授業コード 31015000 単位数 2
科目名 刑事学 クラス
履修期 後期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 十河 隼人 配当年次 *下表参考

授業の題目 刑事政策概説
学修の概要  皆さんが重大な刑事事件のニュースを目にしたとき、おそらく最初に考えるのは、「どうしてこのような事件が起こってしまったのだろうか」、「このような事件を二度と起こさないためには、どうすればよいのだろうか」ということではないでしょうか。前者は犯罪原因の問題、後者は犯罪予防の問題と呼ぶことができます。

 刑事政策とは――多義的な言葉ですが――ひとことで言えば、こうした「犯罪原因」と「犯罪予防」に関する様々な知見を用いて、「犯罪防止を目指す上で、国家や地方自治体は何をすべきなのか」ということを考える学問分野のことです。

 ただし、(特に)国家の犯罪防止活動は、必要なことであると同時に、やり方を間違えれば甚だしい人権侵害にもつながりうる「諸刃の剣」であることにも、注意しなければなりません。

 そこで本講義では、刑事政策の学習を通じて、効率的かつ適正な犯罪対策のあり方について考えていきます。
学修の到達目標 1. 刑事政策の基本的知識を修得し、その思考方法を理解することができる。
2. 刑事政策の基本的知識を踏まえて、犯罪対策のあるべき姿について、主体的に考えることができる。
授業計画 第1回 導入【刑事政策と犯罪学/刑法・刑事訴訟法との関係/本講義の流れ】
  刑事政策学の意義と、刑事法学全体におけるその位置づけを理解する
第2回 刑罰の意義と正当化根拠 【刑罰の種類/刑罰の正当化根拠/刑事制裁と民事制裁・行政制裁の違い】
  刑罰の意義と正当化根拠について刑事政策的観点から分析できるようになる
第3回 刑事政策の歴史【古代・中世/古典学派と近代学派/戦後の展開】
  刑事政策の歴史を知る
第4回 刑事政策の現代的動向【刑事立法の時代/刑罰ポピュリズム/治安悪化の神話?】
  現代における刑事政策の重要トピックを知る
第5回 犯罪統計と犯罪情勢【犯罪統計の種類と読み方/日本の犯罪情勢】
  日本の犯罪情勢を示す統計データを読み取れるようになる
第6回 犯罪の原因と予防【初期の犯罪原因論/犯罪原因論の展開/犯罪予防の政策と理論】
  犯罪の原因と予防に関する様々な犯罪学理論の概要を知る
第7回 死刑制度の現状 【死刑対象犯罪/死刑の執行・適用の状況/死刑の量刑基準】
  現代における死刑制度の概要と用いられ方を知る
第8回 死刑存廃論【刑罰の正当化根拠と死刑制度/誤判の可能性と死刑制度/死刑廃止の国際的潮流】
  死刑存廃論をめぐる議論を知り、自分なりの考え方を持てるようになる
第9回 自由刑と財産刑 【自由刑単一化と「拘禁刑」/短期自由刑と不定期刑/罰金刑と科料】
  自由刑と財産刑の刑事政策的意義と現代的課題を知る
第10回 司法的処遇 【総説/警察段階/検察段階/裁判段階】(オンデマンド)
  司法的処遇の刑事政策的意義と現代的課題を知る
第11回 施設内処遇 【総説/矯正処遇の意義と種類/施設内処遇の諸問題】
  施設内処遇の刑事政策的意義と現代的課題を知る
第12回 社会内処遇 【社会内処遇の種類と担い手/仮釈放/保護観察/社会内処遇の展望】
  社会内処遇の刑事政策的意義と現代的課題を知る
第13回 犯罪被害者とその支援 【被害者学の登場/犯罪被害の実態/様々な被害者支援制度】
  犯罪被害者のために用意されている様々な支援制度の概要を知る
第14回 保安処分の意義と現状【保安処分とは何か/触法精神障がい者への対応/世界各国の保安処分】
  保安処分制度の定義と現代におけるその再評価の流れを知る
第15回 保安処分の系譜と刑事政策の未来【ロンブローゾからフォン・リストへ/保安処分と優生学/神経犯罪学】
  保安処分制度の歴史を振り返り、その課題を認識することを通じて、刑事政策の未来を批判的に思考できるようになる
授業外学習の課題 事前学修(2時間程度):毎講義のテーマについて、関連するニュースなどをできる限り調べて予備知識を集めておいてください。その過程で当然生じる疑問点についてもまとめておくとよいでしょう。

事後学修(2時間程度):復習として、講義内容を思い出しながら、レジュメをしっかりと見直してください。キーワードが多く出てくるため、それらの意味を、レジュメを見なくても答えられるようになることを意識してください。
履修上の注意事項 *この授業ではMoodleを用います。レジュメ等のアップロードはMoodleで行いますので、各自印刷するか、PC等を持参してください。
*ブレンド型授業を実施します。(Moodle)
*公認欠席制度の配慮内容は以下の通りです。
・公認欠席は、成績評価において出席と同等に扱います。
・公認欠席時の資料等については、Moodleコース上にデータを提示します。
成績評価の方法・基準  期末試験による(100点)。 ただし、試験の点数が60点に満たない者については、出席回数・受講態度を考慮して(最大10点)、60点まで加点する。
テキスト 特に指定しません。
参考文献 川出敏裕=金光旭著『刑事政策[第3版]』(成文堂、2023年)。その他の参考文献は、授業時に適宜紹介します。
主な関連科目 各種の刑事法科目
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
アポイントを取って頂ければ、フィードバック、質問、相談等には随時対応します。その他、メールやMoodle等による相談にも対応します。試験の解説は、試験後Moodleに掲示します。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
法学部法律学科(刑事法) 2016~2016 2・3・4 - - - - -
法学部法律学科(刑事法) FLLA20405 2017~2017 2・3・4 - - - - -
法学部法律学科(刑事法) FLLA30503 2018~2022 3・4 - - - - -
法学部法律学科(刑事法) FLLA30503 2023~2023 3・4 - -