| 授業コード | 20071800 | クラス | |
| 科目名 | 社会的養護論 | 単位数 | 2 |
| 担当者 | 福岡 律子 | 履修期 | 後期授業 |
| カリキュラム | ＊下表参考 | 配当年次 | ＊下表参考 |
| 授業題目 | 社会的養護論 Social care |
| 授業の概要 | 社会的養護とは、保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童（要保護児童）を、公的責任で養育し保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことである。社会的養護は、「子どもの最善の利益のために」と「社会全体で子どもを育む」を理念として行われている。 本授業では、児童家庭福祉論で学んだ社会的養護に関する諸制度や関連施設、支援内容等に関する基本的知識をより深めるとともに、社会的養護を利用する子どもやその保護者の支援について、個別の援助実践事例を元に、実践の基盤となる支援論や支援に役立つ技法・コミュニケーション・スキルを学ぶための演習を中心として行う。そのために、授業の中ではグループワークを多く取り入れ、実践的な授業を行うことで、様々な状況にある子どもや家族に対し、多様な見方や発想で支援を考えられる力を養う。 【実務経験内容：NPO等において子どもや家族に対する相談支援活動を行うとともに、ソーシャル・スキル・トレーニングの計画・実践に携わっている】 |
| 学習の到達目標 | １．現代社会における社会的養護の意義と、子どもの人権擁護を踏まえた社会的養護の基本を理解することができる。 ２．社会的養護に関する諸制度、対象や関係する専門職の役割について理解することができる。 ３．社会的養護の実践者としての役割を理解し、「子どもの最善の利益」を考慮した養護実践を考えることができる。 ４．対人支援の基礎理論を知り、問題解決に役立つ支援を行うために必要な視点や支援的なコミュニケーション・スキルを身につけ、実践することができる。 |
| 授業計画 | 第１回 | ガイダンス 社会的養護の概要、現代社会における社会的養護の意義を解説した上で、授業の流れや進め方について説明する。後半は、施設実習での体験を振り返り、学びや得たもの、疑問点などを整理し発表する。発表内容を元にディスカッションを行うことで、周囲と体験を共有し実習での学びを深めるとともに、今後の授業において自分は何を学び、知りたいと思うかを整理する。 |
| 第２回 | 社会的養護（代替的養護）の現状（１）統計データの分析、調べ学習の準備 社会的養護の現状について統計データを確認しながら、気付きを出し合う。グループごとに、興味を持った内容や疑問点、もっと深く知りたいと思うことを出し合い、調べるテーマの選定や作業の役割分担を行った上で、資料作成の準備を行う。 |
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| 第３回 | 社会的養護（代替的養護）の現状（２）グループ発表 作成した資料をもとに、グループごとに発表を行う。各グループの発表内容に対して感想を伝え合い、質疑応答を行うことで、社会的養護の現状や現代社会における意義について知識や理解をより深める。 |
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| 第４回 | 社会的養護における子ども理解と対人支援の基礎理論の理解（１）システム論 前回のグループ発表の内容のまとめをし、社会的養護を利用する子どもやその家庭の現状を踏まえて、社会的養護のもとで暮らすということについて理解を深める。児童福祉施設等において子どもの育ちを日常的に支援する専門職には、対人支援の理論を理解し、理論に基づいて事象を捉えることのできる専門的視点と、効果的な支援のための方法論とスキルを有することが求められる。今回は基礎理論としてシステム論について解説する。 |
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| 第５回 | システム論的観点からの事例の評定（ファミリー・アセスメント） 第4回で学んだシステム論の考え方を用い、ファミリー・アセスメントを行った参考事例を紹介、解説する。その上で、自分なりに事例のアセスメントをする演習を行う。 |
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| 第６回 | 対人支援の基礎理論の理解（２）コミュニケーション論 対人支援はコミュニケーションを通じて行われるとともに、人と人との相互作用（コミュニケーション）場面への介入・支援を行うことから、人間のコミュニケーションに関する基礎理論を紹介し解説する。その上で、対人間の相互作用を分析するための枠組みを紹介し、その分析枠に沿って逐語録を考察する手法を紹介する。 |
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| 第７回 | 施設養護における日常生活支援の実際（１）事例の評定（コミュニケーション分析） 児童福祉施設での日常生活場面における子どもへの関わりに関する実践事例から、子どもと支援者との間で展開しているコミュニケーションを分析し、次の手立てを検討する演習をグループで行う。 |
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| 第８回 | 施設養護における日常生活支援の実際（２）プランニング、ロールプレイ 前回の事例のコミュニケーション分析に基づき、支援プランを考える作業を行う。考えたプランを実際の言語・非言語メッセージとして具体的にあらわし、やりとりの展開のシナリオを作成する。グループごとに考えたシナリオをロールプレイで発表し、他のグループからフィードバックを得る。 |
