授業コード 50009200 単位数 2
科目名 民族と環境 クラス
履修期 前期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 宇野 伸浩 配当年次 *下表参考

授業の題目 世界の少数民族・先住民族と環境問題
学修の概要 世界のほとんどの国民国家内に居住している先住民族・少数民族の権利や人権は、国際社会の関心事の一つである。また、環境問題も国際社会の関心事の一つである。この授業では、この二つを結び付けて考察する。現代社会は様々な形でグローバル化が進んだ結果、世界の政治的経済的中心である先進国は、知らないうちに他国や自国内に生きる先住民族に大きな環境負荷を与えている。これまで世界の少数民族や先住民族を研究対象としてきた文化人類学者は、自分たちが調べてきた少数民族や先住民族を環境問題の被害者として取り上げる研究を行い、「環境人類学」という分野が生まれた。この講義では、世界の少数民族・先住民族がどのような環境問題に直面しているか、先進国や日本がどのようにそれに関わっているかを取り上げていきたい。近年、問題になっているアイヌの先住権についても取り上げる。
学修の到達目標 世界各地における環境破壊が少数民族・先住民族に与える影響を理解することを通じて、日本における消費活動や物質的豊かさが与える影響を地球規模で考えることができるようになることを目標とする。
授業計画 第1回 ①イントロダクション:国民国家における民族と先住民族・少数民族 この科目の概要を解説するとともに、先住民族の権利に関する国際連合宣言の主な内容について理解できるようになる。
第2回 ②オーストラリアの先住民族アボリジニの先住民族問題 アボリジニにおいて「失われた世代」の問題がなぜ発生したかを理解できるようになる。
第3回 ③アボリジニと放射能汚染問題 オーストラリアにおけるウラン鉱山において発生した放射能汚染問題がどのような影響をアボリジニに与えるか、日本がどのように関わっているかについて理解できるようになる。
第4回 ④ブラジルアマゾンの先住民族インディオ ブラジルの先住民族インディオの民族的特徴について理解できるようになる。
第5回 ⑤アマゾンの森林破壊と先住民族インディオ アマゾンにおいて発生した森林破壊が先住民族インディオに与える影響について、日本がどのように関わっているかについて理解できるようになる。
第6回 ⑥カナダの温帯雨林破壊とカナダ・インディアン カナダの温帯雨林の破壊がカナダインディアンに与えた影響と日本がどのように関わっていたかについて理解できるようになる。
第7回 ⑦マレーシアボルネオ島の森林破壊と先住民族プナン ボルネオ島の森林破壊が先住民族プナンに与えた影響について理解できるようになる。
第8回 ⑧ブルーノ・マンサーの先住民族プナンへの支援活動 ボルネオ島の森林破壊に対してブルーノ・マンサーがどのような活動を行ったかについて理解できるようになる。
第9回 ⑨マレーシアボルネオ島の森林破壊とアブラヤシ農園 ボルネオ島の森林破壊とアブラヤシ農園のための開発との関係について理解できるようになる。
第10回 ⑩日本の先住民族アイヌと日本の同化政策 日本政府が明治維新以来アイヌ民族に対して行った同化政策について理解できるようになる。
第11回 ⑪日本の先住民族アイヌとアイヌ文化振興法 明治以来のアイヌが置かれていた状況について理解するとともに、アイヌ文化振興法制定の意義について理解できるようになる。
第12回 ⑫日本の先住民族アイヌと二風谷ダム問題 二風谷ダムの建設がアイヌ民族に与えた影響と、二風谷ダム裁判において国が敗訴した理由について理解できるようになる。
第13回 ⑬カナダ・インディアンと有機水銀汚染 カナダインディアンにおいて水俣病が発生した理由とそれに対する国と州政府の対応の問題について理解できるようになる。
第14回 ⑭カナダの先住民族イヌイットと化学物質汚染 イヌイットのおいて化学物質汚染が発生した原因について理解できるようになる。
第15回 ⑮講義のまとめ 環境正義という考え方 「環境正義」という考え方について理解するとともに、その考え方がこの授業で取り上げた事例にどのように影響するかについて理解できるようになる。
授業外学習の課題 授業外学習として、授業に関係するミニレポートをMoodle上で提出する。そのための授業外学習の目安は5時間程度。また、参考文献にあげてある本など、各自が興味を持った先住民族、少数民族、環境問題に関する本を授業外の学習として読み、このテーマに関する興味関心を広げること。
履修上の注意事項 授業資料を配り、それを用いて授業を進める。毎回の授業で出席カードを配布し、授業の最後に授業の内容に関係する課題を出すので、それに回答すること。正当な理由のない遅刻早退をしないこと。
公認欠席については、公認欠席の回に配布した資料を後日配布する。
公認欠席の回に出した課題については、後日提出することを認めるので、教員に問い合わせること。
成績評価の方法・基準 期末試験を実施する。毎回の課題に対する回答、ミニレポート、期末試験をもとに総合的に評価する。毎回の課題に対する回答30%、ミニレポート20パーセント、期末試験50%
テキスト 使用しない。
参考文献 『講座世界の先住民族』全10巻、明石書店
窪田幸子ほか『「先住民」とはだれか』世界思想社
瀬川拓郎『アイヌの歴史 海と宝のノマド』講談社選書メチエ 
瀬川拓郎『アイヌ学入門』講談社現代新書
計良光範『アイヌ文化の実践』上下巻、寿郎社
関根政美ほか『オーストラリア多文化社会論』法律文化社
鎌田遵『癒されぬアメリカ』集英社新書
阿部珠理『アメリカ先住民を知るための62章』明石書店
阿部珠理『アメリカ先住民 民族再生にむけて』角川書店
パトリシア・K・タウンゼンド『環境人類学を学ぶ人のために』世界思想社
『シリーズ環境社会学』全6巻、新曜社
原田正純『水俣が映す世界』日本評論社
主な関連科目 異文化理解
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
基本的に教室で授業の前後に質問・相談に対応する。
試験の講評をMoodle上で行う。
その他、連絡が必要なときは、メール(nobuhiro@shudo-u.ac.jp)で受け付ける。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
人間環境学部人間環境学科(基幹科目Ⅰ) FHES24114 2017~2017 2・3・4 - - - - -