授業コード 84000500 クラス
科目名 社会的養護論 単位数 2
担当者 福岡 律子 履修期 後期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 社会的養護論 Social care
授業の概要  社会的養護とは、保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童(要保護児童)を、公的責任で社会的に養育し保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことである。 社会的養護は、「子どもの最善の利益のために」と「社会全体で子どもを育む」を理念として行われている。
 本授業では,社会的養護に関する諸制度や関連施設、支援内容、支援者に求められる役割などの基本的知識を学ぶとともに、社会的養護を利用する子どもやその保護者の支援について、個別の援助実践事例を元に、実践の基盤となる支援論や支援に役立つ技法やスキルを具体的に学ぶ。授業の中ではグループ演習を多く取り入れ、様々な状況にある子どもや家族に対して、多様な見方や発想で考えられる力を養う。
【実務経験内容】NPO等において子どもや家族の相談支援活動、ソーシャルスキルトレーニングの計画・実践に携わっている。
学習の到達目標 本講義を受講することにより、学生は次のことが身に付く。
1.現代社会における社会的養護の意義と、子どもの人権擁護を踏まえた社会的養護の基本を理解することができる。
2.社会的養護に関する諸制度、対象や関係する専門職について理解できる。
3.社会的養護の実践者としての役割を理解し、「子どもの最善の利益」を考慮した養護実践を考えることができる。
4.対人支援の基礎理論を知り、効果的な支援を行う上で必要な視点や援助的なコミュニケーションスキルを身につけることができる。
授業計画 第1回 ガイダンス
 社会的養護の概要や、現代社会における社会的養護の意義を解説した上で、授業の流れや進め方について説明する。
第2回 施設実習の振り返りとディスカッション
 自らの施設実習体験を振り返り、学びや得たもの、疑問点などを整理し発表する。発表内容を元にディスカッションを行うことで、周囲と体験を共有し実習での学びを深めるとともに、今後の授業に際して自分は何を学び、知りたいと思うかを整理する。
第3回 社会的養護における予防的支援(1)対人支援の基礎理論の理解
 ソーシャルワークにおける支援論の枠組について解説する。要支援段階の親子に対する相談支援の事例を元に、社会的養護における親子関係の調整を目的とした支援のポイントについて解説した上で、事例を支援論の枠組に沿って分析し、ケース理解に繋げる練習を行う。今回は、事例の概要から感じたことを自由に出し合い、支援開始段階における見立てについて、グループディスカッションを行う。
第4回 社会的養護における予防的支援(2)事例分析
 第3回で考察した事例を取り上げ、相談支援の場面での具体的展開について確認しながら、対人支援専門職に必要となる姿勢や視点、支援に活用できるスキルを解説する。
第5回 施設養護における日常生活場面での支援の実際
 施設の日常生活場面での子どもへの関わり・支援について、施設実習での気づきや疑問点を出し合いながら、児童養護施設等での実践事例を元に望ましい支援について検討する。また、次回の授業で取り上げる社会的養護に関する各施設について、グループごとに調べて発表するための事前準備を行う。
第6回 施設養護(1)乳児院、児童養護施設、母子生活支援施設
 各施設の特徴や違いについて理解を深めるために、グループで調べ学習を行う。調べた内容を整理しグループごとに発表する。発表内容に関する質疑応答を行うことで、知識や理解をより深めていく。
第7回 施設養護(2)児童自立支援施設、児童心理治療施設、自立援助ホーム
 各施設の特徴や違いについて理解を深めるために、グループで調べ学習を行う。調べた内容を整理しグループごとに発表する。発表内容に関する質疑応答を行うことで、知識や理解をより深めていく。
第8回 施設養護(3)発表のまとめ
 第6~7回に行った発表の振り返りを行い、知り得た情報を整理し、疑問点や気づきをまとめる。
第9回 施設養護(4)事例演習(グループ演習)
 施設養護における個別援助の実践事例を元に、事例の見立て、介入(支援)方法の検討を行う。
第10回 家庭養護(1)基本的知識の理解
 里親制度、ファミリーホーム、養子縁組制度について、それぞれの実情や特徴について解説する。次回のグループ演習に備えて、里親制度、養子縁組制度について、気になることやもっと知りたいと思うことを整理する。
第11回 家庭養護(2)グループ演習
 里親制度と養子縁組制度について、グループごとに気になったことや疑問に感じたことなどを自分たちで調べて発表し、2つの制度の特徴について理解を深める。
第12回 家庭養護(3)グループディスカッション
 前回の発表の振り返りとまとめを行い、気づきを整理する。家庭養護について、さらに考察するテーマを設定し、ディスカッションを行うことで、理解をより深める。
第13回 ファミリー・ソーシャルワークの実際(1)グループディスカッション
 親子関係再構築支援の事例を元に、ファミリー・ソーシャルワークの実際を学ぶ。今回は事例の資料を読みこみ、グループごとに気づきや疑問点を出し合う。
第14回 ファミリー・ソーシャルワークの実際(2)ロールプレイ
 前回の事例について、支援がどう展開されているかを確認し、ファミリー・ソーシャルワーカーが行った介入のポイントを考察する。事例で用いられている介入技法、援助的コミュニケーションについて確認し、グループごとにロールプレイを行うことで、用いる練習をする。
第15回 授業のまとめ
 これまでの授業のまとめを行い、ポイントを振り返る。最後に、現代社会における社会的養護の課題や展望について解説する。また、定期試験について準備しておいてほしい事柄を伝える。
授業外学習の課題  事前学習として、日本の社会的養護のしくみや施設養護、家庭養護について自分なりに調べ、予習しておくこと。事後学習として、授業で学んだ内容についてノートなどに整理し、読み返しておくこと。
履修上の注意事項  授業は対面で実施する。グループワークに積極的に取り組むこと。また、普段から子どもや家族に関して関心を持ち、本やニュース、新聞記事、ドラマや映画などに意識して接し、広い視野から情報を取り入れておくこと。
成績評価の方法・基準 リアクション・ペーパー(20%)、グループワーク、グループ学習・発表の評価(30%)、期末試験(50%)
テキスト 使用しない。毎回のテーマに沿ったプリントを配布する。
参考文献 1.『児童の福祉を支える社会的養護Ⅰ』吉田眞理編著、萌文書林 2.『子どもの未来を支える社会的養護』小野澤昇・大塚良一・田中利則編著、ミネルヴァ書房 3.『保育実践に求められるソーシャルワーク』橋本好市他編著、ミネルヴァ書房 4.『ファミリー・ソーシャルワークの理論と技法』大下由美・小川全夫・加茂陽編、九州大学出版会 5.厚生労働省ホームページ「社会的養護」 ※他は授業内で提示する。
主な関連科目
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
授業終了後に質問に応じる。リアクション・ペーパーに書かれた質問には、次回授業の冒頭に回答する。グループ学習・発表のフィードバックとして、次回授業の冒頭に発表内容をまとめた資料を配布する。試験のフィードバックについては、解答のポイントをオンラインで配信する。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
人文学部教育学科(資格関連科目) 2016~2019 3・4