授業コード 20080100 クラス
科目名 性現象論 単位数 2
担当者 河口 和也 履修期 前期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 セクシュアリティの社会学 Sociology of sexualities
授業の概要 「セクシュアリティの社会学」は、社会学の領域のなかでジェンダー/セクシュアリティを考察する学問分野です。歴史的には、セクソロジー研究や「病理」としての同性愛研究にさかのぼることもできますが、一般的にはフェミニズムやジェンダー論の影響を受けつつ、レズビアン/ゲイ・スタディーズの研究蓄積や枠組みを取り入れながら、既存の社会学の方法論を批判的に問い直す指向性も有しています。
この講義では、セクシュアリティという研究対象や領域を学ぶにあたり、必要とされる基本的な概念やその枠組みを概説していきます。そこには、セックス/ジェンダー/セクシュアリティのとらえ方、異性愛と同性愛、トランスジェンダーや性同一性障害というカテゴリー、ホモフォビアやヘテロセクシズムという構造やイデオロギー、カミングアウトの実践やクローゼット、ホモソーシャリティという概念などが含まれます。ここでは、概念を説明する際の事例として、できる限り日本で生起したケースを取り上げ、受講生のみなさんに、これまで学問として考える機会があまりなかったであろう諸問題について、身近に考えてもらうようにします。
また、後半部分では、日本社会で起きた、あるいは進行中のセクシュアリティをめぐる諸問題について取り上げます。同性愛者差別事件をめぐる裁判事例、近年テレビなどを通じて可視化されるようになったオネエタレント、クィア映画、同性婚の事例やクィア家族の諸問題、クィアの労働問題などに触れながら、実際に現代日本の社会において生じている現実や諸問題をクィア的な視点から論じていきます。
学習の到達目標 基本的なセクシュアリティをめぐる概念について理解し、新たな見方ができるようになることですが、さらに個人の研究や将来の人生や仕事のなかで、ここで得た考え方を活用できるようにすることでもあります。
授業計画 第1回 セクシュアリティを捉える視点
第2回 セクシュアリティとジェンダー役割
第3回 性別の越境
第4回 性的指向をめぐる問題
第5回 恋愛と親密性
第6回 パートナーシップと生の多様性
第7回 性と暴力
第8回 第1回目から第7回目までのまとめと小テスト
第9回 性の商品化
第10回 エイズという問題―その歴史と現在
第11回 性的マイノリティが経験する生きづらさ
第12回 セクシュアリティをめぐる権利獲得の歴史
第13回 クィア・スタディーズの視角
第14回 セクシュアリティをめぐる法の言葉
第15回 第9回から第14回までのまとめと小テスト
授業外学習の課題 講義のなかで読むことを求められた文献は必ず事前に読んで理解するようにしてください。また、授業に関連した小レポートなどを課すことがありますので、準備を怠らないようにしてください。
履修上の注意事項 後期科目のクィア・スタディーズの講義をセットで履修することが望ましい。また、この授業では講義科目にあるように「性」をテーマとして扱います。「性」に関して考察することに抵抗感のある方には履修をお勧めできません。
資料等はMoodleのコース上で配布しますので、授業に際しては前もってダウンロードしてきてください。

【授業は対面で行う予定ですが、コロナ感染状況によっては授業形態が変更になる可能性があります】
成績評価の方法・基準 授業中の小試験(70%)および課題レポート(30%)により総合的に評価する。
テキスト 風間孝・河口和也 2010 『同性愛と異性愛』 岩波書店
風間孝・河口和也・守如子・赤枝香奈子 2018 『教養のためのセクシュアリティ・スタディーズ』法律文化社
参考文献 授業中に適宜指示します。
主な関連科目 クィア・スタディーズ
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
授業中あるいは授業後に質問を受け付けます。また、オフィスアワーには研究室に質問・相談にきていただいてもかまいません。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
人文学部人間関係学科社会学専攻(社会学専門科目) FHHS23230 2017~2022 2・3・4