授業コード 00043500 単位数 2
科目名 メディア論 クラス
履修期 前期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 船津 靖 配当年次 *下表参考

授業の題目 大戦後80年の国際ニュースと主要メディア International News and Mainstream Media 80 Years After World War Ⅱ
学修の概要 新聞・テレビなど主要メディアは社会を知る大切な情報源です。国際ニュースを中心に、①ニュースの内容、②メディアの仕組み~を講義します。記者としての実務経験を随時反映します。元国連大使のご講演が1回分入る予定です。
2025年は数千万人が殺された第二次世界大戦、そして「大日本帝国」の敗戦・崩壊から80年。①の内容では、戦争を推進した支配層、メディア、国民の熱狂、戦争の悲惨な実態を直視し、原爆投下の背景や核兵器の拡散、さらに現在の旧ソ連圏・中東の戦争を取り上げます。戦後の日本外交・安全保障の理解に必要な日米安保や憲法9条、核兵器をめぐる争点を解説します。経済、科学技術、事件事故の取材にも触れます。②については、新聞・放送業界の組織構造や慣習などのほか、本の書き方、出版業界の実情も扱います。
 レジュメやパワポを使い、学生の質問、感想も題材に、一緒に考えていきます。民主主義と言論・表現の自由を支える「事実」が、SNSやAIの偽情報、陰謀論で揺らいでいます。教員よりもSNSに詳しい学生の皆さんの体験を参考にさせてください。人間の認識能力には制約や党派性があり、「無知」であることから逃れられる人はいません。
 論作など文章の書き方、就活や実務での心構えを話します。独自の「思考力」にこだわるより、手間暇を惜しまず調べ、様々な人々から学ぶことを推奨します。三人寄れば文殊の知恵です。大きなニュースが飛び込めば以下の授業計画は柔軟に変更します。

【実務経験】
 共同通信社の地方3支局で警察、裁判所、県庁、市役所、知事選・国政選挙などを取材。外信部、モスクワ、エルサレム、ロンドン特派員、ニューヨーク支局長。東京本社で国際経済担当デスクや科学・文化・運動を含む重要ニュース全般の速報・編集管理や企画・論説を手掛けた。
学修の到達目標 好悪ではなく客観的な事実や論理で考えられるようになる。個人の尊厳、人権、言論・報道の自由、事実確認、公権力監視、多角的・複眼的な分析の大切さを学ぶ。信頼性・優先度の高い情報を素早く選び出せるようになる。フェイクニュースの生成過程を理解し、騙されないようになる。自分自身を含め人間がその時代の思想の制約を受けていることを学び、権力関係や利害関係を客観的に観察できるようになる。組織や団体の建て前と本音、看板と実態の違いを見抜けるようになる。実務におけるスピード、正確性、確認作業とチームワークの大切さが理解できるようになる。
授業計画 第1回 主要メディア:日本と米英のメディア、報道の使命、
 部数減に苦しむ日本の全国紙、電子版が拡大するニューヨーク・タイムズなど主要メディアに注目し、事実確認や報道の重要性を説明できるようになる
第2回 第2次トランプ米政権の衝撃:超大国のポピュリズム、帝国主義
 国際政治における米大統領の突出した影響力、国際報道における米メディアの主導性を指摘できるようになる
第3回 保守とリベラル:反急進主義の知恵と進歩主義の理性
保守とリベラルは政治思想の分布を理解する基本。その特徴と多義性、あいまいさを説明できるようになる
第4回 刑事事件の捜査と報道:刑罰と人権、冤罪
 殺人、業務上過失致死など重大な刑事裁判の手続きと犯罪報道の実際、問題点を学ぶ
第5回 憲法前文と9条2項:出生の秘密、解釈の変遷
 前文のリベラル・デモクラシーや国連憲章と9条2項の「戦力不保持」の関係について論点を指摘できるようになる
第6回 戦前・戦中の新聞:アジア・太平洋戦争の大本営翼賛報道、五・一五事件
 「鬼畜米英」「大東亜共栄」をスローガンに侵略戦争に協力した新聞の責任、国民の熱狂と悲惨を指摘できるようになる
第7回 ホロコーストと反ユダヤ主義:史上最悪の集団虐殺と人種主義、キリスト教極右ナショナリズム
 ナチス・ドイツの大罪、日独の軍事同盟から現在のホロコースト否定論、白人至上主義について基本的な事項を説明できるようになる
第8回 沖縄戦と原爆投下、ソ連参戦:国体護持と降伏の遅れ
 軍部と宮中の情報力の欠如、情勢認識の甘さと保身から約百万人が犠牲になった80年前の歴史を説明できるようになる
第9回 日米同盟と核の傘:核兵器と抑止力
 日米安保条約や核不拡散条約について学び、日本の論点と国際安全保障について述べることができるようになる
第10回 中間まとめ:質疑応答と文章作法
 授業を振り返り、経済・社会・科学ニュースの要点を整理し、論作の技術を活用できるようになる
第11回 西田恒夫・元国連大使講演「大国の無責任エゴと国連そして日本」
 平和研究でも高名な日本外務省の元高官の講演を聴き、アメリカ、国連、日本の課題や問題点を指摘できるようになる
