授業コード 70009100 クラス
科目名 政治特論B(国際ジャーナリズム論) 単位数 2
担当者 船津 靖 履修期 後期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 国際報道の知識・実務・使命 International Journalism: Its Knowledge, Business, and Mission
授業の概要  ロシアのウクライナ侵略、中台関係の緊張などで国際情勢は急速に悪化しています。広島では「核兵器なき世界」が公式キャッチフレーズですが、皆さんの存命中に核廃絶が達成される現実的な可能性はありません。日本経済は長期低迷状態です。日本として日本人として、どうするべきなのか判断が問われます。そのためには知識と最新の情報が必要です。

 題目を「現場と使命」から「知識・実務・使命」に変更しました。前期「メディア論」の試験で基礎知識が不足している学生が多いと感じたためです。記憶の定着を重視しノートを取ることを奨励します。レジュメへの依存度を下げ、口頭での説明や板書の使用を増やします。
 授業は、質問への応答から始めます。最新の国際ニュースに触れ、関連事項を深掘りし、本題に入りします。科目の特性として、さまざまな内容に飛びます。実務の経験談を増やします。
 講義の柱は、①国際ニュースと時事英語、②事実確認、客観報道、言論の自由の重要性、③教員の取材・執筆の実務経験~とします。
 ①英語は国際政治の学習に必須で実用的価値も高いです。②ジャーナリズムはリベラル・デモクラシーと不可分です。国際報道を主導してきた米英の主要メディアを主に取り上げます。メディア自体の権力関係や党派性も考察します。
 ③今回初めて前面に掲げました。ジャーナリズムは実務です。時間との闘い、字数との闘い、他社や同僚との競争です。海外取材現場の経験や工夫、文章術を話します。ロシアに侵略されたウクライナのキエフ、リビウ、クリミア半島などにもかつて複数回行ったことがあります。
 総じて「知識(量)」を重視します。「量」が増えると「質」も向上します。「思考」より「調査」「確認」。国際問題は知識がないと誤解に基づく突飛な推測や的外れの主張をする恐れがあります。無知な人ほど「独創的」、下手な考え休むに似たり。精神分析で高名なユングは、
「事実が少ないと、人の心は憶測に走ってしまうものだ」
と述べています。自分が属する共同体(日本、広島)の常識をいったん離れ、国際社会の現実について客観的な知識と情報を獲得することを目指します。 
【実務経験】
 教員は記者として国内で事件・事故、県政や国政選挙を取材後、モスクワ、エルサレム、ロンドンの特派員、ニューヨーク支局長、国際局幹部、編集・論説委員など報道の実務に携わってきました。
学習の到達目標  文系の大学生として上位層に入る国際常識を身に着けられるようになる。
 信頼できるメディアを見定め、活用できるようになる。
 優先度の高い情報を素早く選び出し、要点を簡潔にまとめられるようになる。
 フェイクニュースに騙されないようになる。
 建て前と本音、看板と実態の違いを意識できるようになる。
 心情や理想からだけではなく、利害や価値観が異なる他者の視点を含む多角的で冷静な現実分析ができるようになる。
 具体的で明確な説得力のある公共的な文章が書けるようになる。
 英語のニュース記事が徐々に読めるようになる(目標は英検準1級以上)。
授業計画 第1回 ①ロシア、ウクライナ情勢
第2回 ②日本の弔問外交
第3回 ③取材・速報のプロセス
第4回 ④ノーベル賞報道
第5回 ⑤ポピュリズムとフェイクニュース
第6回 ⑥記事作成と確認・推敲
第7回 ⑦アメリカ中間選挙
第8回 ⑧スクープ報道(1)米メディア
第9回 ⑨国際報道の現場(1)旧ソ連
第10回 ⑩メディアの社会理論
第11回 ⑪スクープ報道(2)個人・告発
第12回 ⑫国際報道の現場(2)英・中東
第13回 ⑬2022年後半の国際ニュース
第14回 ⑭質疑応答
第15回 ⑮まとめ
授業外学習の課題  共通の情報インフラとしてNHKのニュース防災アプリhttps://www3.nhk.or.jp/news/(無料)の国際政治経済や日本外交に関するニュースに目を通すこと。1日10分以上。日本経済新聞(電子版含む)など全国紙や中国新聞の国際面や民放の報道番組などに接する。速読すれば15分でも主要記事をかなり読める。
 レジュメや参考記事、資料に目を通す。
 Moodleで重要語句や英語の書き出し、小論述などの課題を出す。
履修上の注意事項  教室で対面授業を実施する。感染予防に引き続き注意する。
 専用のノートを準備し講義をメモに取る。メモの技術は勉強でも実務でも基本。
 シラバスは暫定的。大きなニュースが飛び込めば臨機応変に変更する。
 欠席や遅刻の多い学生は歓迎しない。私語は迷惑。向学心のある学生の受講を歓迎する。
 前期メディア論との違いは国際ニュース中心であること。重複をできる限り避ける。それでも重複するのは重要事項ということ。
成績評価の方法・基準  受講状況30%、期末試験70%。受講状況には課題で出す小論の評価が含まれる可能性がある。
 課題の提出状況や内容、授業への貢献(質問等)も対象。試験が実施できない場合はレポートに変更する。その場合、配点の割合を変更する可能性がある。期末試験の受験やレポート提出は原則として10回以上の出席が条件だが、個別の事情には柔軟に配慮する。方法・基準を変更する場合は速やかに通知する。
テキスト 『2022年版 世界地図』(成美堂出版)最新版でなくとも、若干の不便を甘受すれば可。高校で使用した地図帳でもよいが、多少の支障はある。財布と相談。
 原則として表裏1枚(40字×30行×4頁)以内のレジュメを配布し、関連記事・資料と共にMoodleに掲載する。
参考文献  スヴェトラーナ・アレクシエービッチ『戦争は女の顔をしていない』、パトリック・モディアノ『1941年。パリの尋ね人』(いずれもノーベル文学賞受賞)。ワシントン・ポスト紙ボブ・ウッドワード記者の一連の著作。適宜紹介する
主な関連科目  総合教養講義b(メディア論)、政治と社会(アメリカ)、政治と社会(中東)
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
 授業中の質問を歓迎し高く評価する。授業終了後、できるだけ質問に応じる。事務的な確認や個人的な相談などはメール(funatsu@shudo-u.ac.jp)でも対応する。課題に対する評価は講義の中やMoodleやメールで個別にも対応する。期末試験やレポートについてはMoodle上に講評などを掲載する。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
国際コミュニティ学部地域行政学科(政治領域) FGRA30313 2018~2022 3・4