授業コード 30026900 クラス
科目名 行政法総論 単位数 2
担当者 山田 健吾 履修期 後期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 行政法総論
授業の概要 非対面授業(資料提示型授業)を実施します。moodleを使用します。


 行政法の役割とその存在理由を明らかにした上で、行政法理論の基本原理や法概念を中心に説明する。
 この理解を基にして、行政の現実態や裁判例の検討し、行政法解釈論を解説する。ここでは、行政法総論の体系的理解に加えて、行政救済法の内容を理解するために必要な、行政法総論の基礎的事項を正確に把握してもらうことを目的とする。
学習の到達目標 行政法総論に関する基礎的な知識を獲得する。
授業計画 第1回 行政法入門の入門
行政活動が、いかなる法的仕組みのもとで行われているのかについて学習する。これとともに、行政法がいかなる行為形式と制度で形作られているかを理解する。
行政法の体系について理解している。
行政法関係に関わって、二面関係と三面関係について理解している。
行政法がいかなる行為形式と制度で形作られているかを理解している。
行政の意義について理解している。
行政の種類について理解している。〔25〕
第2回 行政法の法源と行政法の基本原理
 行政活動が、行政領域ごとに制定された個別の法令や、不文法、行政の内部規範などの様々な規範に基づいて行われていることを理解し、これらの規範のなかで、いかなるものが行政法の法源の範囲に含められるのかを学習する。法治主義の古典的理解を正確に把握するとともに、現行憲法下における法治主義論をめぐる諸学説の意義と限界を明らかにし、法治主義の現代的課題について学習する。
行政法の成文法源について理解している。
行政法の不文法源について理解している。
行政法の効力について理解している。
行政法の効力と民事上の法律関係について理解している。
法治主義・法の支配・法治国原理・法治国家などと呼ばれる概念の意義について、法律、裁判、民主主義、基本的人権、適正手続保障、信義則などとの関連を含め、理解している。〔1〕
法律による行政の原理にいう法律の留保の意義について理解している。〔2〕
行政処分に適用される比例原則の意味を理解している。〔128〕
第3回 行政法関係の意義-組織法と自治法
 行政法関係の一つである行政組織内部の関係について取り上げる。行政主体概念、行政機関概念および行政庁概念について正確に理解し、行政機関の権限、権限の代行、権限の監督、行政機関相互間の協議・調整に関する諸問題について学習する。これとともに、地方自治組織についてもあわせて検討を加える。
国家行政組織法の概要を理解している。〔74〕
地方自治法が規定する地方公共団体の種類、及び普通地方公共団体の組織の概要を理解している。〔75〕
行政組織を構成する単位である行政機関の種類として、行政庁・補助機関・諮問機関・執行機関の区別があることを理解している。〔77〕
行政処分の根拠規定及び処分庁を示す規定を理解している。〔7〕
行政機関の権限の委任・代理・専決の違いを理解している。 〔78〕
行政組織内部における行政機関の相互関係(上級機関の指揮監督権、対等機関の関係など)を理解している。〔79〕
普通地方公共団体の事務が、地方自治法においてどのように定められているかの概要を理解している。〔80〕
国と地方公共団体の関係のうち、地方自治法が定める国の関与の在り方の概要を理解している。 〔81〕
地方公共団体以外の公共団体を理解している。 〔83〕
国又は公共団体(行政主体ないし行政体)による行政のみならず、私人による行政が存在することを理解している。〔84〕
自主条例(独自条例)の意義を理解している。 〔121〕
自主条例(独自条例)か委任条例(法律に根拠のある条例)かの区別を理解している。〔122〕
行政処分の要件及び内容に関し、自主条例(独自条例)が法律に反して違法無効であるかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて理解している。〔123〕
第4回 行政法関係の意義-作用法
外部法関係である行政作用法上の関係を取り上げる。行政作用法上の法関係とは、行政と国民の法関係のことであるが、事業者、地域住民、消費者、施設・サービス利用者などの権利利益の性質の違いに留意しつつ、これらの法関係の特質について学習する。
行政上の法律関係について理解している。
行政法の適用法規に関する問題について理解している。
信義則違反(信頼保護原則違反を含む)を理由として行政処分が違法とされる場面とはどのようなものかについて理解している。〔125〕
信義則及び行政権の濫用を理由に行政処分をいかなる場合に違法とすべきかどうか理解している。〔127〕
第5回 行政行為(1)概念と効力
 行政行為の特殊性を理解した上で、その概念、分類および効力について学習する。
行政行為の特質について理解している。
行政行為の種類について理解している。
取消訴訟の排他的管轄を認めることの帰結について理解している。 〔176〕
取消訴訟の排他的管轄が及ばない場面があることについて理解している。〔177〕
出訴期間と不可争力について理解している。〔172〕
不可変更力について理解している。〔153〕
第6回 行政行為(2)適法性判断基準
 行政行為の適法性判断基準についても正確に理解する。その上で、行政裁量に対する司法審査方法について、裁判例を通じて、学習する。
行政法における法解釈について理解している。〔97〕
行政庁が法令解釈又はその適用を誤ったかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて理解している。 〔99〕
