APA スタイル(American Psychological Association Style)を基本として理解する。

APAスタイルでは、参考文献リストは論文の最後に「参考文献」(References)というタイトルで掲載する。各文献の記述形式は、文献の種類(書籍、論文、ウェブサイトなど)によって異なる。著者名、出版年、タイトル、出版社名、掲載雑誌名、ページ番号などの情報を正確に記述する必要がある。参考文献リストは、論文の信頼性を高める上で重要であることを理解する。
第19回 論文執筆:2章(先行研究のまとめ)を執筆する

本章では、自身の研究テーマに関連する過去の研究を整理し、それらの知見や限界を明らかにすることで、自分の研究の位置づけを明確にする。まず、収集した関連文献をテーマごとに分類し、時系列順や重要度順など、最も論理的な配列方法を決定する。各研究の目的、方法、結果、限界点を簡潔にまとめ、それらを批判的に検討し、相互の関連性や矛盾点、未解決の課題がわかるように記載することが求められる。また、適切な引用形式を用いて、他者の研究成果と自分の考察を明確に区別することも重要である。
第20回 論文執筆:3章(分析)を執筆する

本章では、研究課題に対してどのような方法・アプローチで取り組んだのかを説明し、他者が自身の研究を再現できるくらいに詳細かつ正確に記述することが求められる。具体的には、研究デザイン(質的研究、量的研究、混合研究など)の選択理由と妥当性、データ収集の方法(質問紙調査、インタビュー、実験、観察など)、サンプリング方法、調査参加者の属性、使用した測定機材や尺度の信頼性・妥当性などについても可能な限り詳しく説明する。さらに、データ分析の具体的な手順と使用した統計的手法やコーディング方法を詳述し、なぜその分析方法が適切なのかを説明する。研究の倫理的配慮についても言及し、調査参加者の権利保護や情報管理の方法を明確にすること。
第21回 論文執筆:4章(結果と考察)を執筆する

本章では、自身が設定した研究課題に対する答え(検証結果)を示す。収集したデータの分析結果を客観的かつ体系的に提示し、必要十分な統計量とともに報告する。質的データの場合はテーマやカテゴリーなどを明確に示すこと。また、データは数値などを一覧にするだけでなく、グラフ・図などを用いて視覚的に理解しやすいものにすること。

続いて、分析結果が何を意味するのかを考察し、その内容を記載する。結果を先行研究の文脈に位置づけ、一致点や相違点を検討し、なぜそのような結果が得られたのかを解釈する。もし、予想とは異なる結果になっていても、その事実を報告し、その理由を探ることが重要である。加えて、研究の限界点や方法論上の制約についても述べ、結果の解釈における注意点を示すこと。特に留意すべきは、客観的な結果の報告と主観的な解釈を明確に区別することである。
第22回 論文執筆:5章(おわりに)を執筆する

本章では、研究全体を振り返り、主要な発見と今後の展望を簡潔にまとめる。まず、研究の出発点となった問題意識や目的を再確認し、研究の全体像を振り返る。次に、研究を通じて明らかになった主要な発見や結論を、研究課題に即してまとめる。ここでは新しい情報や分析を加えるのではなく、既に本文で述べた重要な点を簡潔にまとめ直すことになる。また、研究の限界点や今後の課題についても率直に述べ、将来の研究への展望を提示する。本章は、他の章に比べてあまり長くなりすぎないように分量に注意し、研究の振り返りを中心にまとめ直すことが重要となる。
第23回 論文執筆:1章(はじめに)を執筆する

本章は、論文の最初に位置する章であるが、研究の全体像が明確になった後に執筆することで、より焦点の定まった導入が可能になるため、最後に執筆する。研究テーマの背景となる社会的・学術的状況を概説し、なぜ自分の研究テーマが重要なのかを説明する。続いて、研究の目的と研究課題を具体的に述べ、どのような問いに答えようとしているのかを説明する。必要に応じて、仮説や予測される結果についても触れても良い。また、本章の終盤においては、論文全体の構成を簡潔に示し、各章でどのような内容を扱うのかを予告する。
第24回 論文執筆:論文全体の内容確認と推敲を行う

