授業コード 10000300 単位数 2
科目名 商学概論 クラス
履修期 前期授業 カリキュラム *下表参考
担当者 柏木 信一 配当年次 *下表参考

授業の題目 商学原論(商学部全科目の共通項の提示=取引の基礎的枠組)
-取引の各要素、取引倫理、市場観・取引観-
学修の概要 ※必ず情報センターでalphaのアカウントを取得してください。
※商学概論のclassroom登録に必要なクラスコードは第1回講義で指示します。。
※本講義で使用する「書込式講義ノート」のファイル並びに講義資料はすべてclassroomにアップするので、必ず、各自印刷して講義時持参してください。

※「商学概論」は、商学科で教職免許「高校(商業)」を取得する場合ほ、必修科目です。
※商学科の場合、「商学概論」の履修を「ゼミナール」履修における選考要件としますので、
 絶対に、「未履修」 及び 「ドロップアウト(=X評価)」 だけは避けましょう。


 よく誤解されることですが、「商学」という学問は単なる営利技術やビジネスだけを学ぶものではありませんし、「商学=商業論」でもありません(むしろ、商業論<商学)。「商学概論」という学部1年生の科目も、商学部の制度・履修計画説明のための教務的なオリエンテーションでもありませんし、商業高校の延長でもありません。

 商学という学問は社会科学の中でも「商品・サービス、お金の流れと取引、ビジネス(事業活動)における対外的な活動に関する領域」を扱う学問です。同時に、社会科学の各分野を総合的かつ実用的に応用する「総合社会科学」なのです。

 更に、「対外的な活動」とは「取引」のことです。「取引」とは、①探索→②交渉→③契約成立→④引き渡しと支払いから構成される経済的な人間関係の形成(=有償契約)のことです。なお、「取引」に参加するのは事業者だけではありません。消費生活者(消費者)も参加しますし、国・地方公共団体も参加することもあります。よって、「商学概論」の講義では、商学の総論部分、すなわち2年次以降のすべてのコース・分野に共通するテーマを扱います。ここでいう総論部分とは、①商学でいう「取引」の持つ意味、②すべての人が取引相手に対して考慮すべきこと、③実際の活動との関連も考慮した理論的な枠組みです。

 私の講義で展開する先人の理論及び私自身の見解はなるべく実情・実践と直結させ、机上の空論にはしません。講義で展開される事項は、実際、長い目で見れば直接的または間接的に結びついています。
学修の到達目標 1.商学の基礎概念及び研究領域が、なぜ「取引」であるのかを説明できること
2.取引における「信義誠実」及び事業活動における「マーケット・イン(和製英語:英語ではcustomer oriented;consumer orientedに相当)」の考え方を知り、その重要性を認識できること

※大学の講義は、どの講義もテキストの章立て通り進行するものではありません。
※講義は下記の計画の流れの予定ですが、必ずしも完全固定ではありません。進度や理解度、その他諸事情によって、
  2週分まとめて展開したり遅れたりする場合もあれば、変更・削減する場合もあります。
※経済、法律の用語・論法は口頭・板書で逐次補充しますので、必ず講義に集中し、かつ手書きでメモを取ってください。
授業計画 第1回 Ⅰ 導入 -日常生活と取引の関連-

 商学という学問について 
   ① 他の社会科学(特に経営学)との違い
   ②「取引」とは何か?
   ③「商学原論」の構成要素=「取引の主体、客体、媒体、目的と関係形成」とは何か?
第2回  取引実現の効果1 -経済的効果-
  ①ミクロ的な効果(当事者と市場)
  ②マクロ的な効果(社会的波及とGDP)
第3回  取引実現の効果2 -法的効果-
  ①契約とは何か
  ②債権債務関係という効果
  ③物権関係(物権変動)という効果
第4回  日常生活における取引 1 
  ①売買、賃貸借、使用貸借、請負…etc.「典型契約」の例示列挙
  ②人が法的責任を負う場合-刑事、民事、行政処分-
第5回  日常生活における取引 2 
  18歳成人化(但し、これは民事)と消費生活トラブルの予防と救済
第6回  流通について 1 -実際の経済において移動・移転していく要素は何?-
  ①流通とは何か?
  ②人的移転(権利関係の移動)と物理的移転(物体の移動) 
  ③所有権とは何か?
  ④商的流通(取引流通)、物的流通、情報流通
第7回  流通について 2 -「流通」を基準にした商学の各論について-
  ①生産と消費の懸隔とその架橋について
  ②人的移転関連:売買商業(貿易含む)、仲立商、代理商
  ③物理的移動関連:金融、保険、証券、交通、情報・通信
  ④その他
第8回 Ⅱ 市場理論の基礎

 貨幣制度について
   ① なぜ、貨幣を保有するのか?
   ② 「取引の媒体」としての貨幣、現代の貨幣供給のしくみ
   ③ 簿記で読み解く「信用創造」(=お金を創り出す)
      マネーストック・ハイパワードマネーと信用創造の関係
第9回  分業と協業(テキスト6章関連)
  ①A.Smithのいう分業、及び「職業の分化」と「作業の分割」について
  ②部門別分化について -供給部門と消費生活部門の決定的な違い-
第10回  市場の基礎知識・基礎理論
  ①顕在需要と潜在需要
  ②具体的市場と抽象的市場
  ③(経済学における)完全競争市場の要件
第11回 Ⅲ 取引観・市場観(テキスト10章、12章関連)