第7回 行政行為(3)適法性判断基準と裁量
 行政行為に裁量が認められる場合の適法性判断基準について理解する。
 要件裁量及び効果裁量の具体例を、条文を参照して理解している。 〔105〕
行政処分の要件・効果等の判断のどの部分に行政裁量が認められる(又は認められない)と裁判所が判断しているかについて理解している。 〔106〕
行政処分の要件・効果等の判断のどの部分に、なぜ行政裁量が認められるべきか(または認められるべきではないのか)を理解している。 〔107〕
裁量判断の合理性が欠如しているかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて理解している。〔109〕
裁量判断の合理性が欠如していることを示すためにどのような指摘をおこなうべきかを理解している。 〔111〕
行政権の濫用(動機の不法)を理由として行政処分が違法とされる場面とはどのようなものかについて理解している。 〔126〕
第8回 行政行為(4)瑕疵
 行政行為の無効、取消および撤回の概念を正確に理解する。無効と取消の区別、職権取消の制限等の行政法理論とともに、違法性の承継、瑕疵の治癒及び附款についても学習する。
処分の無効事由の有無を、裁判所がどのような点に着目して判断しているかについて理解している。
処分の無効事由として指摘すべき事情が何かを理解している。
職権取消しと撤回それぞれについて異同を理解している。〔9〕
違法性の承継について理解している。〔181〕
瑕疵の治癒について理解している。
第9回 行政過程と行政手続 
 適正手続に関する憲法的理解を正確に把握した上で、行政手続法の仕組みと運用を理解し、その意義と問題点について学習する。行政手続の瑕疵の法効果の問題についても、裁判例を通して学習する。
適正手続について理解している。〔52〕
行政手続法と行政手続条例の適用対象を、条文に則して理解している。 〔55〕
行政手続法が適用される「申請に対する処分」の具体例を、条文を参照して理解している。 〔56〕
行政手続法が適用される「不利益処分」の具体例を、条文を参照して理解している。 〔57〕
審査基準及び処分基準に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。 〔58〕
理由提示に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。 〔59〕
聴聞及び弁明機会付与に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。〔60〕
「申請に対する処分」に関して行政手続法が定める審査及び応答に関する規定の趣旨を理解している。 〔61〕
届出に関する行政手続法の規定の趣旨を理解している。〔62〕
行政手続法及び個別法それぞれにおける適用除外の対象となるかどうか、及び個別法における修正規定の内容を理解している。〔132〕
個別法及び行政手続法・条例から、法的に義務付けられる行政手続がいかなるものかを理解している。 〔133〕
理由提示、聴聞・弁明機会付与などの意見陳述の機会を与えること、又は審査基準を定めて公にすることが義務付けられる場合に、その違反があったかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて理解している。 〔134〕
理由提示、聴聞・弁明機会付与などの意見陳述の機会を与えること、又は審査基準を定めて公にすることが義務付けられる場合に、裁判所はいかなる場合に、その違反があるとしているかについて理解している。 〔135〕
いかなる手続違反があると行政処分は違法とされる(取消訴訟であれば取消事由となる)かについて理解している。〔137〕〔138〕
第10回 行政機関による規範定立
 行政機関が、行政組織・活動について定める規範の概念および種類について正確に理解する。その上で、行政機関が定める規範に対する法的コントロールのあり方について、立法例や裁判例を通じて学習する。
委任立法の概念と法規命令の概念の関係を理解している。〔12〕
法規命令について理解している。〔13〕
法源としての命令と委任立法概念との関係を理解している。〔14〕
行政処分の要件及び内容に関し、立法権の委任の仕方が憲法上許容される範囲を超えているか(白紙委任禁止に抵触するか)どうかを裁判所がどのように審査しているかについて理解している。〔115〕
行政処分の要件及び内容に関し、立法権の委任の仕方が憲法上許容される範囲をいかなる場合に超えているか(白紙委任禁止に抵触するか)について理解している。〔116〕
行政処分の要件及び内容に関し、委任命令が委任の趣旨を逸脱しているかどうかを裁判所がどのような点に着目して審査しているかについて理解している。〔118〕
行政処分の要件及び内容に関し、委任命令が委任の趣旨を逸脱しているかどうかについて理解している。〔119〕
行政規則について理解している。〔15〕
解釈基準と裁量基準の異同について理解している。〔15〕
行政処分の適法性判断において、解釈基準と裁量基準がいかに機能するかについて理解している。〔100〕
行政手続法が適用される命令とその制定手続について理解している。〔65〕〔66〕
第11回 行政契約・行政計画
 行政契約の概念と分類とこれをめぐる現代的諸問題を正確に理解する。行政契約に対する実体的・手続的統制方法について、裁判例を通じて、学習する。行政計画の概念および種類について理解し、その上で、行政計画が多様な法的性質を有することを学習する。行政計画の立法例や裁判例を通じて、その法的コントロールのあり方を学習する。
行政計画の概念と特質について理解している。〔34〕
