授業コード | 20080200 | 単位数 | 2 |
科目名 | クィア・スタディーズ | クラス | |
履修期 | 前期授業 | カリキュラム | *下表参考 |
担当者 | 河口 和也 | 配当年次 | *下表参考 |
授業の題目 | クィア・スタディーズ入門 Introduction to Queer Studies |
学修の概要 | 「クィア」という考え方は、主に1980年代終わりから90年代初頭のアメリカで登場し、その後、学問研究/運動・実践の双方の領域で展開されるようになりました。91年にテレサ・デ・ラウレティスが「クィア理論」という用語を提唱したことは、クィア・スタディーズという学問分野が形成される画期とも言えます。 本講義の前半では、レズビアン/ゲイ・スタディーズ、その後のクィア・スタディーズにおいて作り上げられてきた理論がいかに現実の諸問題のなかから生まれ、またその問題自体に介入しようとしてきたかについて体系的に説明します。そこでは、クィア前史、クィア理論とフェミニズムとの関連/分離、フーコーによる影響、エイズ問題におけるクィア理論の活用などを取り上げます。 後半では、ネオリベラリズム体制の浸透によって生起する、おもにセクシュアリティをめぐる諸問題に焦点をあてます。ここでは、クィアと消費社会、クィアの表象、クィア家族の諸問題、同性婚の問題、グローバル化するセクシュアリティなどを取り上げ、クィア理論における様々な概念枠組みを用いることで、考察していきます。 |
学修の到達目標 | 「クィア理論」というひとつの理論的枠組みをとおして学ぶことにより、社会や文化において、歴史的にも、そして現在の時点においても、セクシュアリティが果たす役割を、批判的に考えることができるようになる。 |
授業計画 | 第1回 | イントロダクション:「クィア」とは? 授業の進め方を理解する。「クィア」概念の基本的なことについて理解する。 |
第2回 | クィア前史Ⅰ:セクソロジーの時代/ホモファイル運動 19世紀終わりのセクソロジーの時代から1950年代のホモファイルの時代にいたる歴史的変遷を概観する。 |
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第3回 | クィア前史Ⅱ:レズビアン/ゲイ・リベレーションとレズビアン/ゲイ・スタディーズ 1970年代以降のレズビアン/ゲイ解放運動のなかで、いかにレズビアン/ゲイ研究が誕生したかについて理解する。 |
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第4回 | フェミニズムとセクシュアリティⅠ:ルービン「性を考える」【オンデマンド授業】 フェミニズム理論のなかでセクシュアリティ概念を培ったひとつの研究であるゲイル・ルービンによる論考について理解する。 |
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第5回 | フェミニズムとセクシュアリティⅡ:バトラー『ジェンダー・トラブル』 フェミニズム理論の画期的および重要な研究であるジュディス・バトラーによる『ジェンダー・トラブル』について理解する。 |
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第6回 | ホモソーシャリティの理論:セジウィック『男同士の絆』 クィア研究において重要な概念のひとつであるホモソーシャリティについて理解する。 |
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第7回 | クィア映画とクィア理論 『ゼロ・ペイシェンス』 クィア理論にもとづいて制作されている映画『ゼロ・ペイシェンス』をとおして、エイズ時代の映像作品にいかにクィア理論が影響を及ぼしたかを理解する。 |
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第8回 | エイズ時代をクィアする:映画「ゼロ・ペイシェンス」を題材に 映画『ゼロ・ペイシェンス』をとおして、エイズ時代においてゲイ男性がどのような状況に置かれていたかを理解する。 |
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第9回 | ネオリベラリズム体制とセクシュアリティ ネオリベラリズム体制が、いかにセクシュアリティの領域と切り結んでいるか、またセクシュアリティの領域に影響を及ぼしているかについて理解する。 |
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第10回 | クィアな家族【オンデマンド授業】 クィアによる非規範的家族がいかに形成され、その家族のなかでどのような生活が営まれているについて理解する。 |
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第11回 | クィアのドラマ表象:ホームドラマ『きのう何食べた?』 クィアのドラマ表象が、いかにセクシュアリティを可視化/不可視化するかを考察する。 |
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第12回 | クィア理論とアート クィアが作り出したアートがいかにクィア理論と関連しているか、またいかにアートはクィア理論により分析できるかを理解する。 |
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第13回 | 「同性婚」をクィアする 同性婚をめぐってクィア理論はいかに呼応するかについて考察する。 |
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第14回 | グローバル・クィア 世界に存在する多様なセクシュアリティを概観し、グローバル化という枠組みのなかで変容するセクシュアリティをめぐる諸問題を考察する。 |
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第15回 | 総括と試験 これまでの授業内容のまとめと、試験を行う。 |
授業外学習の課題 | 事前学修(2時間程度):毎講義の最後に次回の講義テーマを発表するので、各自でできる限り調べて予備知識を集めておき、関係する事柄について調べておくこと 事後学修(2時間程度):講義中にわからなかった用語については、次回までに各自で調べること 講義のなかで読むことを求められた文献は必ず事前に読んで理解するようにしてください。また、授業に関連した小レポートなどを課すことがありますので、準備を怠らないようにしてください。 指示された参考文献や資料などは必ず事前に読んでおいてください。読んであるものとみなして授業をします。 |
履修上の注意事項 | ※本講義で使用する資料等は、Moodleにてダウンロードできるようにします。 提出物やレポートなどは必ず指定された期限内に提出すること。 授業用の配布資料や課題などは、Moodleに掲載することがありますので、確認してください。 小テストやプレゼンテーション時に公認欠席となる場合、追試や代替措置で対応します。 ハイブリッド型授業を行います。(Moodle使用) |
成績評価の方法・基準 | 授業中に行う数回の小テスト(70%)と授業内で課すレポート(30%)で総合的に評価します。 |
テキスト | 風間孝・河口和也 2010 『同性愛と異性愛』 岩波書店 風間孝・河口和也・守如子・赤枝香奈子 2018 『教養のためのセクシュアリティ・スタディーズ』 |
参考文献 | 授業に適宜指示します。 |
主な関連科目 | 性現象論、性現象論演習、クィア・スタディーズ演習 |
オフィスアワー及び 質問・相談への対応 |
質問や相談は、授業中あるいは授業後に対面で対応するとともに、または日常的にはメールで受け付けます。 |
所属 | ナンバリングコード | 適用入学年度 | 配当年次 | 身につく能力 | ||||
知識・技能 | 思考力 | 判断力 | 表現力 | 協創力 | ||||
人文学部人間関係学科社会学専攻(社会学専門科目) | FHHS23231 | 2017~2022 | 2・3・4 | - | - | - | - | - |
人文学部人間関係学科社会学専攻(社会学専門科目) | FHHS23231 | 2023~2023 | 2・3・4 | ○ | ○ | - | - | - |
人文学部社会学科(社会の諸領域に関する科目) | 24300 | 2024~2025 | 2・3・4 | ○ | ○ | - | - | - |