授業コード 84000300 クラス
科目名 社会福祉論 単位数 2
担当者 中 みちる 履修期 前期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 社会福祉学入門 対人支援の理論と実践
Introduction to Social Welfare Studies Theory and Practice of Human Service
授業の概要  なぜ人類は「社会福祉」制度を国家の機能として持つことにしたのか、「社会福祉」はどのような方法や内容で実践されることが望ましいのか、普段はあまり考えたり、議論することがないと思います。一方で、失業などによる生活困窮者対策、障害のある人の日常生活支援や自立支援、就労対策、高齢者の介護サービス、虐待などによる要保護児童対策、子育て家庭の支援対策など、現代社会にとって「社会福祉」の必要性は質・量ともに増しているだけでなく多様化、包括化し、社会保障費の増加、消費税や社会保険料の負担率の上昇となって、皆さんの生活に少なからず影響を与えています。それだけでなく、福祉サービスや対人支援を必要とする「人」や「問題」の存在は、この社会の構成員である皆さんにとって無視できないテーマになっているはずです。
 本授業では、現在の社会福祉の成り立ちや培われてきた理念の概要を学び、日本の法律や制度について、その特徴や課題を把握していきます。また、どのように支援することがクライアントの問題解決力の生成に役立つのか、実践的な相談支援(ソーシャルワーク)の理論と技法について学びます。
学習の到達目標 授業を通して、以下の知識・力・スキルの習得を目指します。
1.社会福祉の基本理念、法制度、具体的なサービス、現在の様々な問題状況や取り組みに関する知識
2.多様な状況、背景、価値感、ライフサイクルにある人の生活課題に対し、解決の糸口を考える力
3.自身の意見を表明するスキル、他者の意見表明を促すスキル
授業計画 第1回 オリエンテーション
 社会福祉学における本授業の位置づけ、授業の概要、進め方、評価、試験など、その他の確認事項についての説明を行う。自己紹介や現在の社会福祉に関する知識、社会福祉に関することで感じている疑問や課題などについてのディスカッションを行う。
第2回 社会福祉システムの歴史
 先人たちが編み出した社会福祉システムの成立過程を資本主義経済の成長や人権意識の変遷から追い、現在の社会福祉システムの意義や必要性について見直す。
第3回 社会福祉システムの原理
 社会福祉には基本原理とされるいくつかの思想、概念がある。ここでは、それらの基本原理・思想を紹介し、それらの原理原則の実践例や課題について考えていく。
第4回 社会福祉システムの基本体系
 日本の社会福祉の法体系、福祉資源の運用の基準と方法、サービスの提供体制などについて説明し、実際の事例や事件を通して、課題と課題解決に必要なことがらについて考える。
第5回 今後の社会福祉システムの行方
 コロナ禍というかつてない社会状況は、既存の方法を見直したり、別の方法を見出す機会ともなった。これは社会福祉システムにも言える。これまで以上に厳しい経済状況の中、差別、貧困、少子高齢化、児童虐待などの社会問題に対し、私たちはどのように取り組めばいいのか、これまでの学習内容をふまえ議論したい。
第6回 対人支援の専門性
 「人の問題解決を支援する」とは、社会福祉実践の専門性とはどのようなことか、現場でも議論されているテーマについて、考えたい。
第7回 ソーシャルワークの理論(1):システム論
 社会を情報が還流するシステムと捉え、状況を構成要素と構造という視点から整理し、力動性を分析するシステミックな視点や思考は、「状況の中の人」を支援する対人支援には欠かせないものである。ここでは、問題とされる状況を整理する理論的枠組みを学ぶ。
第8回 ソーシャルワークの理論(2):コミュニケーションの語用論
 文脈によってメッセージの意味が変わる語用論から、人間のコミュニケーションの特徴を学ぶ。1つのメッセージの意味が変わることで何が起こるのか、差異化の重要性について解説する。
第9回 ソーシャルワークの技法(1):トラッキング
 相談開始から、解決行動の実践支援まで、どのような手順で相談支援を行うのかを説明する。さらにクライアントの記述を変容可能な形に変換する「トラッキング」という技法について、ロールプレイ(役割練習)を交えて練習する。
第10回 ソーシャルワークの技法(2):質問法
 相談支援では支援者の質問が重要となる。ここでは、相談支援に用いられる各種の質問法を紹介し、前回のトラッキングで得られたデータを基に、学習した質問を使用する練習を予定している。
第11回 事例で考える障害のある人の支援(1)
 これまでの学習内容をふまえ、障害のある人の支援を手順をふんで考えてみたい。
第12回 事例で考える障害のある人の支援(2)
 11回で考えた支援プランをもとにロールプレイ(役割練習)を行う。練習後は意見交換を行う。
第13回 事例で考える問題行動への対応(1)
 思春期年齢の子どもの事例を題材に、支援関係を築くための具体的な方法を検討したい。
第14回 事例で考える問題行動への対応(2)
 13回で考えた支援プランをもとにロールプレイ(役割練習)を行う。練習後は意見交換を行う。
第15回 支援者会議、他機関連携について
