授業コード 30028601 単位数 2
科目名 基礎演習 クラス 01
履修期 前期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 伊藤 嘉亮 配当年次 *下表参考

授業の題目 基礎演習:刑法判例を通して学ぶ法律学習法
学修の概要 1年次の講義形式の授業(刑法各論)では、教員が説明する様々な判例や学説を覚えるだけで手一杯だったかもしれません。これに対して、ゼミ形式の授業では、判例や学説が何故そう考えているのか、あるいは本当にそう考えるべきなのかをじっくりと考え、他のゼミ生や教員と一緒に議論・検証することになります。自主的・能動的な学習が求められることになりますが、この基礎演習では、そのためのスキルの習得を目標とします。具体的には①調査・資料収集(判例や論文などの収集)、②読解(資料の精確な理解)、③報告・議論(プレゼンテーション、ディスカッション、レポート作成など)といったスキルを身に付け、3年次以降の本格的なゼミに備えて頂きます。
本演習では、そのための素材として、『刑法判例50!(刑法総論・各論)』に掲載されている重要判例を扱います。刑法総論はまだ習っていないと思いますが、適宜、フォローします。
下記授業計画は、一例です。扱う判例や順番は、受講生の人数や希望によって適宜変更します。
学修の到達目標 ・法学部における学習リテラシー(上記①・②・③)を習得すること。
・刑法総論、各論の基礎を理解すること。
授業計画 第1回 イントロダクション:自己紹介、スケジュール、分担の確認
第2回 報告準備期間:刑法総論・各論、資料検索、レジュメ・レポート作成に関するレクチャー(教員)
第3回 刑法各論①:自殺関与罪と殺人罪の限界(福岡高宮崎支判平成元年3月24日)
「自殺」とはいえない事例を判別できるようになる
第4回 刑法各論②:強制わいせつ罪における性的意図(最大判平成29年11月29日)
強制わいせつ罪(現:不同意わいせつ罪)における主観的要素の意義を理解できるようになる
第5回 刑法各論③:親権者による未成年者略取(最決平成17年12月6日)
被告人が親権者であることの意義を理解できるようになる
第6回 刑法各論④:ビラ配布目的での集合住宅内への立入り(最判平成21年11月30日)
表現の自由が住居等侵入罪の成否に与える影響を理解できるようになる
第7回 刑法各論⑤:窃盗か占有離脱物横領か(最決平成16年8月25日)
占有の有無を検討できるようになる
第8回 刑法各論⑥:死者の占有(最判昭和41年4月8日)
例外的に死後も占有が保護される事例を判別できるようになる
第9回 刑法各論⑦:窃盗罪の既遂時期(東京高判平成21年12月22日)
占有移転がどの時点で認定されるかを判断できるようになる
第10回 刑法総論①:罪刑法定主義:刑罰法規の明確性・広範性(最大判昭60年10月23日)
保護育成条例を素材に罪刑法定主義の意義を考えられるようになる
第11回 刑法総論②:因果関係:行為後の介在事情(最決平成15年7月16日)
介在事情が認められる事例における因果関係の認定方法を理解できるようになる
第12回 刑法総論③:不作為による殺人(最決平成17年7月4日)
例外的に刑法上の作為義務が発生する場合とその根拠を理解できるようになる
第13回 刑法総論④:保険金詐欺目的での傷害の同意(最決昭和55年11月13日)
同意が有効になるか否かを検討できるようになる
第14回 刑法総論⑤:積極的加害意思と急迫性(最決昭和52年7月21日)
正当防衛が制限される理由を理解した上で、具体的な事例を解決できるようになる
第15回 刑法総論⑥:強要による緊急避難(東京地判平成8年6月26日)
緊急避難の基本原理を理解した上で、その成立の限界を理解できるようになる
授業外学習の課題 この基礎演習は、①事前準備(判例・学説の調査、レジュメなどの資料作成)、②報告、③議論、④報告・議論内容のレポート作成を内容とします。自身が報告する時だけでなく、他のゼミ生が報告する時にも議論に参加し、積極的に質問・発言できるよう予習することが必要となります。
最初に、報告の準備期間として、教員が資料の収集方法や刑法の基本事項についてレクチャーをします。学生の皆さんには、その間に担当の判例を調べて頂きますが、初めての経験だと思いますので、資料収集やレジュメ作成などについても随時助言します。そのため、授業時間外でも一緒に勉強できる場や機会を設けます。

*事前学修(3時間):報告担当者は、報告準備に相応の時間がかかると思います。図書館や教員の研究室も活用しながら準備をして下さい。報告担当者以外も、GoogleDriveにアップされる資料やレジュメに目を通して予習して下さい。
履修上の注意事項 ゼミ形式の授業は、自身の考えを自由に発言してよい場です。むしろそうすることが求められる場であるとすらいえます。人前で発言するのは難しい(あるいは恥ずかしい)と思っている方もいるかもしれませんが、試行錯誤する中で徐々に慣れていくと思います。本演習を通じて、自分の考えを自分の言葉で表現し、他の人と納得し合いながら問題を解決できるようになってください。
なお、この授業は、受講生の皆さんが「主役」として作り上げるものですので、教員はアドバイザーとして関わるにとどめます。教員のことは、分からないことや悩んでいることがあった時に相談できる便利なツール程度に思って頂ければ幸いです。

*公認欠席制度の配慮内容は以下の通りです。
 ・公認欠席は欠席として扱いますが、単位認定には影響しないよう配慮します。
 ・公認欠席時の資料は、GoogleDriveにアップしてあるので、各自でダウンロードして下さい。
成績評価の方法・基準 報告(40%)、レポート(30%)、議論への参加・寄与度(30%)で評価します。
テキスト 特に指定はしません。
参考文献 十河太朗ほか『刑法総論判例50!(START UP)』(有斐閣、2016年)、十河太朗ほか『刑法総論判例50!(START UP)』(有斐閣、2017年)
*購入する必要はありませんが、図書館等で適宜参照して下さい。
主な関連科目 刑法総論、刑法各論、刑事政策
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
アポイントを取って頂ければ、質問や相談等には随時対応します。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
法学部法律学科(演習) FLLA20801 2018~2022 2 - - - - -
法学部法律学科(演習) FLLA20801 2023~2023 2