授業コード 00036900 クラス
科目名 総合教養講義b(メディア論) 単位数 2
担当者 船津 靖 履修期 前期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 ニュースの現場と論点 Scenes and Arguments in the News
授業の概要  授業は、前回の授業や資料に関する質問に答えることから始めます。次いで内外の最新ニュースらについて触れます。その後、シラバスの授業計画に沿った講義に移ります。大ニュースが飛び込んできたら授業計画を変更します。別の回のテーマにふさわしいニュースが起きた場合も同様です。教員の取材現場での経験を時間の許す範囲でお伝えします。ロシアに侵略されたウクライナやクーデターから1年のミャンマーにも、かつて複数回出張し、両国内を各千キロ以上走破し取材しました。
 対象とするニュースは新聞記事や報道番組など主要メディアの政治外交・国際・経済・事件事故・科学などが中心です。エンタメ・スポーツは原則として対象外。昨年度までは日本に関する日本メディアの報道を中心としていましたが、今年度から内外の枠を取り払います。国際コミュニティ学部以外の学生の海外への知識欲に応えるためです。国際ニュースに関する米英はじめ海外メディアの報道も取り上げます。アメリカには随時触れます。戦後日本のジャーナリズムの論点は日米関係をめぐって展開してきたからです。
 報道の歴史をたどりながら、事実確認の重要性、言論の自由や公権力の監視などジャーナリズムの役割、その実態、失敗、課題を考察します。個人の思考が国際政治の構造や国内の党派などにどれほど大きく影響されるものなのか、自分の経験や反省も込めてお伝えします。広島の大学であることを意識し、戦争・紛争、核兵器をめぐる諸問題を重視します。
 文章の読み方、書き方などの技術を扱います。報道は組織と人間関係の中で行う実務です。教員は職業柄、さまざまな職業の人々と会い、数百人の学生と面接してきました。就活や実社会で参考になりそうな注意点や工夫もお話しします。
 資料の中に若干の英文が含まれることがあります。大多数の学生は英文も読むことに熱心です。英語の予習は不要です。
 【実務経験】
 共同通信社の地方3支局で警察、裁判所、県庁、知事選・国政選挙などを取材後、外信部、モスクワ、エルサレム、ロンドン特派員、ニューヨーク支局長。東京本社で国際経済担当デスクや科学・文化・運動を含む重要ニュース全般の速報・編集管理や企画・論説を手掛けた。
学習の到達目標 新聞記事(電子版を含む)の要点や意義を素早くつかめるようになる。個人の尊厳、言論の自由、事実の確認、公権力監視、多角的・複眼的な分析の大切さが理解できるようになる。多数の情報から信頼できる優先度の高い情報を選び出せるようになる。フェイクニュースに騙されないようになる。自分自身も含め人間がその時代の思想の制約を受けていることを理解できるようになる。権力関係や利害関係を客観的に観察できるようになる。組織や団体の建て前と本音、看板と実態の違いがわかるよになる。実務におけるスピード、正確性、確認作業とチームワークの大切さが理解できるようになる。
授業計画 第1回 日本と世界の主要メディア
第2回 2022年春までの内外重大ニュース、記事の構成、論点
第3回 「保守」「リベラル」と対米関係
第4回 事実の確認、お詫びと訂正、慰安婦報道
第5回 ジャーナリズムの理念、報道の自由、客観性と党派性
第6回 戦前・戦中の報道、全体主義国家の報道
第7回 原爆報道・検閲、核兵器開発とスパイ
第8回 占領下の憲法制定、象徴天皇制と9条2項
第9回 戦後の反安保、左翼学生運動
第10回 先進7カ国(G7)首脳会議
第11回 沖縄戦・地上戦、沖縄返還交渉
第12回 表現の自由と反ユダヤ主義
第13回 参議院選挙報道
第14回 立花隆と田中角栄、ロッキード事件
第15回 心情倫理と責任倫理(ウェーバー)/冷静な頭脳と温かい心(ケインズ)
授業外学習の課題  共通の情報インフラとしてNHKのニュース防災アプリhttps://www3.nhk.or.jp/news/(無料)に目を通して授業に臨むこと。日本経済新聞(電子版を含む)など全国紙や中国新聞、民放の報道番組などに接すること。速読すれば15分でも主要記事をかなり読める。
 授業でレジュメや資料をすべて解説することはできない。次週までに自分で読み通すこと。授業や資料の感想や質問などをMoodleで課題として出すことがある。
履修上の注意事項  教室での対面授業を実施する。感染防止に注意する。ノートを準備し講義の内容をメモする。メモは勉強でも実務でも基本。書店に行けばメモの取り方に関する本が山ほどある。
 欠席や遅刻の多い学生は歓迎しない。私語は迷惑。社会や世界の複雑さを面白いと感じる向学心のある学生の受講を歓迎する。

