授業コード 30004300 クラス
科目名 アメリカ研究Ⅰ 単位数 2
担当者 船津 靖 履修期 第2学期
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 超大国アメリカの理念と実像 The Ideal and the Real of the American Superpower
授業の概要 戦後の国際秩序を主導してきた超大国アメリカは、「トランプ後」の内政の混乱と分断、超大国化する中国、そしてウクライナに侵攻したロシアに揺さぶられている。アメリカの動静に世界が注目する。日本にも大きな影響を与える。
 アメリカのルーツは、「旧世界」ヨーロッパから宗教的迫害を逃れたピューリタン(キリスト教清教徒)が「新世界」北米大陸に「神の国」「新しいイスラエル」を築こうと入植した英植民地にある。アメリカは大英帝国からの独立革命、民主主義と人権保障を掲げる合衆国憲法の制定でつくられた「理念の共和国」だ。自由と機会を求め世界から移住した移民の活力によって超大国への道をたどった。多民族・多人種からなる連邦制国家である。成り立ちや「くにかたち」が、他の多くの国々と違う。今でもキリスト教の影響が驚くほど強い。一方、日本人はほぼ単一民族で、キリスト教徒が世界的に稀なほど少ない。日本人がアメリカを深く理解するのは、実は容易ではないのだ。
 現代のアメリカを理解するには、歴史や宗教の背景に加え、戦後の米大統領についての基礎知識が有益だ。講義は以上の政治史と、現バイデン民主党政権下のニュース解説を2軸とする。アメリカ政治はすでに2024年大統領選挙と、その前哨戦となる今年11月の中間選挙に向けて動いている。課題は山積している。コロナウイルス対策、ガソリンはじめインフレ対策、対中対ロシア関係、アジア系へのヘイトクライム(憎悪犯罪)や反ユダヤ主義を含む人種問題、人工妊娠中絶の是非、科学や報道を軽視する反知性主義、白人至上主義、極端な経済格差や銃犯罪の多発…。中国やロシア、北朝鮮の軍事的脅威にさらされる日本の対米同盟関係も焦点だ。
 一昨年からレジュメや資料で英語の語句・文章を多少使用している。多くの学生は楽しんで、最後までがんばる。授業は、前回の授業や資料に関する質問に答え、アメリカ関係のニュースを紹介することから始める。
【実務経験】
 共同通信社の地方3支局で警察、裁判所、県庁、知事選・国政選挙などを取材後、外信部、モスクワ、エルサレム、ロンドンの特派員。日本と同様、どこの国でも対米外交が最重要だったのが印象に残った。ニューヨーク支局長としてアメリカの社会や経済を観察し「アメリカ人の意地」を感じた。東京本社では国際金融や科学・文化・運動を含む重要ニュース全般の速報・編集管理や企画・論説を手掛けた。
学習の到達目標  現代アメリカの諸問題を歴史的背景や自由主義思想、キリスト教神学と関連づけながら理解できるようになる。戦後のアメリカ政治外交史と日米関係史の基礎知識が身に付くようになる。時事的な英語が徐々に読めるようになる。
授業計画 第1回 America NOW: Trump Phenomenon, China,Covid-19, Russia's Invasion of Ukraine
第2回 The U.S.-Japanese Alliance
第3回 Puritans: City upon a Hill, Awakening, Independence
第4回 Constitution: We the People
第5回 Presidential Elections
第6回 Civil War: Slavery and Racism
第7回 Asians and Japanese Americans
第8回 New York City and Jewish Americans
第9回 Cold War: Korea, Berlin, Cuban Missile Crisis
第10回 JFK, Assassinations and Vietnam War
第11回 Reagan and Evangelicals
第12回 Abortion: Pro-Choice vs. Pro-Life
第13回 Midterm Elections
第14回 Current Diplomacy and Security
第15回 America From Now
授業外学習の課題  授業でレジュメや資料をすべて読み上げ解説することはできない。自分で次週までに読み通し、画像・映像をネットで調べたり、質問を考える。Moodleの課題をこなす。英文を復習する(予習は求めない)。世界史の教科書の関連部分をたまに復習する。以上、1回の授業につき40-50分はかかるだろう。
 NHKのニュース防災アプリhttps://www3.nhk.or.jp/news/(無料)のアメリカ、日米関係に目を通す。日本経済新聞(電子版含む)はじめ全国紙や中国新聞、報道番組(可能ならBS、CS放送も)のアメリカ関連のニュースに日々短時間でも接する。
履修上の注意事項  教室での対面授業を実施する。感染予防に注意する。講義の要点をノートに書き取る。勉強は忘却との闘い。理解と記憶の工夫をする。質問を考える。
 遅刻、私語、途中退出は迷惑。向学心のある、努力する学生の受講を歓迎する。
 大きなニュースが飛び込めば、授業計画を柔軟に変更する。シラバスの授業計画通りに授業することが重要だとは思わないが、全体としてシラバスの内容を覆えるようにする。
 アメリカを知るのにこの授業だけではとても足りない。中東紛争と和平、湾岸戦争、イラク戦争、イラン核問題などは「中東の政治と社会」で主に扱う。「第四の権力」といわれる主要メディアや最新ニュースは「国際ジャーナリズム論」で主に扱う。
成績評価の方法・基準 受講状況30%、期末試験70%
課題の提出状況や内容、授業への貢献も対象。前年度はオミクロン株の感染急拡大を受けて急きょレポートに変更した。期末試験の受験やレポート提出は原則として10回以上の出席が条件だが、個別の事情には柔軟に配慮する。
テキスト 原則として裏表1枚(40行×30字×4頁)のレジュメを配布し、関連資料・記事と共にMoodleに掲載する。NHKのニュースや新聞記事もテキストに準じる。
参考文献  矢口祐人編『東大塾 現代アメリカ講義』(東京大学出版会、2020年)。久保文明他著『アメリカ政治 第3版』(有斐閣)、五百旗頭真編『日米関係史』(有斐閣)など随時紹介する。フィリップ・ロス『プロット・アゲンスト・アメリカ』(集英社)は架空のSF歴史小説だが、トランプ現象を含むアメリカの政治社会の深層を知るのに有益。修大のリポジトリ『修道法学』に船津靖「米大使館エルサレム移転と福音派の黙示的終末論」「イスラエル右派ベギン首相の核ドクトリンと福音派レーガン大統領のシオニズム」「イスラエルの核不透明政策とケネディ~ニクソン政権」「2016年米大統領選挙とユダヤ系アメリカ人」
主な関連科目  国際ジャーナリズム論 政治と社会(中東)
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
 授業中の質問を歓迎し高く評価する。授業後の質問やリアクション・ペーパー、Moodleでの質問も歓迎する。重要な質問は次回の授業で取り上げる。英語の勉強法などの相談もMoodleやメール(funatsu@shudo-u.ac.jp)で対応する。課題の評価は授業中またはMoodleやメールで個別にも対応する。期末試験やレポートについてはMoodle上に講評などを掲載する。レポートの場合は、学生から求めがあれば個別に批評を伝える。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
法学部国際政治学科(D群) 2014~2016 2・3・4
法学部国際政治学科(D群) FLIP20402 2017~2017 2・3・4