授業コード 20021801 単位数 2
科目名 ヒロシマ文化論Ⅰ クラス 01
履修期 前期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 中道 豪一 配当年次 *下表参考

授業の題目 忘れ去られた広島の文化と歴史 -人々の暮らしと祈り-
学修の概要 本講義は、現代広島から忘れ去られた郷土の文化や歴史について、「日々の暮らし」や「祈り」といった切り口からアプローチします。

令和元(2019)年は、浅野氏が広島城に入り400年という節目の年にあたり、色々な場所で関連する催しが企画・実行されました。そうした試みはたいへん素晴らしいのですが「人々が何を大切にして生活してきたのか」という切り口から、広島の文化や歴史を解き明かしてくれるアプローチは決して多くありませんでした。

そうした意味で、現代の広島という空間は「原子爆弾で破壊された広島」「原子爆弾の悲劇を語り継ぐ」ことには力を注いでいるものの、「原子爆弾で亡くなった人々が大切にしていた文化や歴史」を見つめ受け継いでいく作業については、あまり力が注がれていないといえるのではないでしょうか。(旧暦6月17日の管絃祭にまつわる賑わいは、それを象徴しています)

そこで本講義は、原爆投下前における広島市中心部の町々で展開されていた生活を紹介した薄田太郎の著作(エッセイ)をはじめとする文献を切り口に「日々の暮らし」や「祈り」を追体験していくことに力を注ぎます。そして原爆投下前の広島の地図、江戸時代の古地図・古絵図や文献を教材として用いることで、広島の町で培われてきた文化や歴史を、立体的に実感する経験を積んでいきます。

本年は原爆投下から80年の節目の年です。かつての広島の町を描いた文章や地図といった諸史料を通し、現代広島が置き去りにしてしまった広島の文化や歴史を学び、次の世代に伝えていくことに主眼を置いているので、関心ある学生の参加を期待します。
学修の到達目標 1)広島市中心部で大切にされていた文化や歴史を、具体例を挙げ説明することができる
2)実際の地名・施設名に関して正確な説明をすることができる
3)現代広島における文化の状況を説明することができる
4)地図や史料を使用して現代との違いを説明できる
5)薄田太郎をはじめとする文献についての感想を述べることができる
授業計画 第1回 忘れ去られた祈りの記憶-旧暦6月17日 管絃祭-
 →広島の人々にとって「旧暦6月17日 管絃祭」がどういう意味を持っていたか理解する
 →現在の平和記念公園の地にあった厳島大明神の存在・意義を理解する
※講義開始時にガイダンス(講義の進め方・評価方法など)を実施します
第2回 旧暦6月17日における広島市中心部の風景
 →御供船・九軒町磧の火振り・高提灯など、広島人が喜び楽しんだ事例を理解する
 →本川・京橋川・白島など、舞台となった地の地理的特徴を理解する
第3回 原爆投下前の広島にアプローチできる文献史料
 →薄田太郎・小鷹狩元凱らの著作、『広島諸商仕入買物案内記』の特徴を理解する
 →正徳年間・享保年間の絵図をはじめ、主要な絵図・古地図の存在と意義を理解する
第4回 水都広島 ー水の恵みを受け水と戦いながら成長した町の歩みー
 →7本の川・2本の運河・多数の水路などの存在と、干拓や埋め立ての歴史を理解する
 →広島の町を発展させた陸の動線と水の動線を理解する
 →新天地・京口門・八丁堀界隈の変遷を事例に、町の発展の姿を理解する
第5回 比治山界隈の風景 ー自然あふれる広島人祈りの地ー
 →人々に愛された鶴見橋をはじめ、自然の豊かさを示す地名(谷の名前など)を理解する
 →御便殿・安養院など現在なくなってしまった社寺・施設をも含め比治山の地理的特徴を理解する
第6回 京橋川界隈の風景 ー広島人に愛された柳ー
 →京橋川沿いの平塚・京橋町、柳橋・京橋などを事例に、動線の存在と町の賑わいの関係を理解する
 →広島人に愛された「柳」の事実を理解し、それを詠んだ俳句などを理解する
第7回 胡町・堀川町・八丁堀界隈の風景 ー平田屋川を意識して町を理解するー
 →平田屋川界隈で発達した町々の様子を理解し、現在の賑わいとの関連を理解する
 →西国街道の意義や歴史的推移を理解する
 →「極楽実見の霊樹」をはじめとする広島の昔話を理解する
第8回 猿楽町・大手町界隈の風景 ー西塔川を意識して町を理解するー
 →西塔川界隈で発達した町々の様子を理解し、現在の賑わいとの関連を理解する
 →国泰寺の大樟など、原爆投下前まで大切にされてきた風景や事例を理解する
 →三原屋小路など、地元の人々に愛されてきた小路の存在と意義を理解する
第9回 宇品界隈の風景 ー浅野長勲から始まる物語ー
 →千田貞暁の偉業は、浅野長勲によって始まり、服部長七・保田八十吉・田中喜四郎らの尽力によって完成したことを理解する
 →宇品築港と宇品小学校・広陵学園・中国自動車学校・広島銀行など、現存する諸施設との関係を理解する
第10回 現平和記念公園界隈(中島地区)の風景 ー賑わいと祈りの地ー
 →中島本町・材木町・天神町などの存在と、この地域が持つ地理的特徴を理解する
 →誓願寺の厳島大明神・妙法寺の瘡守大明神・西福院の淡島大明神の存在と来歴を理解する
第11回 西地方町・水主町界隈の風景 ーその地に関わる人々を通してー
 →西地方町の特徴を通して広島市中心部西部地域の歴史的推移を理解する
 →西地方町・水主町にまつわる人物(誓真・銅蟲・八幡元など)の功績を理解する
第12回 舟入・江波町界隈の風景 ー干拓によって姿を変えるー
 →西遊郭や羽田別荘にまつわる賑わいと歴史的推移を理解する
 →松五郎事件など、口承で伝えられる物語の存在と意味を理解する
 →江波島時代に端を発する江波の歴史的意義を理解する
第13回 油屋町・猫屋町・堺町界隈の風景 ー忘れ去られた賑わいの姿に迫るー
 →雲石街道・西国街道・本川(猫屋川)という動線を意識し町の歴史的意味と時代的推移を理解する
 →資産家が多く住む塚本町の森川脩蔵をはじめ、油座などの事項から地域的特徴を理解する
第14回 広瀬町・西御堂町・天満町界隈の風景 ー町々と神仏との関りを理解するー
 →広瀬神社や天満神社をはじめ、洞春寺などの社寺と地域との結びつきを理解する
 →移動する胡子神社の伝承を通し、原爆投下前と投下後の生活文化の継続度を理解する
第15回 白島町・牛田町界隈の風景 ーまとめと共にー
 →縄文時代に端を発する牛田の地域的特徴を理解する
 →白島十カ寺・三軒紺屋・正観寺などの事項を通し白島の地域的特徴を理解する
授業外学習の課題 ①講義範囲で扱わなかった箇所(テキスト『古地図と歩く広島』)を確認しましょう。【1~2時間程度】
②現代では閲覧の難しい史料や資料も「Google classroom」の「参考資料」にアップロードします。【1~2時間程度】学習に活用してください。
③講義前に、「Google classroom」にアップロードした講義回のレジュメに目を通しておいてください。
履修上の注意事項 【1・「Google classroom」登録について】

