授業コード 30069600 単位数 2
科目名 特殊講義E(民主主義論) クラス
履修期 前期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 小須田 翔 配当年次 *下表参考

授業の題目 民主主義論(Democratic Theory)
学修の概要  1990年代頃から、民主主義が効果的に機能していないという意見が増えてきました。それ以降、民主主義は危機に陥っているという認識が共有されはじめています。投票率の低下や政治不信の高まりなどがその一例です。この状況を受けて、危機の時代に対応できるような新しい民主主義論が論じられています。本授業では、選挙制度や代表制度を超えた民主主義の本質を理解することを目指します。なぜなら、選挙制度や代表制度を中心とする民主主義こそが危機に陥っているからです。その上で、それを乗り越えようとする現代の民主主義論をとりあげます。
 講義は大きく3つのテーマからなります。最初に、今日の民主主義がどうなっているのかを考えます。選挙制度と代表制度を中心とした現代の民主主義を「リベラル・デモクラシー」と呼び、この体制の歴史、特徴、そして問題点を検討します。次に、これからの民主主義はどうなっていくべきなのかを考えます。リベラル・デモクラシーを乗り越えようとする民主主義論として、熟議と参加を中心とした民主主義の理解を議論します。その上で、民主主義が地球的課題に対してどのように向き合うことができるのかを考えます。ジェンダー不平等、グローバル化、環境問題という3つの地球的課題に対して、リベラル・デモクラシーと熟議民主主義のそれぞれが、どのように取り組むことができるのかを検討します。
学修の到達目標 (1)現代の民主主義の危機を政治制度の問題点を関係づけることができるようになる。
(2)民主主義を支える理論について説明できるようになる。
(3)現在とは異なる民主主義の構想を論じることができるようになる。
授業計画 第1回 イントロダクション:授業の概要・進め方の説明
民主主義の一般的なイメージを説明することができるようになる。
第2回 民主主義の歴史:古代ギリシャの民主主義
現在とは異なる民主主義の実践について説明できるようになる。
第3回 リベラル・デモクラシーの理論と実際① 選挙と代表
選挙と代表を中心とした現在の民主主義の作動原理を説明できるようになる。
第4回 リベラル・デモクラシーの理論と実際② 投票率の低下
投票率の低下現象を理論的に捉え、原因を挙げられるようになる。
第5回 リベラル・デモクラシー③ 有権者の能力
有権者が選挙のために求められる能力を持つかを判断できるようになる。
第6回 リベラル・デモクラシー④ 業績にもとづく投票
有権者が政治家をコントロールすることができるかを判断できるようになる。
第7回 リベラル・デモクラシー⑤ ポピュリズム
リベラル・デモクラシーについて、自分の考えを持つことができるようになる。
第8回 これからの民主主義① 熟議と参加の民主主義
熟議民主主義と参加民主主義のの構想について理解することができるようになる。
第9回 これからの民主主義② 世界における実践
世界各地で行われている熟議と参加の実践を挙げられるようになる。
第10回 これからの民主主義③ 日本における実践
日本の地域で行われている熟議と参加の実践を挙げられるようになる。
第11回 これからの民主主義④ 熟議の実証研究(オンライン)
熟議民主主義の実証研究の知識を通して、熟議と参加の理論が実現可能かどうかを判断できるようになる。
第12回 これからの民主主義⑤ くじ引きで決める
抽選制の民主主義について自分の考えを持つことができるようになる。
第13回 地球的課題① ジェンダー不平等
ジェンダー不平等の問題に対する民主的な解決策について判断できるようになる。
第14回 地球的課題② グローバル化(オンライン)
グローバル化と民主主義の矛盾点を指摘できるようになる。
第15回 地球的課題③ 環境問題
地球環境問題が引き起こす民主主義への難題について考えることができるようになる。
授業外学習の課題 ・授業の復習をして、小テストに取り組む。(2時間程度)
・レポート課題に取り組む。(2時間程度)
・民主主義論は、日本だけでなく世界中の政治と深く関連しています。世界のニュースやドキュメンタリーなどにもなるべく触れてください。
履修上の注意事項 1.私語は授業の進行の妨げになりますので、絶対にしないでください。
2.ブレンド型授業を実施します。資料の配布、レポート課題の提出、オンライン授業の動画配信は、Moodleを通して行います。
3.公認欠席の場合、小テストはその回を抜いた平均点で評価します。
・民主主義は様々な事象が複雑に絡み合った中で行われている実践です。最初は分かりにくくても時間を掛けてゆっくり考えることで徐々に分かるようになります。受講生には、諦めずに取り組む姿勢を求めます。
成績評価の方法・基準 コメントペーパー、小テスト、授業期間中の複数回のレポート課題によって評価します。
小テスト:25%
リアクションペーパー:15%
レポート課題:60%
テキスト 授業内で資料を配布します。
参考文献 齋藤純一・田村哲樹編『アクセス・デモクラシー論』(2012年、日本経済評論社)。
藤井達夫『代表制民主主義はなぜ失敗したのか』(2021年、集英社)。
山本圭『現代民主主義論――指導者論から熟議、ポピュリズムまで』(2021年、中央公論新社)。
他にもテーマごとの文献を授業内で紹介します。
主な関連科目 政治過程論、政治理論、政治学概論
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
・オフィスアワー:木曜日12:15-13:05 ※この時間はアポイント無しで研究室で質問を受け付けます。これ以外の時間はメールでアポイントメントをとってください。
・授業前後にも質問を受け付けます。
・試験とレポートについては、Moodle上で講評します。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
法学部国際政治学科(E群) 2015~2016 2・3・4 - - - - -