論文全体の内容確認と推敲では、AI を活用する。ただし、AI の利用に際しては、教員の指示に従い、機密情報や個人情報を含めないこと、また、論文全体をそのまま AI と共有しないように気をつけること。

まず、論文原稿の一部を AI アシスタントに共有し、文章の明確さと簡潔さを向上させるため、「冗長な表現や不明瞭な文章を特定し、改善案を提示してください」と依頼し、提案された代替案を検討して、執筆者自身が採否を決める。また、論理展開の一貫性を検証するために「論文内での主張と証拠の関係性を分析し、論理的な飛躍や不足している証拠がないか確認してください」と指示することにより、論理的な矛盾点や追加の説明が必要な箇所を特定することができる。最後に、引用と参考文献の確認のため、「引用の適切さと参考文献リストの形式を確認してください」と依頼し、引用の位置や形式の一貫性を確認する。

なお、どの AI を利用したか、どのような指示を与えて、何が回答されたか、それについて自分がどうすることに決めたのかという記録を Notion と Word のコメント機能を用いて記録を残しておくことと、いずれの推敲作業においても、自身で見直すことが不可欠であり、最終的な責任は執筆者自身にあることを理解すること。
第25回 中間発表と修正内容の確認を行う

発表原稿の作成支援として AI を活用し、「論文の主要ポイントについて、研究の背景、目的、方法、現時点での結果、そして今後の方向性という構造に従い、5分間のプレゼンテーション用に要約してください」と依頼する。限られた時間内で伝えるべき重要事項が本当にまとめられているかを執筆者自身が精査する。

発表資料の作成支援においても AI を活用し、「中間発表のためのスライド構成を提案してください。各スライドに含めるべき内容と枚数の目安を示してください」と依頼し、プレゼンテーションの基本構造を決め、その内容を精査した上で資料を作成する。

質疑応答の準備にも AI を活用し、として、「中間発表で予想される質問とその回答案を作成してください」と指示することで、発表後の質疑応答に備える。研究方法の妥当性や結果の解釈、今後の研究計画など、よく出される質問とその回答例を参考に、自身でどう答えるかを想定する。
第26回 個別指導:論文原稿の推敲と校正を行う

まず文章の明瞭性向上のために「各段落の主題文を特定し、段落内の一貫性を評価してください」と AI に依頼し、焦点が不明瞭な部分や再構成が必要な段落を特定に役立てる。文法と表現の校正には、「文法的誤りや不自然な表現を特定し、修正案を提示してください」という指示を行い、主語と述語の不一致、時制の混乱、冗長な表現などを特定して、より自然で学術的な表現への修正を試みる。また、専門用語と概念の一貫性確認のために、「論文全体で使用されている主要な専門用語と概念の一貫性を確認してください」と依頼し、同じ概念に対して異なる用語が使用されていないか、または同じ用語が異なる意味で使用されていないかを確認する。引用と参考文献のチェックにおいては、「各引用が本文中で適切に処理されているか、また参考文献リストがAPA形式で完全かつ正確であるかを確認してください」という指示を出し、引用の形式、引用と参考文献リストの一致を確認する。無論、自分自身で原稿を印刷するなどして読み返す作業は必ず行うこと。
第27回 個別指導:論文提出前の最終確認を行う

ここでは、AI を用いることなく、原稿を印刷した上で、論文全体の論理構造と主張の一貫性に問題がないかについて教員とともに最終確認をする。また形式的な面についても、マージン設定、フォント、見出し、参考文献のリストなどなどに不備がないかをチェックする。
第28回 口頭発表:発表技法について理解する

効果的なプレゼンテーション構造の理解のために「口頭発表の理想的な構造と各部分の目的を説明してください」、「学術的発表で聴衆の注意を引き、維持するための具体的テクニックを提案してください」「学術発表における効果的な非言語コミュニケーション技術とその影響について説明してください」と AI に依頼し、導入、研究背景、方法、結果、考察、結論という一般的な構造を説明し、各セクションの目的と効果的な内容の提示方法について学ぶ。この時、関連書籍も参照すること。
第29回 口頭発表:資料・スライド作成を行う

