授業コード 90708500 クラス
科目名 応用数学研究Ⅱ 単位数 2
担当者 田神 慶士 履修期 後期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 線形代数学序論 Linear algebra
授業の概要 応用数学研究1に引き続き、線形代数の基本を扱う。この講義では、ベクトル空間を扱う。ベクトル空間とは和とスカラー倍で閉じている、ベクトルの集合である。ベクトル空間は解を無数に持つ連立一次方程式の解の集まりとみなすことができるため、「ある方程式を満たす解たちの様子」を大域的に知るのに役立つ。本講義ではベクトル空間の定義からはじめて線形写像の像と核と呼ばれる特別なベクトル空間を紹介する。後半では固有値と固有空間を扱い、行列の性質を濃く反映した固有値の性質を概観する。講義は連続した15回の授業であるため、授業計画が前後することがある。
学習の到達目標 ベクトル空間の定義を暗唱できるようになる。線形写像の像と核の基底を計算できるようになる。簡単な行列の固有値と固有空間を求めることができるようになる。
授業計画 第1回 ベクトル空間の定義:
ベクトル空間の定義を与える。その定義に従って、ユークリッド空間の部分集合がベクトル空間かどうか判定できるようになる。
第2回 一次独立と一次従属:
ベクトルの組に対して定まる一次独立性の定義を扱う。与えられたベクトルの組に対して行列式を用いてその一次独立性を判定できるようになる。
第3回 基底:
ベクトル空間を張るベクトルの組(基底)の概念を扱う。具体的なベクトルの組に対して、それらが与えられたベクトル空間の基底になっているか判定できるようになる。
第4回 線形写像:
ベクトル空間の間にある種の対応を与える「線形写像」の概念を扱う。与えられた対応が線形写像になっているか判定できるようになる。
第5回 線形写像の像と核:
線形写像から定まる像と核と呼ばれる特別なベクトル空間を扱う。像と核の基底を求められるようになる。
第6回 次元公式:
線形写像の像と核の基底の個数に関する公式を扱う。これにより、基底を求めなくても像と核の次元を計算できるようになる。
第7回 線形写像の表現行列:
ベクトル空間の基底を固定することで線形写像を行列の左作用として表現できることを知る。具体的な線形写像についてその表現行列を計算できるようになる。
第8回 固有値と固有空間:
固有値と固有空間の定義を知る。具体的な行列に対してその固有値と固有空間を求めることができる。
第9回 固有ベクトルの性質:
固有値および固有方程式が持つ性質を扱う。異なる固有値に属する固有ベクトルが互いに独立であることを確かめることができるようになる。
第10回 行列の対角化:
固有ベクトルを使った行列の対角化を扱う。対角化可能であるための十分条件を把握し、実際に与えられた行列を対角化できるようになる。
第11回 行列の上三角化:
行列の上三角化がいつでも実行可能であることを知る。具体的な行列に対して上三角化できるようになる。
第12回 ケーリー・ハミルトンの定理:
固有多項式の変数部にその行列を代入するとゼロ行列になることを知る。多項式で表示された行列をケーリー・ハミルトンの定理を使って簡単にできるようになる。
第13回 【固有値の応用】ネットワーク上のランダムウォーク:
固有値の応用としてネットワーク上をランダムに動き回る人の挙動を調べる。簡単なネットワークについてそのランダムウォーカーの確率を計算できるようになる。
第14回 【固有値の応用】ネット検索とネットサーファー:
Googleのネット検索エンジンに使われているPageRankの理論を知る。検索エンジンとランダムウォークの関係を説明できるようになる。
第15回 演習と総復習:
ここまで講義で扱った講義内容を総復習する。演習問題を通じて、各種計算ができるようになる。
授業外学習の課題 事後学習(4時間程度):講義で扱った内容を復習すること。特に、授業中に行った小テストの復習をしておくこと。
履修上の注意事項 応用数学研究1の内容は既知のものとする(初回に小テストを行い、前提知識が不足していると判断された受講生については受講を認めない)。
特別な理由が無い限り授業内容をノートで記録することを強く推奨する。
※公認欠席制度の取り扱いは以下の通りとする
・公認欠席は単位認定要件に影響しないよう配慮する
成績評価の方法・基準 授業中に行う小テスト(40%)
最終レポート(60%)
なお、講義の1/3以上欠席した場合は単位認定を行わない場合がある。
テキスト テキストは指定しない。必要に応じてプリントを配布する。参考文献を挙げているが無理に購入する必要はない。
参考文献 佐藤隆夫 著 『テキストブック 線形代数』 裳華房
主な関連科目 応用数学研究1
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
質問は授業の前後・オフィスアワー・メールで随時受け付ける。
小テストへのフィードバックは回答・解説・返却時にそれぞれ必要に応じて行う。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
経済科学研究科M経済情報専攻(B群) 2022~2023 1・2 - -
経済科学研究科M経済情報専攻(B群) 42500 2024~2024 1・2 - -