授業コード 20021952 単位数 2
科目名 ヒロシマ文化論Ⅱ クラス 52
履修期 後期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 中道 豪一 配当年次 *下表参考

授業の題目 石門心学を通して広島の文化を考える -心を磨き続けた人々の歩み-
学修の概要 本講義は石門心学を通して広島の文化に触れることを目的とします。

石門心学とは、京都の町人石田梅岩が説き全国に広まった教えのことです。これは日常の行いを正すことを目的に展開された教えで、当時勢力を持っていた神道・儒教・仏教という宗教を、人の心を磨くツールとしてとらえた点が特徴でした。そしてその名を歴史に刻んだのは、その教えを平易なたとえ話で広めた点です。結果、その教えは町人のみならず農民・武士・公家にまで拡大し全国的に広まりました。

こうした石門心学の一大拠点だったのが、なんとこの広島だったわけですが、その事績は今や忘れ去られてしまいました。現在の平和記念公園で行われた講演をきっかけに、多くの人が石門心学に親しんだ歴史を広島の文化として語り継ぐ人はほとんど存在していません。

そこで本講義は石門心学に関する基本的な知識を身に着けたうえで、この広島の町で展開された教えと活動を確認し、広島の文化を論じる知識を修得してもらいます。江戸時代の庶民に愛された道話(石門心学の講話)や当時の史料も紹介していきますが、詳しい歴史知識や古文や漢文の知識がなくても受講できるよう工夫を加えてあるので安心してください。

現代でいえば共生といった概念にも通じ、日本人の宗教性・道徳観に大きな影響を与えたといわれる石門心学。この機会に触れてみるのはどうでしょうか。
学修の到達目標 1)石門心学の歴史的経緯や現代社日本会への影響などについて説明することができる
2)広島で活躍した心学者の事例を説明することができる
3)石門心学の教えに関する著作を説明することができる
4)石門心学を通して広島の文化について意見をもつことができる
授業計画 第1回 石門心学と広島の文化について ―忘れられた心を重んじた人々の足跡―
 →石門心学を創始した石田梅岩についての基本的内容を理解する(中道豪一「石門心学と広島」)
 →平田雅彦の心学評価を理解する(『企業倫理とは何か 石田梅岩に学ぶCSRの精神』
※講義中にガイダンス(講義の進め方、評価方法などの説明)を実施します
第2回 石門心学と現代日本への影響 ーわかりやすさと人間観ー
 →石門心学の教えを分かりやすく説いた「道話」や、心学者の行った児童教育の事実と意義を知る(手島堵庵『児女ねむりさまし』など)
 →善玉・悪玉(『心学早染草』)を通し現代日本文化への影響を理解する
 →現代も続く心学組織(明誠舎)の存在を理解する
第3回 石門心学の道話に触れる ー柴田鳩翁『鳩翁道話』ー
 →石門心学の代名詞といわれる道話の中でも、評価の高い『鳩翁道話』に触れ、道話の概要を理解する
 →「霍乱とはくらん」の道話が訴える内容を理解できる
 →柴田実『石田梅岩』の該当箇所を参照し、石門心学の理解を深める
第4回 石門心学の開祖 石田梅岩は人々に何を伝えたかったのか?1 ー石田梅岩『都鄙問答』を読むー
 →「理ー性ー心(本心)」の関係をふまえ、梅岩の教えが「性学」と呼ばれた意味を理解する
 →性能等の単語から古代中国の哲学が、形を変えつつ発展し、現在にまで到達していることを理解する
 →商人にとっての「性」とは何かを理解する。
 →広島に石門心学を導いた商人(藤井黄山)についての事績や意義を理解する
第5回 石門心学の開祖 石田梅岩は人々に何を伝えたかったのか?2 ー石田梅岩『倹約斉家論』を読む―ー
 →石門心学のいう「正直」「倹約」と、一般でいわれる「正直」「倹約」の差異を理解する
 →平田雅彦『企業倫理とは何か 石田梅岩に学ぶCSRの精神』の該当箇所を参照し、理解を深める
第6回 石門心学を広めた人々の教えと工夫1 ー『鳩翁道話』を読む―ー
 →石田梅岩ー手島堵庵ー中沢道二の流れを理解できる
 →「天王山のカエル」「サザエ」の道話を通して、本心とその発揮を妨げる私案・私心の存在を理解する
 →石川謙校訂『鳩翁道話』の該当箇所を読み理解を深める
第7回 広く石門心学を広めた人々の教えと工夫2 ーさまざまな施印に触れるー
 →施印に込められた教育的工夫を理解する(施印の実物を見て、その意味を理解する)
 →手島堵庵・上河淇水によって整備された心学者養成方法を理解する
 →海外における石門心学の評価に触れ、その意義を理解する
第8回 広島石門心学の教えと活動(江戸時代1)―矢口来応・奥田頼杖・中村徳水―
 →広島心学の特徴を、他地域との比較を通して理解する
 →『江戸時代 人づくり風土記 34広島』の該当箇所を通して理解を深める
第9回 広島石門心学の教えと活動(江戸時代2)ー『心学道の話』の全体像に触れるー
 →奥田頼杖の置かれた苦境から、「本心」に沿った生き方の実例を理解する
 →「正宗」「擂粉木ばあさん」の道話が訴える内容を理解する
 →奥田頼杖の長州藩での活躍を通し、石門心学の時代的評価・意義を理解する
第10回 広島石門心学の教えと活動(江戸時代3)ー『心学道の話』の全体像に触れるを読む
 →昔話の活用、「貧乏神」「花扇」といった道話の訴える内容を理解する
 →奥田頼杖が程顥の「万物静観皆自得 四時佳興与人同」をどのように考えたかを理解する
第11回 広島石門心学の教えと活動(江戸時代4) ー広島心学者の得意技 山姥の道話ー
 →山姥が一体何を喩えているのかを理解する
 →「性」に従うこと、「本心」に生きるということが何を指すのか理解する
第12回 広島石門心学の教えと活動(明治和時代)―眠りにつく石門心学―
 →石門心学が衰退した理由として、大教宣布運動を含む事由を挙げ、その全体像を理解する
 →宮本愚翁や賀屋忠恕の事績を通して、広島心学の歩みを理解する
第13回 広島石門心学の教えと活動(大正~昭和前期)―石門心学を評価する人々―
 →皇族や軍人や文化人たちの再評価の流れと、その時代的背景を理解する
 →山田敬斉(参前舎)・石川謙(研究者)の活躍と、それを支えた高松宮宣仁(皇族)の関係を理解する
 →「賀屋家の人々」、『石門心学講話』の該当箇所を参照し、理解を深める
 →広島市における西晋一郎や縄田二郎の活動を通し、心学に期待されたものを理解する
第14回 広島石門心学の教えと活動(昭和20年以降)―よみがえる石門心学とその後―
 →高松宮宣仁(皇族)と石門心学会の活躍を通して、戦後、心学に期待されたものを理解する
 →山田敬斉(参前舎)の道話を参照し、当時の実態を理解する
 →広島市における活動(岡野竜一)の実態を理解する
第15回 現代と石門心学(平成時代)―石門心学の再評価と誤った解釈―
 →稲盛和夫、ロバート・N・ベラ-の心学評価を理解する
 →心学を間違って理解し、誤情報を発信している実例を通し、理解を深める
授業外学習の課題 講義時に指示します。その他Googleclassroomで授業外学習資料を「参考資料」としてアップロードすることもあります。【60~90分程度】
履修上の注意事項 【1・「Google classroom」登録について】

