授業コード 70004900 クラス
科目名 政治と社会(中東) 単位数 2
担当者 船津 靖 履修期 後期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 聖地エルサレムと中東紛争 Holy Jerusalem and the Mideast Conflict
授業の概要  エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地で、中東紛争の焦点です。古代まで歴史をさかのぼり、エルサレムを軸に複雑な中東の政治と社会を考察します。湾岸戦争やイラク戦争などアメリカの中東政策も扱います。教材や課題に英語を含みます。パレスチナ難民キャンプの中・高校生でも英語を読み、話しています。
 アメリカ大使館のエルサレム移転がなぜ国際的な大ニュースになるのでしょうか? イラクやイランの核開発は国連安保理が制裁するのに、なぜイスラエルの核兵器保有は黙認されるのでしょうか? アメリカの大統領選挙を左右するキリスト教福音派はなぜイスラエル右派を支持するのでしょう? 中東へのエネルギー依存度が高い日本はアメリカと産油国イランの対立の中で、どうかじ取りしていけばよいのでしょう?
 中東は広大で、言語も民族もさまざまです。全体を概説しても理解を深めるのは難しいでしょう。教員が特派員として計4年近く生活したエルサレムでの和平交渉や自爆テロ、バクダッドやベイルートなど他の紛争地での取材経験を軸に、中東の政治、宗教、社会、そして対米関係を見ていきます。
 中東は「王様」や軍司令官、宗教指導者が動かす世界です。テロや暗殺は日常茶飯事、スパイが暗躍し、特殊部隊が突入し、奇襲攻撃で戦争が始まります。映画のようですが、それが現実です。軍事と宗教は、現代日本人が国際関係を見る場合、一般に最も理解が困難な分野です。軍事と宗教が渦巻き、国際規範が軽視される中東の実情を知ることは、中東を重視する同盟国アメリカとの関係や東アジアの国際紛争の現実を考える際にも役に立つでしょう。
【実務経験】1994~97年共同通信社のエルサレム支局長としてイスラエルによるパレスチナ占領、イスラム過激派の自爆テロ、ラビン首相暗殺事件、米大統領仲介の中東和平交渉などを取材。2000~04年、ロンドン特派員としてバグダッド、ベイルート、エルサレムなどへ計半年ほど出張取材。帰国後は外信部中東部会長として中東地域全体の特派員の指揮、出稿を統括。
学習の到達目標  中東の地理、対立の構図、歴史的背景などの基礎知識を身に着けられるようになる。
 軍事や宗教の国際関係における大きな役割が理解できるようになる。
 アメリカとイスラエルをはじめとする複雑な国際関係を理解する出発点に立てるようになる。
 日本にとって意外に身近で重要な地域であることが理解できるようになる。
授業計画 第1回 中東NOW
第2回 現在のエルサレム~占領・繁栄・分断
第3回 古代のエルサレム~バビロン捕囚、聖書、イエス、対ローマ戦争、ヘロデ王の神殿崩壊
第4回 十字軍~バチカン、テンプル騎士団、サラディン
第5回 政治的シオニズムとホロコースト
第6回 1948年独立戦争(第一次中東戦争)~国連決議、パレスチナ難民
第7回 1967年六日戦争(第三次中東戦争)~西岸・ガザ・ゴラン高原・シナイ半島占領、東エルサレム併合、核兵器保有、宗教右派
第8回 1972年日本赤軍乱射事件/ミュンヘン五輪村襲撃事件
第9回 1973年ヨムキプール戦争(第四次中東戦争)と石油ショック
第10回 1979年エジプト・イスラエル平和条約/イラン・イスラム革命~エルサレム首都化、イラク原子炉空爆
第11回 1991年ペルシャ湾岸戦争~日本外交、中東和平交渉
第12回 1995年ラビン首相暗殺事件~オスロ合意、自爆テロ
第13回 2001年9.11同時テロと対テロ戦争~アルカイダ、ビンラディン、アフガン侵攻
第14回 2003年イラン戦争と大量破壊兵器~イラン、シリア核開発、イスラム国
第15回 2020年中東・アメリカ・日本
授業外学習の課題  中東関連のニュース記事、番組などに接してください。 授業のレジュメや参考記事などをMoodleに掲載します。受講前に目を通して下さい。宿題を出すことがあります。過大にならないよう留意します。
履修上の注意事項 【対面授業】無【非対面授業】有 Zoom利用の同時双方向型(課題探求型等を含む可能性あり)
 中東は複雑だが面白い、と楽しめる向学心のある学生の受講を歓迎します。
 期末論述はもとより、授業中の作業や宿題などで英語でできるものは英語でもかまいません。
 授業中の質問は大歓迎です。記憶に残りやすい「エピソード記憶」として他の学生の学習にも貢献します。質問の際はカメラオンでお願いします。
 授業中にカメラをオンにしてくれると皆さんの反応がわかり講義しやすいです。ずっとオンだと疲れるかもしれませんが、ずっとオフだとsense of participationが得られず、疎外感が残ります。オフにするときは本名を表示し、できるだけプロフィール写真を表示してください。少なくとも1度はオンにすることを推奨します。「生存(出席)確認タイム」と称し、必ずしも顔を見せなくてよい条件で、ごく短時間、カメラオンを全員にお願いすることも考えています。このあたりは私も試行錯誤です。皆さんと相談しながら、個人的な事情にも配慮します。
成績評価の方法・基準 【期末試験】無
 宿題、質疑、作業など授業への取り組み(50%)、期末課題論述(50%、700~800字程度)。原則として10回以上出席することが評価対象とする条件です。特別の事情があれば考慮します。相談してください。方法・基準を変更する場合は速やかに通知します。
テキスト  Moodleにレジュメ、参考資料、記事などを随時入力します。
参考文献  船津靖著『パレスチナ 聖地の紛争』(2011年、中公新書)。船津靖「聖地エルサレムの地位と神殿の丘/聖域」「イスラエル右派ベギン首相の核ドクトリンと米福音派レーガン大統領のシオニズム」「イスラエルによりシリア北朝鮮製原子炉空爆と報道管制」「イスラエルの核不透明政策とケネディ~ニクソン政権」(以上『修道法学』(広島修道大学学術リポジトリ所収)など。
 随時、紹介します。
主な関連科目  政治と社会(アメリカ)、国際ジャーナリズム論
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
 授業中の質問を高く評価します。チャットにもできるだけ応答します。Zoom授業終了後しばらく残って質問や相談に応じます。Moodleに質問できる項目をつくります。事務的な確認や個人的な相談などはメール(funatsu@shudo-u.ac.jp)してください。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
国際コミュニティ学部国際政治学科(地域研究領域) FGGP30502 2018~2020 3・4
国際コミュニティ学部地域行政学科(政治領域) FGRA30312 2018~2020 3・4