 支援者会議や他機関連携の際に生じる課題や、他機関紹介の方法などについて、実際のクレーム事例やトラブルを題材に考える。またこの授業のまとめとして、社会福祉システムを効果的に作動させるために私たちが何をすればいいのか、意見交換を行う。
授業外学習の課題  事前学習としては、①ニュースを見る、②本・論文・漫画・映画・ドラマ・インターネットなどで知識を拡げる、③授業で紹介する資料や参考文献を読む、ようにしてください。事後学習としては、①授業内容をふり返ってまとめる、授業で知ったことや考えたことを周りの人に話す、興味関心を持ったことをさらに調べる、②思ったことや考えたことをメモする、リアクションペーパーに書く、③授業内容を自分自身の生活に関連させ、日ごろから考える、ようにしてください。
履修上の注意事項 ・授業は原則対面で行います。非対面授業となった場合は、Moodleを使ったオンデマンド形式での授業を予定しています。その場合は、Moodleに音声付きスライド資料、配布資料、課題をアップし、課題提出により出欠を確認します。(形式を変更する場合は、Moodleでアナウンスします。)
・授業では皆さんに問いかけ、考えてもらうことを意識しています。社会福祉の現場ではチームで支援を行うことが多くあります。自分の考えや気づきを意見として他者に伝える練習だと思って、自分なりの考えや経験を言語化し、相手に伝わるような話の内容や言い方の工夫をしていきましょう。
・多様な価値観を学びます。自分がしたことのない経験や想像もつかないような生活環境など、考えたり、理解することが難しい内容もあると思いますが、他の人の暮らしや生活課題、福祉サービスや制度に興味関心を持って、考えてみてください。

・遅刻・早退・欠席の報告・連絡・相談や、課題の内容や提出日時に関する疑問や相談、学習に必要な配慮などは、遠慮せずに伝えてください。相談があればできる対応も、自己判断による行動の後では、対応不可能なこともあります。私も授業内容や方法の変更などはなるべく事前に連絡したり、皆さんに相談したりするようにします。お互いに信頼し合えるような行動をとっていきましょう。
成績評価の方法・基準 リアクションペーパー、レポート課題(70)、授業への取り組み(30)による平常点の評価と、期末試験(100)の成績により、総合的に評価します。課題、リアクションペーパーについては、提出期限が守れているか、設問に対応しているか、記述内容により評価します。
テキスト 特定のものは使いませんが、必要に応じて紹介させていただきます。
参考文献 <社会福祉全般について>
・「問いからはじめる社会福祉学」圷洋一・金子充・室田信一 有斐閣ストゥディア
・「ウェルビーイング・タウン 社会福祉入門」岩田正美・上野谷加代子・藤村正之 有斐閣
・「対論社会福祉学4」一般社団法人日本社会福祉学会 中央法規
など
<社会福祉制度、福祉サービスについて>
・「保健・福祉の手引き」広島市健康福祉局
など
<ソーシャルワークの方法論について>
・「ファミリー・ソーシャルワークの理論と技法」大下由美・小川全夫・加茂陽 九州大学出版会
・「解決志向ケースワーク」ダナ・N・クリスチャンセン 金剛出版
・「人間コミュニケーションの語用論」P・ワツラヴィック他 尾川丈一訳 二弊社
・「学校におけるブリーフセラピー」宮田敬一編 金剛出版
など
<知識を拡げるために>
・「だれか、ふつうを教えてくれ」倉本智明 理論社ヤングアダルト新書
・「すべらないバリアフリーのススメ」NHKバリバラ制作班編 竹書房
・「跳びはねる思考」東田直樹 イースト・プレス
・「「みんなの学校」から社会を変える」木村泰子 高山恵子 小学館新書
・「明日の子供たち」有川浩 幻冬舎
・「動かないと人はやむ 生活不活発病とは何か」大川弥生 講談社現代新書
など
主な関連科目 子ども家庭支援論、児童家庭福祉論、社会的養護論
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
・授業の前後に教室で対応します。毎回十分な時間が取れるとは限らないので、事前にメール(mnaka@alpha.shudo-u.ac.jp)でお知らせいただいたり、相談の上、日時を調整させていただけると助かります。
・リアクションペーパー、課題のフィードバックは、対面では返却時に、非対面ではMoodleのフィードバックで行います。
・リアクションペーパーに書かれた質問には、次回の授業の冒頭で回答するか、内容に応じて個別に回答いたします。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
商学部商学科(資格関連科目) 2019~2022 2・3・4
商学部経営学科(資格関連科目) 2019~2022 2・3・4
経済科学部現代経済学科(資格関連科目) 2019~2022 2・3・4
経済科学部経済情報学科(資格関連科目) 2019~2022 2・3・4
人文学部人間関係学科社会学専攻(資格関連科目) 2019~2022 2・3・4
人文学部教育学科(資格関連科目) 2016~2022 2・3・4
人文学部英語英文学科(資格関連科目) 2019~2022 2・3・4
法学部法律学科(資格関連科目) 2019~2022 2・3・4
人間環境学部人間環境学科(資格関連科目) 2019~2022 2・3・4
健康科学部心理学科(資格関連科目) 2019~2022 2・3・4
国際コミュニティ学部国際政治学科(資格関連科目) 2019~2022 2・3・4
国際コミュニティ学部地域行政学科(資格関連科目) 2019~2022 2・3・4