授業コード 50007500 クラス
科目名 中国地方の自然環境 単位数 2
担当者 井原 庸 履修期 前期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 中国地方の自然環境 Biodiversity in western Honshu
授業の概要 生物多様性の保全は、気候変動と同様に地球規模のグローバルな課題である。一方で、私たちの周りで起きている身近な社会的課題の一つとして向き合う必要がある。この授業では、中国地方の自然環境(森林・河川・海域)の具体的な事例(=身近な自然)を紹介しながら、そこに見られる生物や生態系と私たちの生活との関わりについて解説する。中国地方の自然環境の現状と変遷の歴史や生態学的な自然のしくみを知識として学ぶとともに、人間活動による影響や保全といった「生物多様性の保全」の観点から理解を深める。

授業の目的はつぎのとおりであり、環境問題について自分自身で考えることを目指している。
・身近な地域の生物や自然の成り立ちを知る。
・生物多様性の意味を考える。
・生物が生育・生息している自然のメカニズムに興味をもつ。
・自然の恵み(生態系サービス)を意識する。
学習の到達目標 中国地方の自然環境や野生生物の現状について、生物多様性の重要性および生態学的な基盤にもとづく保全という視点を通じて理解する。
また、身近な自然や環境の変化を、自分自身が関わっている社会の問題として考え、講義で学んだ知識と適切な用語を用いて説明できるようになる。
授業計画 第1回 講義ガイダンス
中国地方の自然環境の概要:地形・地質・植生
中国地方の自然環境の基盤である地形・地質や気候について説明する。また、それらの地形的・土地的要因の上に成立する植生について解説する。
第2回 中国地方の自然(1) 宮島:ラムサール条約湿地
重要な湿地の保全や賢明な利用のためのラムサール条約の考え方を理解する。ラムサール条約湿地の一つである宮島の自然を紹介する。
第3回 中国地方の自然(1) 宮島:宮島のシカ
野生動物と人間の関わりを考える目的で宮島のシカの保護管理について学び、生物多様性の保全の観点から野生生物や植生との共存について理解する。
第4回 中国地方の自然(2) 出雲平野
出雲平野や宍道湖・中海について、地質や地形の特徴からその成立の歴史を説明する。また、そこを生息の場とする鳥類や宍道湖の水生生物の特性を紹介する。
第5回 身近な生物に注目する 修道大学キャンパスで鳥を探してみよう
中国地方の身近な環境で見られる鳥類を紹介し、課題として実際に修道大学キャンパスで野鳥を観察して記録する。
第6回 中国地方の自然(3) 隠岐の島
隠岐の島の地史的な歴史や地質・地形の成り立ちを説明する。そして、それらが隠岐の島の固有の動植物や私たち人間の生活とどのようにつながっているかを考える。隠岐の島はユネスコ世界ジオパークであり、ジオパークの考え方を説明する。
第7回 中国地方の自然(4) 秋吉台
秋吉台の石灰岩地形の成立、カルスト台地に広がる草原の生態系、洞窟の固有の生物の特性を説明する。また、秋吉台は日本ジオパークに指定されており、その活動を紹介する。
第8回 中国地方の生物(1) ブナ林、半自然草地の生物多様性
生物多様性の考え方について理解する。中国地方の重要の植生とその生物多様性の特性として、人為的な影響が少ない自然植生のブナ林と、人間活動によって維持されている二次植生の半自然草地について説明する。
第9回 中国地方の生物(2) 大型猛禽類、大型哺乳類
中国地方の注目すべき生物として、大型猛禽類のイヌワシ・クマタカと大型哺乳類のツキノワグマの生態的特性について紹介し、中国地方における生息状況や保全の課題を説明する。
第10回 瀬戸内海の生物多様性:干潟の機能と生物多様性
瀬戸内海の干潟の現状と干潟生態系の機能について説明し、瀬戸内海の干潟に生息するカブトガニやカニ類などの重要な生物を紹介する。
第11回 中国地方の河川を特徴づける生物:オオサンショウウオ、サケ科魚類
中国地方の河川に生息する重要な生物であるオオサンショウウオやゴギなどの魚類を紹介し、その危機的な現状や保全の考え方について説明する。
第12回 中国地方の生物多様性(1) 中国地方に固有な生物
地域ごとに分化したそこにしか生育・生息しない固有種について学ぶ。中国地方のなかでも地域によって異なる集団が分布している植物のイカリソウ類と両生類の小型サンショウウオ類を紹介し、その分化の歴史や遺伝的多様性の保全の考え方を解説する。
第13回 中国地方の生物多様性(2) 地表性クモ類の多様性
地理的分化が激しい地表性クモ類のグループ(ナミハグモ類・ヤミサラグモ類)の中国地方における分布状況を紹介し、生物多様性(種多様性)の維持・創出機構について説明する。
第14回 中国地方の生物多様性(3) 外来種問題
中国地方で身近に見られる外来種について紹介しながら、地域の生態系や生物多様性の保全について考える。
第15回 まとめ:身近な自然から考える生物多様性
これまでの授業で学んできた中国地方の自然環境の特性や生物多様性の保全の考え方を振り返り、自分自身で身近な環境問題について考えてみる。
授業外学習の課題 授業の内容はそれぞれ関連性が高いので、それまでの授業内容を理解した上で、新しいことを学ぶ必要がある。
Moodleに各回の講義資料や参考資料を提示するので、30分~1時間程度の復習をして理解を深めることが望ましい。
履修上の注意事項 【対面授業】有 【非対面授業】無
対面授業として実施し、参考資料の配布や課題提出にはMoodleを使用する。
講義に使用するプレゼンテーションファイルには、昆虫・クモ・両生類など一部の人には刺激的な生物の画像が含まれる。
公認欠席は欠席としてカウントしない。また、期末試験時に公認欠席となる場合は、代替措置(レポートの提出)で対応する。
成績評価の方法・基準 期末試験(65%)と、課題・授業で行う確認テスト・授業態度等(35%)を総合的に評価する。
テキスト 教科書は使用しない。Moodle上に授業に使うプレゼンテーションファイルと参考資料を提示する。
参考文献 『生物多様性概論』 宮下直、瀧本岳、鈴木牧、佐野光彦  朝倉書店 (2017)
『生物多様性のしくみを解く』 宮下直  工作舎 (2014)
授業で扱う問題を体系的に理解し、その学問的背景を知るのに適している。
その他の主要な参考図書は初回の授業で紹介する。項目ごとの参考資料はMoodleで配布する。
主な関連科目
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
講義内容等に関する疑問点はメールにて質問に応じる。また、講義終了後には質問を受けつける。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
人間環境学部人間環境学科(リテラシー形成科目) FHES12102 2017~2017 1・2・3・4 - - - - -
人間環境学部人間環境学科(基礎科目) FHES23119 2018~2022 2・3・4 - - - - -