第12回 選挙の取材と報道:政党とメディア
 政治家と記者の関係、当確判断、東京都議会選挙や参議院選挙の情勢について述べることができるようになる
第13回 立花隆と田中角栄:調査報道と総理大臣の辞任・逮捕
 博覧強記の「勉強魔」ジャーナリスト立花隆と、米国発ロッキード事件の報道について要点を指摘できるようになる
第14回 平等と安全:女性・障がい者、防災
 先進国で異例の日本女性の地位の低さ、地震・災害への備えについて説明できるようになる
第15回 最終まとめ:情報と知識の大切さ
 期末試験に備えて知識を確認し、固有名詞を列挙したり重要事項を説明したりできるようになる
授業外学習の課題 事前学修(1時間半程度)共通の情報インフラとしてNHKのニュース防災アプリhttps://www3.nhk.or.jp/news/(無料)に目を通して授業に臨む。日経新聞(電子版含む)など全国紙や中国新聞、民放の報道番組に接する。週間リポートを読む。Moodle掲載の資料に目を通す。
事後学修(2時間半程度)レジュメや資料、講義ノートを復習する。興味のある分野を調べる。課題に質問や感想・考察を書く。
履修上の注意事項  講義内容をノートにとる。書くことで正確な知識が定着する。欠席や遅刻の多い学生は歓迎しない。私語は迷惑。不正行為には最大限、厳格に対処する。
 学生の質問や感想を授業に役立てる。褒められれば歓び、欠点を指摘されても気にしない。文章を直されない人はプロでもいない。
 科目の特性上、対象は多岐にわたる。授業でレジュメや資料をすべて解説することはできない。興味のある部分を自分で調べる。
 公認欠席は欠席として扱うが、単位認定要件や期末試験の受験要件に影響しないように配慮する。
成績評価の方法・基準  期末試験約80% 受講状況等20% 期末試験の受験は原則として10回以上の出席が必要だが、相談してくれれば個人的事情にできるだけ考慮する。
テキスト  Moodleに掲載するレジュメや新聞記事、資料。
参考文献  『英文対訳日本国憲法』、篠田英朗『はじめての憲法』『ほんとうの憲法』、佐々木隆著『メディアと権力』、前坂俊之『太平洋戦争と新聞』、古関彰一『増補改訂版 日本国憲法の誕生』、加藤典洋著『9条入門』、竹内洋『革新幻想の戦後史』(上下)など随時紹介する。
主な関連科目  国際ジャーナリズム論、政治と社会(アメリカ、中東)
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
 質問は授業中もMoodleやメール(funatsu@shudo-u.ac.jp)でも歓迎し評価します。授業後、時間の余裕がある限り対応します。重要な質問には次の授業で触れます。期末試験についてはMoodle上に正解や講評を掲載します。学生から求めにはできるだけ対応します。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
商学部商学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -
商学部経営学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -
経済科学部現代経済学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -
経済科学部経済情報学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -
人文学部教育学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -
人文学部英語英文学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -
人文学部社会学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -
法学部法律学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -
法学部国際政治学科(一般教養科目) 2024~2025 2-4 - - - - -
人間環境学部人間環境学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -
健康科学部心理学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -
健康科学部健康栄養学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -
国際コミュニティ学部国際政治学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -
国際コミュニティ学部地域行政学科(一般教養科目) 00100 2024~2025 2-4 -