 教員の別の授業「国際ジャーナリズム論」は英米メディアの現在の国際報道を主な対象とする点で異なる。社会学的なメディア論や国際政治のリアリズム理論、日米関係など一部重なる部分はある。基礎的な重要事項が多少重複するのは自然だ。一例を挙げれば、マクロ経済学や財政学の勉強にミクロ経済学は出てくるし、刑法や訴訟法の勉強には憲法の知識が必要だ。
 前期と後期で扱うニュースが異なること、学生のさまざまな質問に答えながら授業を進めることなどで、努めて差異化する。
成績評価の方法・基準 受講状況30%、期末試験70% 課題の提出状況や内容、授業への貢献も対象。試験が実施できない場合はレポートに変更する。その場合、配点の割合を変更する可能性がある。速やかに連絡する。期末試験の受験やレポート提出は原則として10回以上の出席が条件だが、個別の事情には柔軟に配慮する。
テキスト 裏表2頁(40字×30行4頁)程度のレジュメを配布し、参考記事、資料を含めMoodleに掲載する。
『2022年版 世界地図』(成美堂出版、本体¥1600)、古い版や多少の不便を我慢すれば高校時代の地図帳でもよい、財布と相談。
参考文献  船津靖著『パレスチナ 聖地の紛争』(中公新書、2011年)=現在は電子版=。
 アレクシエービッチ『戦争は女の顔をしていない』、佐々木隆著『メディアと権力』、前坂俊之『太平洋戦争と新聞』、加藤典洋著『9条入門』、竹内洋『革新幻想の戦後史』(上下)、池上彰・佐藤優『激動 日本左翼史』など。随時紹介する。
主な関連科目  国際ジャーナリズム論、政治と社会(アメリカ) 政治と社会(中東)
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
 質問は授業中も歓迎。評価する。授業後も時間の余裕がある限り対応する。重要な質問には次の授業で触れる。Moodleやメール(funatsu@shudo-u.ac.jp)による事務的確認や相談にもできるだけ対応する。
 学期中の課題の評価は授業中またはMoodleやメールで(可能な履修者数であれば)個別にも対応する。期末試験やレポートについてはMoodle上に正解や講評を掲載する。レポートの場合は、学生から求めがあれば個別に批評を伝える。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
商学部商学科(教養科目) 2011~2016 2・3・4
商学部商学科(教養科目) WGEL23201 2017~2022 2・3・4
商学部経営学科(教養科目) 2011~2016 2・3・4
商学部経営学科(教養科目) WGEL23201 2017~2022 2・3・4
経済科学部現代経済学科(教養科目) 2011~2016 2・3・4
経済科学部現代経済学科(教養科目) WGEL23201 2017~2022 2・3・4
経済科学部経済情報学科(教養科目) 2011~2016 2・3・4
経済科学部経済情報学科(教養科目) WGEL23201 2017~2022 2・3・4
人文学部人間関係学科心理学専攻(教養科目) 2011~2016 2・3・4
人文学部人間関係学科社会学専攻(教養科目) 2011~2016 2・3・4
人文学部人間関係学科社会学専攻(教養科目) WGEL23201 2017~2022 2・3・4
人文学部人間関係学科教育学専攻(教養科目) 2011~2015 2・3・4
人文学部教育学科(教養科目) 2016~2016 2・3・4
人文学部教育学科(教養科目) WGEL23201 2017~2022 2・3・4
人文学部英語英文学科(教養科目) 2011~2016 2・3・4
人文学部英語英文学科(教養科目) WGEL23201 2017~2022 2・3・4
法学部法律学科(教養科目) 2011~2016 2・3・4
法学部法律学科(教養科目) WGEL23201 2017~2022 2・3・4
法学部国際政治学科(教養科目) 2011~2016 2・3・4
法学部国際政治学科(教養科目) WGEL23201 2017~2017 2・3・4
人間環境学部人間環境学科(教養科目) 2011~2016 2・3・4
人間環境学部人間環境学科(教養科目) WGEL23201 2017~2022 2・3・4
健康科学部心理学科(教養科目) WGEL23201 2017~2022 2・3・4
健康科学部健康栄養学科(教養科目) WGEL23201 2017~2022 2・3・4
国際コミュニティ学部国際政治学科(教養科目) WGEL23201 2018~2022 2・3・4
国際コミュニティ学部地域行政学科(教養科目) WGEL23201 2018~2022 2・3・4