授業コード 93209400 単位数 2
科目名 地域・歴史研究Ⅸ(東アジア政治思想史) クラス
履修期 前期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 藤井 隆 配当年次 *下表参考

授業の題目 近代中国の政治社会思想
学修の概要 中国は近代以降、デモクラシーや立憲主義などヨーロッパに由来するさまざまな政治思想や政治システムを移入してきたが、そこには多くの困難や曲折があった。本講義では、19世紀末から20世紀(清末から中華人民共和国まで)の中国における多様な政治言説を、思想史的アプローチによって読み解く。履修者の問題関心も考慮しつつ、毎回、近代中国思想史関係の研究書や論文を材料として、討論形式で授業を進める。
学修の到達目標 近代中国の直面したディレンマを理解し、思想史的視角から近現代中国の政治言説を捉え分析する力を養うこと。
授業計画 第1回 ガイダンスとイントロダクション
中国における「近代」の意味を政治思想の観点から理解する。
第2回 思想史系の論文の作法について学ぶ
思想史の論文はどのような構造をもつのかを理解する。
第3回 政治思想における重要な概念・イデオロギーを学ぶ。➀
「自由」と「リベラリズム」を理解する。
第4回 政治思想における重要な概念・イデオロギーを学ぶ。②
「民主」と「デモクラシー」を理解する。
第5回 政治思想における重要な概念・イデオロギーを学ぶ。③
「民族」と「ナショナリズム」を理解する。
第6回 ヨーロッパ近代思想が中国の知識人たちにどのように受容されたのかを知る。➀
清朝末期から新文化運動までの政治思想の受容の歴史を理解する。
第7回 ヨーロッパ近代思想が中国の知識人たちにどのように受容されたのかを知る。②
五四運動から中華人民共和国の成立までの政治思想の歴史を理解する。
第8回 ヨーロッパ近代思想に対する中国の知識人の反応の諸相を知る。
「科学と人生観」、「民主と独裁」、「全面的西洋化論と中国本位文化論」などの論争を理解する。
第9回 近代中国知識人のリベラリズム観を知る。
"liberty"が「自由」と訳されるにいたった経緯と「自由」観をめぐる議論を理解する。
第10回 近代中国知識人のデモクラシー観、リパブリック観を知る。
「君主か民主か君民共主か」から「共和国」論への推移を理解する。
第11回 近代中国における民族主義(ナショナリズム)の起源とその展開を知る。➀
"nation"に対する2つの解釈と「五族共和論」の形成を理解する。
第12回 近代中国における民族主義(ナショナリズム)の起源とその展開を知る。②
「中華民族」という概念の創造とその再提起の意味を学ぶ。
第13回 近代以前の伝統中国政治思想を知る。
1.先秦から儒学一統までの政治思想の生成・変化と特徴を理解する。
2.宋代新儒学以降の新展開を理解する。
第14回 日本と中国を比較しつつ、アジアの政治思想における近代とはいかなるものであるかを考察する。
1.「人治/法治」論と「法の支配」観念に対する日中の相違を学ぶ。
2.儒学的人性論と立憲主義的個人観との融合の可能性について考察し、自分の考えをまとめる。
第15回 今学期の授業を通じて、中国の近代政治思想について特に興味を抱いた論点について、討議を行い、政治思想の意義と力を理解する。
授業外学習の課題 毎回、指定された文献を読み、分析し、問題点を見出しておくこと。学習時間は最低でも2時間は必要。
履修上の注意事項 毎回、指定された文献を読み込んで問題点を見出し、積極的に自己の議論を組み立て、討論に参加すること。
レポート課題を2回課す(中頃と最終回)。1回目のレポートは授業中に内容についてコメントし、修正のためのアドバイスをする。最終レポートはメールで講評する。
公認欠席は欠席として扱いますが、単位認定要件には影響しないよう配慮します。
成績評価の方法・基準 2回のレポート課題(80%)、授業参加状況(20%)で評価する。
テキスト 「講義の概要と方針」でふれた内容に関する文献を使う。具体的には、履修者の関心や希望も斟酌し、講義が始まってから決定する。
参考文献 浅野亮、川井悟編著『近現代中国政治史』ミネルヴァ書房2012年
許紀霖著、中島隆博、王前訳『普遍的価値を求める 中国現代思想の新潮流』法政大学出版局2020年
主な関連科目 地域・歴史研究演Ⅸ(事例研究)
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
メール等で随時対応します。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
法学研究科M国際政治学専攻 2017~2021 1・2 - - - - -
法学研究科M国際政治学専攻 2022~2024 1・2 - -