授業コード 50009700 単位数 2
科目名 環境の経済評価 クラス
履修期 後期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 長谷川 弘 配当年次 *下表参考

授業の題目 環境の経済評価 Economic Evaluation of Environment
学修の概要  現在、SDGs・ESG・EBPMの理念を踏まえた持続可能な発展や経済的効率性の観点から、各種産業振興、エネルギー関連施設、交通ネットワーク整備等の開発・インフラ事業における環境配慮や客観的な事業評価・代替案比較が強く求められている。開発事業を対象とする評価システムでのより定量的な環境価値の内部化の必要性を踏まえ、本授業では従来の環境影響評価(環境アセスメント、EIA)と経済評価を統合し、経済性と環境配慮の両面を等しく勘案する「環境経済評価」の概念、評価手順、評価諸手法、内外の適用事例、課題等を講義する。また、いくつかの環境項目について経済的評価を演習する。
 受講生が理解しやすく具体的なイメージをつかめるよう、パワーポイント、ビデオ・DVD、OHCを活用する。
【実務経験内容: 国連食糧農業機関(FAO)、国際協力機構(JICA)、日本工営株式会社等で、アジア・アフリカ・中東・東欧の開発途上国や日本国内において、開発専門家・環境コンサルタントとして、環境影響評価(環境アセスメント)、環境を含む経済・財務評価、地域開発計画・環境保全計画づくり等に携わった。環境経済評価を担当した主要プロジェクトには横浜市下水道雨水整備事業、北栃木・相馬双葉送電線建設事業、荒川河川敷・渡良瀬遊水地環境経済評価調査、ベトナム・ハロン湾環境管理計画、ジャカルタ市大気汚染総合対策計画、インドネシア・トンダノ流域保全計画等が含まれる。】
学修の到達目標  環境影響評価と経済評価の関係、環境を経済評価することの意義、そのための諸手法、費用便益分析、環境経済評価の応用性等について、基本的枠組みを理解する。単純な環境財・サービスの価値であれば貨幣単位で概算できるようになる。
授業計画 第1回 講義ガイダンス、及び環境影響評価と経済評価の統合①(環境経済学の目的と研究・応用領域、外部経済効果)
第2回 環境影響評価と経済評価の統合②(環境財・サービスの貨幣価値化事例、開発の環境的影響、従来の環境影響評価)
第3回 環境影響評価と経済評価の統合③(従来の経済評価、理想的経済評価、環境影響評価と経済評価のリンク)
第4回 環境影響評価と経済評価の統合④(費用便益分析への環境の内部化、割引率・計算、財務評価vs経済評価)
第5回 環境経済評価の考え方と様々な価値算定手法(環境経済評価の基本的枠組み、支払意志額、消費者余剰、先進国・世界銀行・日本の算定事例、対象となる環境の種類)
第6回 容易に適用できる市場価格法(顕示選好法、生産高変化法、所得損失法、防止支出法)
第7回 データの程度により適用できる潜在価格法(顕示選好法、へドニック・アプローチ、旅行費用法、取替原価法)
第8回 より多くの調査を要するサーベイ法(表明選好法、CVM、コンジョイント分析)、及び第1回演習課題とその解説
第9回 大気汚染に関わる環境経済評価事例(米国の無鉛ガソリン導入政策、健康被害、エネルギー消費量、純現在価値)
第10回 森林・土壌保全に関わる環境経済評価事例(インドネシアの流域管理計画)
第11回 割引計算と費用便益分析評価基準、及び第2回演習課題とその解説
第12回 渡良瀬遊水地の環境的価値①(水質、水資源、土壌浸食・土砂崩壊、大気、野生生物、保健休養、非利用価値)
第13回 渡良瀬遊水地の環境的価値②(ヒートアイランド現象緩和機能、環境的便益の計算事例、フローvsストック価値)
第14回 環境経済評価の応用と導入ポイント(事業資金調達、政策・計画策定、客観的データ、統計処理、便益移転)
第15回 授業全体のまとめ、授業アンケート
授業外学習の課題 ・事前に配布された資料を熟読し、どの部分が理解できないか、疑問箇所はどこかを整理するなどの予習を行なう。
・毎回の予習・復習は、合わせて4時間程度を目標とする。
・演習課題は授業外で行い回答や成果物を提出する。詳細は授業において指示する。
履修上の注意事項 ・対面で授業を実施する。
・本講義の受講者は既に「環境アセスメント」を履修済みであること。さらに環境経済学関連及び統計学関連科目を履修していることが望ましい。
・公認欠席制度の配慮内容は以下の通りとする。
  *公認欠席時の配布資料は次回授業以降に再配付する。
  *演習課題提出締切日に公認欠席となる場合は、提出日を延長する。
成績評価の方法・基準 演習課題(2回程度)50%、及び学期末試験50%で評価する。
テキスト 関連資料を毎回配布する。
参考文献 ・長谷川弘「環境経済アセスメント:環境保全と経済発展の接点を求めて」東京出版、1998年
・長谷川弘 訳「環境の経済評価テクニック:アジアにおけるケーススタディ」築地書館、1993年
・環境経済評価研究会 訳「新・環境はいくらか」築地書館、2000年
・長谷川弘ほか「開発途上国における農林業プロジェクトの環境経済評価手法と事例」国際協力機構、2005年
・栗山浩一ほか「初心者のための環境評価入門」勁草書房、2013年、等
主な関連科目 環境アセスメント、環境経済学入門、統計学入門、資源経済学
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
 授業中に質問時間を設ける他、毎回の出席カードの裏に質問やコメントを記載してもらい、次回授業でそれらに回答する。また、授業の中で演習課題の総評を行うとともに、昼休みのオフィスアワーを中心に随時、研究室でも演習や試験結果に関する質問や相談に応じる。(希望者はメールにて予約を取ること。)
URLリンク 長谷川ホームページ

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
人間環境学部人間環境学科(基幹科目Ⅱ環境政策マネジメント系) FHES35105 2017~2017 3・4 - - - - -
人間環境学部人間環境学科(発展科目) FHES35104 2018~2022 3・4 - - - - -
人間環境学部人間環境学科(発展科目) FHES25104 2023~2023 2・3・4 - -
人間環境学部人間環境学科(発展科目) 51300 2024~2024 2・3・4 - -