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| 第９回 | 記録の書き方・取り方 社会的養護における記録について、記録の書き方、その活用方法や情報管理の大切さも含めて説明する。特に、日々の援助実践の記録は、支援の方針や支援方法を見直したり、支援の効果を検証するために活用できることを解説し、記録を書く上での留意点を伝える。事例の理解やケースカンファレンスに役に立つファミリーマップやエコマップを実際に作成する練習や子どもや保護者の話を聞きながら、その場で話の内容のメモを取り支援に活用する練習を行う。 |
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| 第１０回 | 家庭養護（１）基本知識の理解と事例の紹介 家庭養護に関する諸制度（里親制度、ファミリーホーム、養子縁組制度）について、それぞれの特徴や実情について解説する。ファミリー・ソーシャルワーカーが行った里親家族への支援事例を読み合わせ、気付きや疑問点を出し合う。 |
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| 第１１回 | 家庭養護（２）変容ポイント、技法の解説 前回読み合わせた事例について、システム論をもとに評定を行い、変容のためのプランを考察した上で、ファミリー・ソーシャルワーカーが行った介入のポイント、使われている技法について解説する。演習では、事例の逐語に沿ったロールプレイを行い、技法を実際に用いる体験をする。 |
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| 第１２回 | 家庭養護（３）介入（支援）の効果測定 支援者が行った介入（支援）の効果測定の方法と実際について紹介する。前回の事例から支援の実践過程を考察し、ファミリー・ソーシャルワーカーの介入の効果を検証する。 |
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| 第１３回 | 被虐待児への支援の実際（１）事例の評定（アセスメント） 児童養護施設に入所している子どものおよそ7割が虐待を受けた経験を有していることから、被虐待児の特徴や関わりの留意点を解説しながら、施設における子ども支援の事例を元に、ファミリーマップやエコマップを作成したり、事例の評定、プラン立てをしてみるなど、これまでの授業で学んだ知識を活用する演習を行う。 |
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| 第１４回 | 被虐待児への支援の実際（２）支援プラン、援助技法 前回の事例から、支援者が考えた支援プランや用いている援助技法について確認する。面接場面のロールプレイによって、支援的なメッセージの出し方を実践的に練習する。 |
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| 第１５回 | 授業のまとめ これまでの授業のまとめを行い、ポイントを振り返る。最後に、現代の社会的養護の課題や展望について解説する。また、定期試験について準備しておいてほしい事柄を伝える。 |
| 授業外学習の課題 | 事前学習としては、児童家庭福祉論で学んだ社会的養護に関する知識を復習し、日本の社会的養護のしくみや施設養護、家庭養護について自分なりに調べ、予習しておいてください。 事後学習としては、授業で学んだ内容についてノートなどに整理し、読み返しておいてください。 |
| 履修上の注意事項 | ・授業は原則対面で実施します。周りと協力し、チームで支援するためのコミュニケーション・スキルを活用しながら、ディスカッションやグループワークに積極的に取り組んでください。 ・普段から子どもや家族に関して関心を持ち、本やニュース、新聞記事、ドラマや映画などに意識して接し、広い視野から情報を取り入れておくようにしてください。 ・欠席、遅刻については、事前に予定が分かっていれば、メールで連絡してください。 |
| 成績評価の方法・基準 | リアクション・ペーパー（10％）、グループワーク、グループ学習・発表の評価（20％）、レポート課題（20％）の評価と、期末試験（50％）の成績により、総合的に評価します。 リアクション・ペーパー、レポート課題は提出期限に遅れると減点します。 |
| テキスト | 使用しません。毎回のテーマに沿ったプリント、資料を配布します。 |
| 参考文献 | １．『新・社会的養護の原理』櫻井奈津子編著、青鞜社、2020年 ２．『児童の福祉を支える社会的養護Ⅰ』吉田眞理編著、萌文書林、2019年 ３．『子どもの未来を支える社会的養護』小野澤昇・大塚良一・田中利則編著、ミネルヴァ書房、 2019年 ４．『保育実践に求められるソーシャルワーク』橋本好市・直島正樹編著、ミネルヴァ書房、2012年 ５．『ファミリー・ソーシャルワークの理論と技法』大下由美・小川全夫・加茂陽編、九州大学出版 会、2014年 ６．『被虐待児童への支援論を学ぶ人のために』加茂陽編、世界思想社、2006年 ７．『人間コミュニケーションの語用論 相互作用パターン、病理とパラドックスの研究』 ポール・ワツラヴィック、ジャネット・ベヴン・バヴェラス、ドン・D・ジャクソン、二瓶社、 1998年 ８．厚生労働省ホームページ「社会的養護」 ※他は授業内で紹介します。 |
| 主な関連科目 | 社会福祉論、児童家庭福祉論、子ども家庭支援論 |
| オフィスアワー及び 質問・相談への対応 |
・質問や相談には、授業前後の時間に応じます。メールで質問・相談していただいても構いません。 ・リアクション・ペーパーに書かれた質問には、次回授業の冒頭に回答します。 ・グループ学習・発表のフィードバックとして、次回授業の冒頭に発表内容をまとめ提示します。 ・試験のフィードバックについては、解答のポイントをMoodleで配信します。 |
| 所属 | ナンバリングコード | 適用入学年度 | 配当年次 |
| 人文学部教育学科（教職専門科目群） | FHED34104 | 2017～2023 | 3･4 |