行政計画と、委任立法(法規命令等)・行政処分の異同を理解している。〔35〕
行政処分、行政契約及び法規命令の異同を、各概念の定義の違いとして理解している。 〔18〕
国及び地方公共団体がどのような場面で行政契約を利用しているか、を理解している。〔19〕
国及び地方公共団体が、契約締結を拒否することによって行政目的を達成しようとすることの可否について理解している。〔20〕
行政過程において、契約関係には至らないものの法的に保護されるべき信頼関係が生じることがあることについて理解している。〔21〕
第12回 行政指導
 行政指導の概念および機能について正確に理解する。その上で、地方自治体で実際に用いられている要綱を素材に、行政指導の実効性担保手段について学習する。
行政指導と行政処分の違いを理解している。〔27〕
行政過程において行政指導がどのように用いられているか、またなぜ用いられるのかを、理解している。 〔28〕
行政指導が実定法に規定される場合の特色について理解している。〔29〕
私人を行政指導に従わせることの限界について理解している。 〔30〕
行政手続法が適用される行政指導について理解している。〔63〕
行政指導に関する行政手続法の規定を理解している。〔64〕
第13回 行政上の義務履行確保手段・即時強制
行政上の強制執行と裁判所による司法的強制の相違を正確に把握した上で、行政上の義務履行確保手段の概念、種類および機能を学習する。即時強制についてはここで扱う。

行政上の代執行、強制徴収、直接強制、及び間接強制(執行罰)の概念特質について理解している。〔38〕
即時強制の概念特使について理解している。
行政上の強制執行の法律の根拠の要否、及びその根拠規定を条例におくことができるかについて理解している。 〔39〕
行政代執行の手続を理解している。〔40〕
国税徴収法に基づく強制徴収の手続の概要を理解している。〔41〕
行政上の義務を民事執行の方法で強制的に実現することの可否について理解している。〔42〕
行政上の強制執行と即時強制(即時執行)それぞれの異同を理解している。 〔43〕
行政上の義務違反に対する非刑事的(行政的)制裁について理解している。〔46〕
行政上の義務違反に対する刑事的制裁と非刑事的(行政的)制裁の関係を理解している。 〔47〕
行政上の義務違反に対する制裁と行政上の強制執行の異同を理解している。〔48〕
いわゆる制裁的公表の特色を理解している(法律の根拠の要否を含む)。〔49〕
第14回 行政情報の収集・管理・公開(1)
行政情報の収集(行政調査など)に関する実体的・手続的コントロールのあり方を、憲法論も踏まえつつ検討するとともに、情報管理のあり方に関する法制度の状況を整理し、これをめぐる法的課題を学習する。
行政調査と適正手続について理解している。〔53〕
行政調査の種類(犯則調査を含む)について理解している。〔32〕
行政調査(犯則調査を含む)をおこなうにあたってとるべき手続を理解している。〔69〕
犯則調査権限をもつ行政機関が、犯則調査ではない行政調査によって得られた資料を犯則調査に流用することの可否について理解している。〔70〕
犯則調査権限をもつ行政機関が、犯則調査によって得られた資料を用いて行政処分をすることの可否について理解している。〔71〕
行政調査の方法の選択を誤り(たとえば、任意調査に止まるべきところ、誤って強制を伴う方法をとり)、又は行政調査をおこなうにあたってとるべき手続に不十分な点がある場合、当該調査によって得られた証拠を用いた行政処分が違法とされるかどうかについて理解している。〔141〕
第15回 行政情報の収集・管理・公開(2)
 情報公開および個人情報保護の憲法的位置づけを正確に把握し、これらの法制度(条例も含む)の仕組みと運用を、裁判例を通して、学習する。
行政機関における情報公開制度の存在理由、及び情報開示請求権の仕組みの概要を理解している。 〔86〕
個人情報の取扱い及び自己情報開示・訂正等請求権の仕組みの概要を理解している。 〔87〕
授業外学習の課題 各回の授業前に、テキストの指定された部分を熟読してください。
履修上の注意事項 非対面授業を実施します。
授業では 教科書、配布資料と「六法」を使用します。
また、この授業の理解を深めるためには、①予習と復習を行うこと、②新聞などを読み日本社会の問題状況を把握すること、の2点が必要と考えています。
成績評価の方法・基準 期末レポート(100%)
テキスト 市橋ほか編著『アクチュアル行政法〔第3版〕』(法律文化社、2020年)を教科書として指定します。
ポケット六法令和2年版も使用します。
参考文献
主な関連科目 本講義と内容が連続する講義: 総合教養講義a(市民と行政法
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
Noodle または zoomで質問を受け付けます。zoomでの質問については、日程等を後日お知らせします。
期末レポートのフィードバックについて。期末試験の講評を成績発表が行われる日に実施します。詳細は、15回目の講義にお知らせします。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
法学部法律学科(公法) 2013~2016 2・3・4
法学部法律学科(公法) FLLA20307 2017~2017 2・3・4
法学部法律学科(公法) FLLA20402 2018~2020 2・3・4
法学部国際政治学科(E群) 2007~2016 3・4
法学部国際政治学科(E群) FLIP30504 2017~2017 3・4
国際コミュニティ学部地域行政学科(法律領域) FGRA30603 2018~2020 3・4