授業コード 63004900 クラス
科目名 生理心理学 単位数 2
担当者 古満 伊里 履修期 前期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 神経・生理心理学 Neuropsychology and Physiological Psychology
授業の概要 神経心理学は,脳の損傷によって生じる種々の障害と損傷部位との対応関係をもとに,脳とこころの関係を明らかにしようとする学問領域である。一方の生理心理学は,主に健常なヒトや動物を対象にして,中枢神経系や自律神経系の活動とこころとの対応関係を明らかにしようとする学問領域である。このように書くと両者の違いはほとんどないように見える。しかしながら実際のところ,神経心理学は主に医学領域で発展してきた臨床心理学的な色彩が濃い領域であり,一方の生理心理学は動物心理学や生物心理学の分野で発展してきた基礎心理学な色彩が濃い領域である。本講義ではこれら二つの心理学領域に共通する目的である「精神機能の生理学的理解」について,お互いの領域を行き来しながら解説していく。ただしこの科目は公認心理師指定科目であるため,公認心理師国家試験を強く意識した内容になる。
学習の到達目標 1.神経心理学,生理心理学の概略を説明できる。
2.脳神経系の構造及び機能について概説できる。
3.記憶,感情等の生理的メカニズムについて概説できる。
4.高次脳機能の障害及びそれに対する臨床心理学的な支援について説明できる。
5.神経心理学,生理心理学で用いられている研究手法について概説できる。
授業計画 第1回 神経・生理心理学とは何か -公認心理師にとってなぜこの科目が必要なのか:神経心理学と生理心理学の相違を説明できるようになる。またこれら二つの領域の学修が公認心理師にとってなぜ必要であるのか説明できるようになる。
第2回 脳の構造と機能 -脳の各部位の働き:脳の機能局在の観点から,大まかな脳の構造とそれぞれの機能について説明できるようになる。
第3回 神経系 -中枢神経系・体性神経:神経系の区分とそれぞれの大まかな機能について説明できるようになる。
第4回 神経伝達物質 -ニューロンの興奮伝導とシナプス伝達:神経細胞自体の興奮のメカニズムと神経ネットワークの形成について説明できるようになる。さらに主だった神経伝達物質の名称と機能を説明できるようになる。
第5回 精神疾患と脳 -うつ病,統合失調症,発達障害,睡眠障害の概略とその仮説的生理メカニズム:主だった精神疾患の生理学的メカニズムを理解し,説明できるようになる。
第6回 ストレスと脳 -精神神経内分泌免疫学とストレス:ストレスのメカニズムについて,自律神経系と内分泌系の反応を理解し,さらにストレス対処法について述べることができるようになる。
第7回 生理学的反応を探ることの心理学的・臨床心理学的意義:生理反応の測定がなぜ心理学の発展に役立つのかを説明できるようになる。
第8回 注意と記憶 -注意・記憶研究の臨床心理学的意義:注意力や記憶力が失われることでいかなる障害が生じるかを,その生理的メカニズムとともに説明できるようになる。
第9回 感情・意識・学習 -神経・生理心理学的理解:感情,意識について,その生理学的基盤とともに心理学的な説明ができるようになる。また学習の生理学的メカニズムについても説明できるようなる。
第10回 神経・生理学的指標から見えるもの -体温・呼吸・脳波・筋電図・心電図・血圧と心理学:種々の生理指標の測定がなぜ心理学の発展に寄与するのかを説明できるようになる。
第11回 高次脳機能障害について:高次脳機能障害とは何か,高次脳機能障害障害の種類と症状,さらには公認心理師としての支援役割についても説明できるようになる。
第12回 脳障害の理解:高次脳機能障害の当事者や家族に対する影響を列挙し,各問題を解決するためにどのような医療・社会的支援が可能であるかを解説できるようになる。
第13回 神経心理学的アセスメント(検査)について:主に脳機能障害を診断するための検査法を列挙し,それぞれの検査目的を説明できるようになる。
第14回 高次脳機能障害のリハビリテーション:高次脳機能障害の種類に応じたリハビリテーション技法を列挙できるようになる。
第15回 睡眠と睡眠障害について:サーカディアンリズムの観点から睡眠障害を説明し,その対応法を具体的に述べることができるようになる。
授業外学習の課題 1.事前学修(2時間程度):各回の講義で使用する資料は原則として講義日の3日前までにMoodle上で配布します。あらかじめ各自で印刷し,教科書等を参考にして資料中の空欄を埋めてから授業に臨むこと。(なお第1回目の授業資料は授業開始時に配布するので印刷の必要はありません。)
2.事後学修(2時間程度):上記資料中に提示されたキーワードについては各自で調べてノートにまとめておくこと。授業では触れないが期末試験に出題することがあります。
履修上の注意事項 1.社会人として受講マナー厳守のこと。繰り返しの注意にも関わらず改善がみられない場合は退出を求めます。
2.各回の授業終了時に約10分間でその日の授業内容についての小テストを実施します(ただし第1回目の授業では実施しない)。出題形式は5肢選択問題10問程度です。小テストに臨むに際しては,各回の講義内容を十分に予習しておくこと,および授業に集中することが必要です。
3.なお,上記の小テストはMoodle上で実施します。したがって,Moodleにアクセス可能なパソコンやスマートフォン等の携帯端末を授業に必ず持参してください。授業に出席していない人が小テストを受験することはできません。
4.公認欠席について
・公認欠席による小テストの未受験については,期末試験終了後に追試験を実施します。
・期末試験時に公認欠席となる場合,追試または代替措置で対応します。
成績評価の方法・基準 第2回から第15回の講義内で実施する全15回の小テスト結果(60%)及び期末試験(40%)の結果をもって成績を評価します。
テキスト 中島恵子・矢島潤平(編著)「神経・生理心理学-脳から心を理解する」ミネルヴァ書房,2022年 修大生協
参考文献 1.生理心理学と精神生理学 第I巻 基礎 堀忠雄・尾﨑久記監修 坂田省吾・山田冨美雄編集 北大路書房
2.神経・生理心理学 梅田聡編 遠見書房
3.心の輪郭 川合伸幸著 北大路書房
4.記憶のしくみ Larry R. Squire, Eric R. Kandel著 小西史朗・桐野豊監修 ブルーバックス
主な関連科目 心理学概論Ⅰ・Ⅱ,健康・医療心理学,人体の構造と機能及び疾病,感情・人格心理学,精神疾患とその治療
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
1.質問は可能な限り授業内で行ってください。それができなかった場合にはメールで行ってください。可能限り答えるようにします。
2.必要とあればZoomによる面談も実施します。その際は電子メールによりあらかじめアポイントメントを取ってください。
3.メールアドレス:ifurumit@shudo-u.ac.jp

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
人文学部人間関係学科社会学専攻(関連科目) FHHS27112 2017~2017 1・2・3・4 - - - - -
人文学部人間関係学科社会学専攻(関連科目) 2018~2023 1・2・3・4 - - - - -
人文学部教育学科(関連学科科目) FHED15110 2017~2017 1・2・3・4 - - - - -
人文学部教育学科(関連学科科目) 2018~2023 1・2・3・4 - - - - -