授業コード 31009000 クラス
科目名 国際法 単位数 4
担当者 柳生 一成 履修期 後期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 国際法 Public International Law
授業の概要 国際法は、主として国家・国際組織間の関係を規律する法と言われますが、現在は個人の生活にも密接に関係します。また規律する領域も、外交関係、海洋、環境、人権、宇宙、国際経済、および武力紛争など多様です。
本授業はスライドを用いた講義形式を中心として、授業前半は、海洋や環境など重要な領域に関する基本的な制度および理論を概観するとともに、それらの領域に共通する基礎的な概念や理論などを総論として学びます。つまり、総論的なテーマとして、国際法の存在形式(法源)、条約の成立・解釈、国家責任などを理解します。
後半は、前半で学んだ知識を確認・応用しながら、国際環境法をさらに詳しく学びつつ現在の国際社会が抱える問題を国際法の観点から検討します。
学習の到達目標 この授業を履修することによって、
①国際社会における国家・国際組織などの活動や関係を規律する法の全体像を把握し、その理念や特徴を理解できるようになる、
②現代の国際社会における時事的な問題の背景にある国際法の概念や制度を的確に説明できるようになる、
③現在、国際社会が抱える問題を法的視点から分析し、自らの見解を形成できるようになることが目標です。
ことが目標です。
授業計画 第1回 ガイダンス(第1章1)
授業の進め方、成績評価、予習・復習の方法などを説明します。その後、国際法の主体に関する序論的説明などを見つつ、国際法を勉強する意義を考えます。
※カッコ内の章・節は授業で扱うテキストの該当範囲です。
第2回 国際法の主体(第1章2~4)
国際法によって権利を持つ、または義務を負う者(主体)は誰かを見ていきます。国際社会において国際機構やNGOが活躍する現在においても、主な国際法の主体は国家です。よって、国家と認められるにはどのような条件が必要かなど、国家に関する国際法のルールも見ます。
第3回 国家の主権(第2章)
国家は主権を持つと言われますが、主権とは何か、そこから導かれる国際法のルールとはどういうものかを見ていきます。主権免除や外交特権もここで学びます。
第4回 国際法の存在形式(第3章)
国際法はどのような形で存在するのかを見ていきます。そのような国際法の主な法源は条約と慣習国際法です。条約に関するルールや国際慣習法の成立の仕方などについて見ていきます。
第5回 国際法の国内的実施(第4章)
国際法は国家間の関係を規律する法と言われますが、各国の国内でも重要な役割を果たします。そこで生じる国際法と国内法の関係などを学びます。
第6回 国際法の国際的実施(第5章)
国家もときに国際法に違反します。その時に国家にはどのような責任が生じるのか、また国家が条約を履行するのを確保するための手段として国際コントロールを見ます。国際裁判など、国家間で紛争が生じた場合の解決の手段も見ます。
第7回 領域(第6章)
国家が領土などの領域を取得できる場合や、その領域に関し国家が持つ権利などを見ます。さらに、領域について国家間で紛争が生じた場合の解決に用いられるルール、日本が抱える領土問題も見ます。
第8回 海洋①(第7章1~2)
海に関する国際法として重要な国連海洋法条約の内容を、領海、排他的経済水域、公海などの海域別に見ていきます。
第9回 海洋②、南極、空、宇宙(第7章3~5)
海洋境界の確定および海洋紛争の解決について学んだ後、領空や防空識別圏など空に関するルール、どの国にも属さない南極や宇宙に関するルールを見ます。
第10回 人権(第8章)・小テスト
現代の国際法において人権の保障はとくに重要となっています。国際法による人権保障の歴史的発展、人権に関する主要な条約、国家による人権保障を確保する国際的な制度などを見ます。
第11回 刑事(第9章)
国家間における犯罪人の引渡しから、ジェノサイド(集団殺害)罪などを犯した個人を処罰する国際的な裁判所まで、犯罪に関する色々なレベルの国際法のルールを見ます。
第12回 環境(第10章)
国境を越えて生じる環境への損害と地球全体の環境に与える損害それぞれに対して、国際法は防止のためのルールを発展させてきています。それらの基本的な原則を確認し、ルールを国家が遵守するよう確保する制度を見ます。
第13回 経済(第11章)
貿易や投資に関するルールを見ます。貿易に関しては、世界貿易機関(WTO)を協定を中心に、最近多く締結されている自由貿易協定や経済連携協定の概要を見ます。投資については、多くの投資協定に共通する条項および紛争が生じた場合の解決、とくに仲裁に関して概観します。