①「ブレンド型(対面+オンデマンド)」で実施します。
②「Google classroom」を使用するので、履修者確定段階で受講者全員に「Google classroom」のクラスコードを通知します。(※確認の方法が分からない学生は「教学センター」へ問い合わせてください)初回講義日までに登録を済ませておきましょう。
③講義資料は「Google classroom」で配信します。(講義直前の金曜日08:00を目途)
④各自、テキストと地図、アップロードされたデータを出力して講義に出席してください。
⑤5・10回講義終了後に「Google classroom」で小課題を実施予定です。※受講状況によっては、小テストになる場合や、実施しない場合もあります。

【2・講義内容に関する注意事項】

①古文・漢文・くずし字等の専門知識は必要としません。
②理解を促すために関連映像を視聴します。
③全15回の講義のうち10回以上の出席を評価対象とします。6回欠席すると評価対象外となります。
④公認欠席は出席として扱いません。
成績評価の方法・基準 100点を満点とし、点数配分は以下のようになります。
①学期末試験(60%)…小課題や小テストを実施しない場合は試験(100%)になります
②講義への取組み(40%)…小課題(×2)か小テスト(受講状況によっては実施しない場合もあります)
テキスト ①中道豪一『古地図と歩く広島』(南々社 令和5) 
②『戦時下の廣島復刻(昭和14年当時の地図と職業別明細図廣島市)』(あき書房)
 ※①②ともに書き込みを行います
参考文献 ①薄田太郎『がんす横丁』(たくみ出版 昭和48)
②薄田太郎『続がんす横丁』(たくみ出版 昭和48)
③薄田太郎『続々がんす横丁』(たくみ出版 昭和48)
④薄田太郎『がんす夜話』(たくみ出版 昭和48)
⑤NHK広島編『わがなつかしの広島』(広島地域社会研究センター 昭和55)→絵を集めた本
⑥小鷹狩元凱『元凱十著』弘洲雨屋 昭和5
⑦『知新集』(『新修広島市史』第6巻 広島市 昭和34)
※このほかにも原爆投下前の広島を紹介した本は多数存在するので、随時、講義中に紹介します。関連する箇所は「Google classroom」にアップロードします。
主な関連科目 都市社会学、地域社会学
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
■対面:講義時間の前後で質問などを受け付けます。
■それ以外の場合は「Google classroom」のコメント機能を利用してください(※「非公開」設定を推奨します。公開設定にしてしまうと、連絡内容が受講者全員に見えてしまいます)
■「Google classroom」のコメント欄が使用できない人は、「Google classroom」に記載してあるメールアドレスまで連絡してください

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
人文学部人間関係学科社会学専攻(人間関係学科科目) FHHS21104 2017~2022 1・2・3・4 - - - - -
人文学部人間関係学科社会学専攻(人間関係学科科目) FHHS21104 2023~2023 1・2・3・4 - - -
人文学部教育学科(関連学科科目) FHED15103 2017~2022 1・2・3・4 - - - - -
人文学部教育学科(関連学科科目) FHED15103 2023~2023 1・2・3・4 - - -
人文学部教育学科(人文学部総合科目) 23200 2024~2025 1・2・3・4 - - -
人文学部英語英文学科(関連科目) FHEN11103 2017~2022 1・2・3・4 - - - - -
人文学部英語英文学科(関連科目) FHEN11103 2023~2023 1・2・3・4 - - -
人文学部英語英文学科(人文学部総合科目) 22200 2024~2025 1・2・3・4 - - -
人文学部社会学科(人文学部総合科目) 24200 2024~2025 1・2・3・4 - - -