授業コード | 90711900 | 単位数 | 4 |
科目名 | 環境経済評価特殊研究 | クラス | |
履修期 | 年間授業 | カリキュラム | *下表参考 |
担当者 | 長谷川 弘 | 配当年次 | *下表参考 |
授業の題目 | 顕示・表明選好法の事例研究 (Case Studies on Revealed & Stated Preference Methods) |
学修の概要 | SDGs・ESG・EBPMの理念を踏まえた持続可能な発展や経済的効率性の観点から、開発・インフラ事業における定量的な環境価値の内部化、そして環境配慮や客観的な事業評価が強く求められている。本授業では、従来の環境影響評価(環境アセスメント、EIA)と経済評価を統合し、経済性と環境配慮の両面を等しく勘案する「環境経済評価」の基本的概念を踏まえ、評価手順、評価諸手法、内外の適用事例、課題等を網羅的に講義する。 具体的には、代表的な環境経済評価手法を顕示選好法及び表明選好法に大きく分類し、それぞれの方法論的特性を整理するとともに、評価のための情報処理技術や適用事例を紹介する。 授業ではいくつかの環境項目やプロジェクト案件を対象とする環境経済評価研究事例について、分析レポート・演習・発表を課す。さらに受講者はこれらの知見を踏まえ、関心ある評価手法の理論あるいは実用面についての研究を進める。 【実務経験内容: 国連食糧農業機関(FAO)、国際協力機構(JICA)、日本工営株式会社等で、アジア・アフリカ・中東・東欧の開発途上国や日本国内において、開発専門家・環境コンサルタントとして、環境影響評価(環境アセスメント)、環境を含む経済・財務評価、地域開発計画・環境保全計画づくり等に携わった。環境経済評価を担当した主要プロジェクトには横浜市下水道雨水整備事業、北栃木・相馬双葉送電線建設事業、荒川河川敷・渡良瀬遊水地環境経済評価調査、ベトナム・ハロン湾環境管理計画、ジャカルタ市大気汚染総合対策計画、インドネシア・トンダノ流域保全計画等が含まれる。】 |
学修の到達目標 | 環境経済評価手法について、理論面での深い知見を習得するとともに、これら手法を実務的に活用できる応用力・情報処理技術力を培う。 |
授業計画 | 第1回 | 環境の価値とは(講義ガイダンス、各講義の概要) |
第2回 | 生態系と生物多様性の経済学(エクソン・バルディーズ号原油流出事故事例) | |
第3回 | 環境経済評価手法の基礎理論①(効用と無差別曲線) | |
第4回 | 環境経済評価手法の基礎理論②(支払意志額と受入補償額) | |
第5回 | 代替法①(手法概要、分析手順、調査設計) | |
第6回 | 代替法②(野生鳥獣保護機能の事例) | |
第7回 | ヘドニック法①(手法概要、分析手順、調査設計) | |
第8回 | ヘドニック法②(多重共線性の問題) | |
第9回 | トラベルコスト法:シングルサイト・モデル①(手法概要、分析手順、調査設計) | |
第10回 | トラベルコスト法:シングルサイト・モデル②(機会費用の影響) | |
第11回 | トラベルコスト法:マルチサイト・モデル①(手法概要、分析手順、調査設計) | |
第12回 | トラベルコスト法:マルチサイト・モデル②(条件付きロジットモデルの限界) | |
第13回 | 仮想評価法:手法の概要①(特徴、バイアス) | |
第14回 | 仮想評価法:手法の概要②(スコープテスト、オハイオ裁判事例) | |
第15回 | 仮想評価法:分析の手順①(自由回答、付け値ゲーム、支払カード形式) | |
第16回 | 仮想評価法:分析の手順②(二肢選択形式、ダブルバウンド) | |
第17回 | 仮想評価法:調査設計①(情報収集、プレテスト) | |
第18回 | 仮想評価法:調査設計②(フォーカス・グループ、本調査) | |
第19回 | コンジョイント分析①(手法概要、分析手順、調査設計) | |
第20回 | コンジョイント分析②(仮想評価法と選択型実験の比較) | |
第21回 | リスクの経済評価①(統計的生命の価値、高齢者割引) | |
第22回 | リスクの経済評価②(ヘドニック賃金法と仮想評価法による評価) | |
第23回 | 費用便益分析①(概要、エルワダムの撤去事例) | |
第24回 | 費用便益分析②(公共事業事前評価制度、時のアセスメント) | |
第25回 | 環境経済評価のための情報処理技術①(CVM、トラベルコスト:カウントモデル) | |
第26回 | 環境経済評価のための情報処理技術②(トラベルコスト:マルチサイト・モデル、選択型実験) | |
第27回 | 環境を含む総合評価①(社会的収益投資:SROI、多基準分析手法、JICA案件事例) | |
第28回 | 環境を含む総合評価②(包絡分析法:DEA、戦略的環境アセスメント:SEA) | |
第29回 | 環境経済評価研究の展開①(評価手法の分類、潜在クラスモデル、クーンタッカーモデル) | |
第30回 | 環境経済評価研究の展開②(ベスト・ワースト・スケーリング、熟議型貨幣評価、便益移転) |
授業外学習の課題 | 授業で紹介する参考文献や関連研究事例は、極力読破すること。 |
履修上の注意事項 | ・対面で授業を実施する。 ・本講義の受講者は、環境経済学や環境経済評価についての修士レベル知識、及び環境アセスメントの基礎知識を有していることが求められる。 ・公認欠席制度の配慮内容は以下の通りとする。 *公認欠席時の配布資料は次回授業以降に再配付する。 *課題や論文の提出締切日に公認欠席となる場合は、提出日を延長する。 *発表やプレゼンテーション時に公認欠席となる場合、後日行うことで対応する。 |
成績評価の方法・基準 | リアクション・ペーパー15%、分析レポート・演習・発表85%で評価する。 |
テキスト | 関連資料を毎回配布する。 |
参考文献 | ・長谷川弘「環境経済アセスメント:環境保全と経済発展の接点を求めて」東京出版、1998年 ・有村俊秀、岩田和之「環境規制の政策評価:環境経済学の定量的アプローチ」上智大学出版、2011年 ・栗山浩一、庄子康「環境と観光の経済評価:国立公園の維持と管理」勁草書房、2005年 ・長谷川弘ほか「開発途上国における農林業プロジェクトの環境経済評価手法と事例」国際協力機構、2005年 ・柘植、栗山、三谷「環境評価の最新テクニック」勁草書房、2012年 ・栗山浩一ほか「初心者のための環境評価入門」勁草書房、2013年、等 |
主な関連科目 | 環境経済学特殊研究、環境経済評価研究I・II、環境経済学研究I・II |
オフィスアワー及び 質問・相談への対応 |
少人数授業のため、基本的には授業内に対応する。また、授業の中でレポート課題の総評を行うとともに、昼休みのオフィスアワーを中心に随時、研究室でもレポートや試験結果に関する質問や相談に応じる。 |
URLリンク | 長谷川ホームページ |
所属 | ナンバリングコード | 適用入学年度 | 配当年次 | 身につく能力 | ||||
知識・技能 | 思考力 | 判断力 | 表現力 | 協創力 | ||||
経済科学研究科D現代経済システム専攻 | - | 2022~2023 | 1・2・3 | ○ | ○ | ○ | - | - |
経済科学研究科D現代経済システム専攻 | 41600 | 2024~2024 | 1・2・3 | ○ | ○ | ○ | - | - |