スライドデザインの原則理解のために「研究内容のプレゼンテーションのためのスライドデザインの原則と良い例・悪い例を説明してください」と AI に依頼し、「シンプルさの維持」「情報の階層化」「一枚のスライドに一つの主要なアイデア」「箇条書きの効果的な使用」「専門用語の適切な説明」「コントラストの活用」「一貫性のあるデザイン」などの原則について学ぶ。この時、関連書籍も参照すること。

発表時間に合わせたスライド構成として、「20分の発表時間に適したスライドの枚数と内容の配分について助言してください」というと AI に依頼し、標準的な発表速度を基に適切なスライド枚数を提案し、導入、方法、結果、考察などの各セクションに割り当てるべき時間とスライド数の目安を把握する。
第30回 口頭発表:リハーサルを行い発表内容とスライドを改善する

リハーサル計画を立案するため、「効果的な発表リハーサルの計画と自己評価の方法を提案してください」と AI に依頼し、段階的なリハーサル計画(内容の確認、タイミングの練習、完全なリハーサル)と、発表の各側面(内容、視覚資料、話し方、ボディランゲージ)を評価するためのチェックリストを作成する。

発表内容の最終調整には、「リハーサル後の発表内容の改善点を特定するための質問リストを作成してください」という指示を AI に出し、「導入部は聴衆の関心を引くものになっているか」「主要なポイントは明確に強調されているか」「結論は研究の意義を効果的に伝えているか」などの自己評価質問を作成し、発表内容の改善点を特定する。

スライドと視覚資料の改善のためには、「リハーサル後にスライドの効果を評価し改善するための具体的なチェックポイントを提案してください」と AI に依頼し、「各スライドの情報量は適切か」「視覚的要素は主要なポイントを強調しているか」「テキストは後方からも読みやすいか」などのチェックポイントと、視覚資料の効果を高めるための具体的な改善方法を確認する。

質疑応答に備えた準備として、「発表内容に基づいて予想される質問と効果的な回答例を作成してください」という依頼を AI に出し、研究方法、結果の解釈、理論的含意、将来の研究方向性などにかかわる予想質問リストを出力させ、それぞれに対する簡潔で明確な回答を自身で仕上げる。
授業外学習の課題 1) 授業計画に沿って卒業研究のための資料収集・データ分析・原稿執筆を行う(週2時間)。
2) 定期的に定められているさまざまな締切に間に合うよう、各種課題を遂行すること。
履修上の注意事項 1) 原則として、火曜日3限にグループ指導(主に前期)・個別指導(主に後期)を行います。
2) 指導時には、自分自身の PC を持参してください。
3) 2026年1月に開催される「卒業研究口頭発表会」に出席し、発表することが単位認定要件のひとつとなります。
4) 必要に応じて、オンラインにて個別指導を行います。
5) 欠席時には、事前にメール等で連絡をしてください。
6) いかなる理由があろうとも、公認欠席を含め、4回を超えて欠席すると単位は認められません。(病気、交通機関の乱れ、就職活動、冠婚葬祭等、一切の事情を含める)
7) 公認欠席は欠席として扱いますが、欠席した授業については、資料配布などを行うことで対応します。
成績評価の方法・基準 卒業研究(論文と口頭発表)全体 (70%)、途中経過の報告 (30%) により,総合的に評価する。

論文と口頭発表については、以下の項目を評価の観点とする。

(1) 論文の構成と論理展開:序論・方法・結果・考察・結論の一貫性があり、明瞭に整理されているか。
(2) データ分析の適切性:適切なデータ収集手法を用い、適切な統計手法・分析を行っているか。
(3) 考察の論理性:分析結果を適切に解釈し、先行研究と照らし合わせた論理的な考察ができているか。
(4) 研究倫理の遵守:剽窃・データ捏造の回避など、研究倫理を遵守しているか。
(5) 口頭発表の質と対応:自分の研究内容を論理的に説明し、スライド等の資料のデザインが適切で、聴衆からの質問に的確に回答できているか。
テキスト ありません。
参考文献 論文執筆に必要な文献を個別指導などを通じてお知らせします。
主な関連科目
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
メールや(オンライン)面談により随時対応します。事前にメール等で連絡してください。

