授業コード 70011400 クラス
科目名 地域の環境法 単位数 2
担当者 山田 健吾 履修期 後期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 地域から考える環境法 Introduction to Environmental Law - Environmental protection of the Seto Inland Sea
授業の概要 対面型授業を行います。
ただし、講義室では授業資料を配布しません。
moodleにアップしますので、各自プリン等アウトをするか、パソコン、タブレットを持ち込んで資料を参照してください。

1 授業の概要
(1)現代法としての環境行政領域法においては、国の法令を所与とするのではなく、住民の権利利益を実現擁護するための施策を、住民自らの創意工夫によって、積極的に提示することが求められている。これに応じて、法曹も、公害・環境をめぐる紛争解決に携わるだけではなく、住民や地方自治体の施策を支援できる知識と能力をもつことが求められるようになってきているといってよい。そこで、本講義では、上記の知識・能力を身につけるための内容として構成される。
(2)具体的には、環境基本法や循環型社会形成推進基本法において、国、地方自治体、事業者、国民住民がどのような役割を分担することが求められているのか、現行法において国や地方自治体がいかなる事務を担うことが求められているのか、を概観することを通じて、環境行政領域において役割分担を説明する。
(3)この役割分担を踏まえつつ、環境保全のための法的手段の機能を明らかにした上で、かかる役割分担に即した法的手段と手続のあり方と内容を説明する。
(4)地方自治体が、地域環境保全のために、その創意工夫によって独自の仕組みを実施していることから、その中で注目しうるものについて紹介し、その意義と問題点を説明する。その際、1970年代までの環境問題の特徴と今日的な環境問題のそれとの違いや行政過程の実態を紹介し、これらを前提として、法原理をいかに再構築すべきかに留意しつつ説明を加える。

2 授業の目標
(1) 環境管理に関する「法」をめぐる解釈論を行う能力を身に付けることができること。
(2) このためには、行政過程の実態を把握する能力を身につけることも必要であるから、基礎法、政治学、行政学などの等の知見も取り入れつつ、実態の把握のための分析能力の知識と能力を身につけることができるようになる。
学習の到達目標 (1)環境法というものの考え方を身に付ける。
(2)環境法についての理解を前提として、環境を保全するための具体的な政策提案をすることができるようになる。
授業計画 第1回 環境法の生成展開
 環境法は環境基本法を頂点とした法体系の総称である。既存の法分野では行政法、民法、国際法などが関連するが、環境法は独自の法領域として形成・確立するに至った。独自の法領域としての環境法の史的展開と特色、対象法領域、主体について講義する。
第2回 環境法原則・環境法体系
 環境基本法で規定された「健全で恵み豊かな環境の恵沢の享受と継承」、「環境負荷の低減と持続可能な発展」、「国際協力推進」といった基本理念の内容・法的位置付けについて講義する。
 環境法における環境権の議論の変遷について講義する。私権としての環境権、憲法学説における環境権、立法・行政過程への参加権としての環境権について講義する。また、訴訟において、環境権がどのように扱われてきたかについても講義する。環境法が独自の法領域と確立するにつれ、環境法独自の諸原則も確立するようになった。汚染者負担原則の内容と変容、拡大生産者責任、科学的不確実性と予防原則の提唱について、実定法での制度化状況・限界・変容について講義する。
第3回 環境影響評価
 環境影響評価法の法的枠組みおよびその法的性質・機能について確認する。地域環境保全にとって意味のある自治体環境影響評価制度の在り方やそれが現実に有する機能について考察する。そして、それらの先進的な取り組みについて紹介し、検討を加える。
第4回 公害対策1 国と地方自治体における公害環境対策の現状の問題点について検討を加え、先進的な取り組みを紹介する。具体的な素材としては、典型7公害に対する法的規制を取り扱う。かかる法的規制の性質・機能、具体的には、権力的手段、非権力的手段、その他の手段のそれぞれの機能と特質を検討し、これらの法的手段をどのように組み合せれば、より効率的かつ効果的に環境保全を実現できるかについて、具体的な事案を通して検討する。
非規制的手法には、市場メカニズムを利用した経済的手法、各主体の間で合意文書を締結する協定的手法などがある。ここでは経済的手法を取り上げ、その仕組み、規制的手法との相互補完関係、実効性などについても説明する。
 公害対策1では大気汚染防止の仕組みを概説する。
第5回 公害対策2(続き)
 水質汚濁防止の仕組みを概説する。
第6回 公害対策3(続き)
 騒音規制・土壌汚染対策の仕組みを概説する。
第7回 環境リスク管理
第8回 生物多様性基本法と国際環境法
第9回 生態系の保全の仕組み
第10回 気候変動対策と国際環境法
第11回 原子力規制の仕組み
第12回 循環型社会の形成のための仕組み1- 廃棄物処理法制
第13回 循環型社会の形成のための仕組み2 - リサイクル法制
第14回 景観保全の仕組み
第15回 住民参加と環境法
授業外学習の課題  授業において紹介した参考資料を読むことはもちろん、新聞などのメディアで「環境」について語られることがあれば、是非、関心を持ってみてください。
履修上の注意事項 (1)法律についての知識は必要ありません。授業を聞いてもらえれば、自然と身につきます。
(2)授業は配布資料に沿ってすすめていきます。
(3)対面授業を実施します。今後、対面授業の実施が困難となる場合には、資料提示型授業またはzoomを使った同時双方講義を実施する予定です。この点については第1回目の講義で説明します。
成績評価の方法・基準 期末レポート100%
テキスト 特に指定しません。
参考文献 授業において、その都度、読んでおいたほうが良い文献を紹介します。
主な関連科目
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
(1)当日出席した講義について質問があれば、講義終了時にすぐに質問をしてください。あとで質問しようとしても、忘れることが多々あります。
(2)本講義以外のこと、例えば、公務員試験の勉強の仕方、資格試験の勉強の仕方、司法試験受験に向けての勉教についても質問してください。
(3)期末レポートのフィードバックについて。成績発表時に掲示します。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
国際コミュニティ学部地域行政学科(法律領域) FGRA30601 2018~2020 3・4