第14回 武力の規制①(第12章1~2)
核兵器その他の大量破壊兵器の規制、武力不行使原則とそれを確保するための国連の集団安全保障制度、武力不行使原則の例外としての自衛権などを見ます。
第15回 武力の規制②(第12章3~4)・総括
集団安全保障の機能不全を補う形で発展したPKO、現実には数多く発生している武力紛争中におけるルール(国際人道法)などを見ます。また、前半の授業において学んだ重要な事項を振り返ります。
第16回 ガイダンス
授業後半の進め方、予習・復習の仕方、成績評価方法、および関連科目との関係(「国際法」(2単位)。「国際法の現代的諸問題」)を説明します。
第17回 国際環境法の形成と展開
第18回 持続可能な発展
第19回 予防原則・予防的アプローチ
第20回 国際環境法における手続的義務
第21回 国際環境法における履行確保(国家報告制度、不遵守手続など)
第22回 日本における国際環境条約の実施
第23回 気候変動(地球温暖化)
第24回 オゾン層保護
第25回 海洋汚染
第26回 海洋生物資源の保存
第27回 生物多様性・稀少野生動植物種
第28回 有害廃棄物の越境移動
第29回 貿易・宇宙
第30回 EU環境法・総括
授業で学んだ重要事項に触れつつ、総括を行います。質問などに対応した補足説明なども行います。
授業外学習の課題 ・復習を中心に行って下さい。重要な用語や制度を自らの言葉で説明できるようにしておいて下さい。
・予習については、テキストの該当箇所や指定された補助資料を読み、重要と思う点や分からない部分を明らかにしておいて下さい。
・授業外の学修は120時間行って下さい。
履修上の注意事項 ・補講など授業に関する質問は授業で行ってください。授業に出席せずに、教学センターなどに問い合わせるなどの行動は厳に慎んで下さい。
・遅刻、私語、および途中退室などは行わない、熱意のある学生のみなさんの受講をお待ちしています。
・法律学の学習は語学の学習に例えられることがあります。語学において単語の暗記なしには文章が読めないように、法律(国際法)の学習においても、基本的な概念・用語は暗記しなくてはなりません。そのような努力を前提として授業は行われます。
※履修者数に応じて、グループ・ディスカッションなどアクティブ・ラーニングの授業形式を部分的に導入する可能性があります。
成績評価の方法・基準 授業への参加度(30%)、試験(小テスト含む)(50%)、レポート(20%)を基礎として総合的に評価します。
テキスト 前半:玉田大ほか『国際法』有斐閣、2017(ISBN:978-4-641-15045-4)、¥1,800+税
後半:西井正広・鶴田順編『国際環境法講義』有信堂、2020年
※テキストとは別に国際条約集(出版社を問わない)を授業に持参して下さい(初回授業で説明しますので、それを待って購入して下さい)。
※必要に応じて、補助資料を配布します。
参考文献 杉原高嶺・酒井啓亘編『国際法基本判例 50』(第2版、三省堂、2014)、渡部茂己・喜多義人編『国際法』(第3版、弘文堂、2018)など授業内において適宜紹介します。
主な関連科目 国際人権論
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
・オフィスアワーまたは授業終了時に質問を受けます。それ以外の時間に質問を希望する学生は、日程調整のため、授業後に声をかけるか、または事前にメールして下さい。気軽に質問して下さい。
・試験の講評に関しては、Moodleなどを使用して講評を配布します。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
人文学部教育学科(教職専門科目群) 2016~2016 2・3・4
人文学部教育学科(教職専門科目群) FHED24313 2017~2017 2・3・4
人文学部教育学科(教職専門科目群) 2018~2021 2・3・4
法学部法律学科(国際関係法) 2013~2016 2・3・4
法学部法律学科(国際関係法) FLLA20701 2017~2017 2・3・4
法学部国際政治学科(C群) 2014~2016 2・3・4
法学部国際政治学科(C群) FLIP20305 2017~2017 2・3・4
人間環境学部人間環境学科(関連科目) 2011~2016 3・4
人間環境学部人間環境学科(関連科目) FHES38102 2017~2017 3・4
健康科学部心理学科(心理学) FHPS42007 2017~2017 2・3・4