■ルーブリック情報
  AA_秀(合格) A_優(合格) B_良(合格) C_可(合格) D_不可(不合格)
論文の構成と論理展開 序論、方法、結果、考察、結論が明確に整理され、一貫性のある論理展開がなされている。各章のつながりが強く、読みやすい。 各セクションは適切に配置されており、全体的な論理展開も良好。ただし、一部に改善の余地がある。 章立ては適切だが、論理の飛躍や説明不足が一部に見られる。読解には問題ないが、より明確な整理が望まれる。 章立ては整っており、論理の流れも理解できるが、一部のつながりが弱い部分があり、読み手が補完しながら理解する必要がある。 構成が破綻しており、論理の流れが不明瞭。章立てが曖昧で、論文としての体裁をまったく満たしていない。
データ分析の適切性 適切なデータ収集・分析手法を用い、統計・質的分析ともに正確に実施されている。分析結果の解釈も論理的で妥当性が高い。 データ収集や分析の手法は概ね適切で、結果の解釈も適切に行われている。一部に改善の余地があるが、全体として良好。 データ収集や分析の手法に小さな誤りや不備があるが、基本的な流れは問題ない。結果の解釈にはもう少し明確さが必要。 基本的な分析は適切に行われており、データの傾向も示せている。ただし、分析手法の説明がやや不足しているため、より丁寧な記述が必要である。 データ分析が適切に行われておらず、結果の信頼性が極めて低い。分析手法の誤用やデータの扱いに重大な問題がある。
考察の論理性 分析結果を先行研究と照らし合わせ、論理的に解釈できている。自らの研究成果の意義を的確に説明し、今後の研究への示唆が含まれている。 考察の大部分は適切であるが、一部の論理展開が不十分で、結果の解釈に曖昧な部分がある。 結果の解釈に特段の問題は見られないが、一部に論理的な不整合が見られる。 研究結果をもとに考察が行われており、基本的な解釈はできている。ただし、先行研究との関連づけや結論の明確化が必要である。 考察が欠如または支離滅裂であり、研究結果の意味をまったく説明できていない。
研究倫理の遵守 データの正当な使用、適切な引用、倫理的配慮が明確に示されている。剽窃やデータ改ざんの兆候がなく、研究倫理を十分に理解している。 研究倫理は概ね遵守されているが、一部の引用やデータの扱いが不明瞭な箇所がある。細かな修正が必要。 引用の不備やデータの扱いに、特段の問題は見られないが、一部に修正すべき点が残されている。 基本的な研究倫理は守られており、引用も概ね適切。ただし、改善すべき点が多くある。 剽窃、不適切なデータ操作、または研究倫理違反が認められる。
口頭発表の質と対応 研究の背景、目的、方法、結果、考察を明確かつ論理的に説明できる。スライドや視覚資料のデザインが適切で、聴衆の理解を助ける工夫がなされている。質疑応答では、質問に的確に回答し、研究の意義や手法について論理的に説明できる。 研究内容は概ね分かりやすく説明されているが、一部の説明が不明瞭。スライドや視覚資料の工夫がもう少し必要。質疑応答では、質問には概ね対応できているが、一部の回答が曖昧で、説明が不十分な箇所がある。 研究内容は十分に説明できており、発表内容や方法に特段の問題は見られない。発表内容や資料類に軽微な修正点が残されており、質疑応答では、質問への対応にも対応すべき問題が残されている。 研究内容は概ね説明できており、聴衆の理解を助けるスライドも作成されている。質疑応答では、質問の意図を理解し、基本的な受け答えはできている。より具体的な説明や論理的な補足が必要である。 発表が極めて不明瞭で、研究内容の説明が不十分。スライドや資料の準備もなされておらず、聴衆がまったく理解出ていない状態。質疑応答にまったく対応できず、質問への回答が支離滅裂である。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
人文学部英語英文学科(卒業研究) FHEN40701 2017~2022 4 - - - - -
人文学部英語英文学科(卒業研究) FHEN40701 2023~2023 4
人文学部英語英文学科(卒業研究) 22400 2024~2025 4