授業コード 20084700 単位数 2
科目名 性現象論演習(応用) クラス
履修期 前期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 河口 和也 配当年次 *下表参考

授業の題目 セクシュアリティの社会学 Sociology of Sexualities
学修の概要 「セクシュアリティの社会学」は、社会学の領域のなかでジェンダー/セクシュアリティを考察する学問分野です。歴史的には、セクソロジー研究や「病理」としての同性愛研究にさかのぼることもできますが、一般的にはフェミニズムやジェンダー論の影響を受けつつ、レズビアン/ゲイ・スタディーズの研究蓄積や枠組みを取り入れながら、既存の社会学の方法論を批判的に問い直す指向性も有しています。
この演習では、セクシュアリティという研究対象や領域を学ぶにあたり、必要とされる基本的な概念やその枠組みを概説していきます。そこには、セックス/ジェンダー/セクシュアリティのとらえ方、異性愛と同性愛、トランスジェンダーや性同一性障害というカテゴリー、ホモフォビアやヘテロセクシズムという構造やイデオロギー、カミングアウトの実践やクローゼット、ホモソーシャリティという概念などが含まれます。ここでは、概念を説明する際の事例として、できる限り日本で生起したケースを取り上げ、受講生のみなさんに、これまで学問として考える機会があまりなかったであろう諸問題について、身近に考えてもらうようにします。
また、後半部分では、日本社会で起きた、あるいは進行中のセクシュアリティをめぐる諸問題について取り上げます。同性愛者差別事件をめぐる裁判事例、近年テレビなどを通じて可視化されるようになったオネエタレント、クィア映画、同性婚の事例やクィア家族の諸問題、クィアの労働問題などに触れながら、実際に現代日本の社会において生じている現実や諸問題をクィア的な視点から論じていきます。
学習の到達目標 基本的なセクシュアリティをめぐる概念について理解し、新たな見方ができるようになることですが、さらに個人の研究や将来の人生や仕事のなかで、ここで得た考え方を活用できるようにすることでもあります。
学修の到達目標 1.基本的なセクシュアリティをめぐる概念について理解し、新たな見方ができるようになる
2.個人の研究や将来の人生や仕事のなかで、ここで得た考え方を活用できる
授業計画 第1回 セクシュアリティを捉える視点
第2回 セクシュアリティとジェンダー役割
第3回 性別の越境
第4回 性的指向をめぐる問題【オンデマンド授業】
第5回 恋愛と親密性
第6回 パートナーシップと生の多様性
第7回 性と暴力
第8回 1回から7回までのまとめ
第9回 性の商品化
第10回 エイズという問題―その歴史と現在
第11回 性的マイノリティが経験する生きづらさ
第12回 セクシュアリティをめぐる権利獲得の歴史
第13回 クィア・スタディーズの視角【オンデマンド授業】
第14回 セクシュアリティをめぐる法の言葉
第15回 9回から14回までのまとめ
授業外学習の課題 講義のなかで読むことを求められた文献は必ず事前に読んで理解するようにしてください。また、授業に関連した小レポートなどを課すことがありますので、準備を怠らないようにしてください。

事前学修(2時間程度):毎講義の最後に次回の講義テーマを発表するので、各自でできる限り調べて予備知識を集めておき、関係する事柄について調べておくこと
事後学修(2時間程度):講義中にわからなかった用語については、次回までに各自で調べること
履修上の注意事項 クィア・スタディーズ演習も履修することが望ましい。

※本講義で使用する資料等は、Moodleにてダウンロードできるようにします。
提出物やレポートなどは必ず指定された期限内に提出すること。
授業用の配布資料や課題などは、Moodleに掲載することがありますので、確認してください。
小テストやプレゼンテーション時に公認欠席となる場合、追試や代替措置で対応します。

ブレンド型授業を実施します(Moodle使用)
成績評価の方法・基準 授業における報告、議論などにおける参加の積極性、平常の研究態度(50%)および期末に課す提出レポート(50%)によって総合的に評価する。欠席は減点することがある。
テキスト 授業の中で、適宜指示します。
参考文献 風間孝・河口和也 2010 『同性愛と異性愛』 岩波書店
風間孝・河口和也・守如子・赤枝香奈子 2018 『教養のためのセクシュアリティ・スタディーズ』法律文化社
菊地夏野・堀江有里・飯野由里子編 2019 『クィア・スタディーズをひらく1 アイデンティティ、コミュニティ、スペース』 晃洋書房
菊地夏野・堀江有里・飯野由里子編 2022 『クィア・スタディーズをひらく2 結婚、家族、労働』 晃洋書房

小山静子・赤枝香奈子・今田絵里香編 2014 『セクシュアリティの戦後史』 京都大学学術出版会
前川直哉 2011 『男の絆―明治の学生からボーイズ・ラブまで―』 筑摩書房
前川直哉 2017 『<男性同性愛者>の社会史―アイデンティティの受容/クローゼットへの解放―』 作品社
砂川秀樹 2015 『新宿二丁目の文化人類学―ゲイ・コミュニティから都市をまなざす―』 太郎次郎社
主な関連科目 クィア・スタディーズ演習/クィア・スタディーズ/性現象論
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
授業中はもちろんのこと、オフィスアワーにも質問や相談対応の時間を設けます。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
人文学部人間関係学科社会学専攻(専門演習科目) FHHS34279 2017~2022 2・3・4 - - - - -
人文学部人間関係学科社会学専攻(専門演習科目) FHHS34279 2023~2023 2・3・4 - -