①「ブレンド型(対面+オンデマンド)」で実施します。
②「Google classroom」を使用するので、履修者確定段階で受講者全員に「Google classroom」のクラスコードを通知します。(※確認の方法が分からない学生は「教学センター」へ問い合わせてください)初回講義日までに登録を済ませておきましょう。
③毎回の講義資料は「Google classroom」で配信します。(講義直前の金曜日08:00を目途)
④各自、アップロードされたデータを出力して講義に出席してください。
⑤5・10回講義終了後に「Google classroom」で小課題を実施予定です。※受講状況によっては、小テストになる場合や、実施しない場合もあります。


【2・講義内容に関する注意事項】

①古文・漢文・くずし字等の専門知識は必要としません。
②理解を促すために関連映像を視聴することがあります。
③全15回の講義のうち10回以上の出席を評価対象とします。6回欠席すると評価対象外となります。
④公認欠席は出席になりません。

【3・授業外学習に関する注意事項】
①講義中に紹介しますが、現在WEB上には誤った情報が拡散されています。(※特に12回は決定的な事例があります)小課題実施時や試験時には注意してください。
成績評価の方法・基準 100点を満点とし、得点配分は以下のようになります。
学期末試験(60%)…小課題や確認小テストを実施しない場合は試験(100%)になります
講義への取組み(40%)…小課題(×2)か確認小テスト(受講状況によっては実施しないことがあります)
テキスト 毎回「Google classroom」で配布する資料を使用します。書籍を購入する必要はありません。
参考文献 専門書①石川謙『石門心学史の研究』(岩波書店 昭和13)
専門書②及川大渓『広島の心学』(国書刊行会 昭和49)
一般書①平田雅彦『企業倫理とは何か 石田梅岩に学ぶCSRの精神』(PHP研究所 平成17)
一般書②柴田実『石田梅岩』(吉川弘文館 昭和63)
一般書③加藤秀俊 編『江戸時代 人づくり風土記 34広島』(農山漁村文化協会 平成3)
他にも様々な書籍が出版されているので講義の中で随時紹介していきます。
主な関連科目
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
■対面:講義時間の前後で質問などを受け付けます。
■それ以外の場合は「Google classroom」のコメント機能を利用してください(※「非公開」設定を推奨します。公開設定にしてしまうと、連絡内容が受講者全員に見えてしまいます)
■「Google classroom」のコメント欄が使用できない人は、「Google classroom」に記載してあるメールアドレスに連絡してください。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
人文学部人間関係学科社会学専攻(人間関係学科科目) FHHS21105 2017~2022 1・2・3・4 - - - - -
人文学部人間関係学科社会学専攻(人間関係学科科目) FHHS21105 2023~2023 1・2・3・4 - - -
人文学部教育学科(関連学科科目) FHED15104 2017~2022 1・2・3・4 - - - - -
人文学部教育学科(関連学科科目) FHED15104 2023~2023 1・2・3・4 - - -
人文学部教育学科(人文学部総合科目) 23200 2024~2025 1・2・3・4 - - -
人文学部英語英文学科(関連科目) FHEN21103 2017~2022 1・2・3・4 - - - - -
人文学部英語英文学科(関連科目) FHEN21103 2023~2023 1・2・3・4 - - -
人文学部英語英文学科(人文学部総合科目) 22200 2024~2025 1・2・3・4 - - -
人文学部社会学科(人文学部総合科目) 24200 2024~2025 1・2・3・4 - - -