 取引観・市場観の変化 1 -米国のマーケティング理念の変化("00~'60年代)
   顧客視点不在の取引観・市場観からの転換と模索 -1929年世界恐慌を契機に-
第12回  取引観・市場観の変化 2-マーケティング・ミックス、4Pモデルについて-
   ①マッカーシーモデル(いわゆる4P)の登場
   ②取引方法としてのマーケティング論と
    経営管理手法としてのマーケティング論の相違・及び両者の融合
第13回  取引観・市場観の変化 3 -日本流の取引観・市場観-
   ①近江商人の「三方よし」(=売り手良し、買い手良し、社会よし)の取引観
   ②福澤諭吉の「士魂商才」(及び菅原道真の「和魂漢才」)、渋沢栄一の「論語と算盤」
   ③日本におけるマーケティングの導入(1955年以降)
   ④再考:「マーケット・イン」という和製英語
第14回  取引観・市場観の変化 4 -21世紀の取引観・市場観-
   ①CSR(企業の社会的責任)と「企業品質」
   ②マーケティングにおける「経験価値」「価値共創」の考え方
第15回  まとめ
授業外学習の課題 ☆基本的に、私の講義は「講義時、メモを取ること」「復習」を重視してください。
☆時間目安:3時間以上の復習。分からなかった所や担当者に質問したいことを整理しよう。
☆商学科1年生の方は、2年生後期からのゼミ選びを意識して、商学科の先生の専門分野を調べたり聞いたりしてみましょう。
履修上の注意事項 ※毎日、教学システムの「授業課題情報」とGoogle Classroom「商学概論」をチェックすること。


★必要な学力の目安
  全国模試偏差値50程度(共通テストで5割程度)の
  公民・現代文・英語・数学1A・日商4級簿記の基礎力

★高校の授業は50分でしたが、大学は90分です。また、高校では大抵が赤点は29点以下か平均点から20点以下でしたが、大学では試験点数59点以下ならば赤点・不合格です。この点、要注意です!!

◇第1回目の講義からテキストを持参してください。
◇経済用語や法律用語は逐次解説するので講義に集中し、手書きでメモをとってください。
◇これから商学の専門分野を学ぶ基礎となります。講義のスピードは速いです。欠席や遅刻が多かったり、メモを取らないでいると、理解が不能となって確実に単位を落とします。不合格になった人は大学での学び方、講義への取り組み方を改める必要があります。
成績評価の方法・基準 ■試験100%で評価する。また、特別欠席や欠席による減点はしません。

■出席度が低いと講義理解が困難になるので、皆勤を目指すこと。

■成績評価ガイドラインに基づき、履修者(X除く)のうち、
 AAは総得点上位5%程度、Aは同25%程度までとします。
テキスト 柏木信一『21世紀の商学原論-経済、商、法の3極思考-(初版第2冊)』晃洋書房2,100円+税
(なお、この本は、2年次の私の講義科目・ゼミでも使用します。)

ISBN 978-4-7710-2677-3
参考文献 ①石原武政・忽那賢治『商学への招待』有斐閣
②来住元朗編『商学 その理論と歴史』八千代出版
③『検定3級簿記講義』中央経済社
④アダム・スミス『国富論(1~3)』中公新書
主な関連科目 ☆商学科のすべてのコース・分野に関連。流通・マーケティング、貿易(国際商取引)、地域・観光、金融…etc.

☆更に、4年間かけて…

①流通やマーケティングに関心のある人
 →コース科目はもちろん必要です。実際のマーケティングにおいては、「自社(自店)」「お客さん」「競合品・ライバル」「社会的諸事情」の4つをおさえておくことが求められますので、社会全体に対する関心を持ちましょう。

②個別的に企業を分析したい、実証分析がしたい人
 →卒業までに、簿記・会計 or 数学・統計学 を身につけましょう。財務3表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)の読み方か計量経済学のどちらかが身につけることができれば有用です。

③貿易、観光の実務に携わりたい人
 →国際知識やその地域の事情理解は勿論ですが、卒業までに、外国語と「外国為替論」と「貿易論」だけは必ず身につけましょう。また、日本の契約ルール(民法)及び国際私法を身につけておくとなお良いでしょう。

④金融の実務に携わりたい人
 →金融知識は勿論ですが、卒業までに、簿記(日商簿記2級以上)と会計学に加えて、 民法・会社法 or マクロ経済学 を身につけましょう。

⑤実戦を重視したい人や起業したい人
 →卒業までに、会計と民事法(日商簿記2級以上、会計学原理、経営分析論Ⅰ・Ⅱ、財務会計論Ⅰ・Ⅱ、原価計算論Ⅰ・Ⅱ、企業診断、民法Ⅰ~Ⅳ、会社法、商法、手形・小切手法)を身につけることをおすすめします。民事法学と会計学は、土台がしっかりしているだけでなく理論と実践が直結しているからです。
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
1.質問内容によっては、少し時間を掛けて説明する必要があるものは、次回の講義で説明することもあります。
2.質問は講義終了直後でも、メールによる形でも対応します。
柏木メール:kassy■alpha.shudo-u.ac.jp (■はアットマーク)
URLリンク 広島修道大学情報センター

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次 身につく能力
知識・技能 思考力 判断力 表現力 協創力
商学部商学科(A1群) FCBS11101 2018~2022 1・2・3・4 - - - - -
商学部商学科(A1群) FCBS11101 2023~2023 1・2・3・4 - -
商学部商学科(A1群) 11200 2024~2024 1・2・3・4 - -
商学部経営学科(B3群) 12200 2024~2024 2・3・4 - - - - -