授業コード | 20099100 | クラス | |
科目名 | 現代社会学特殊講義B(LGBT差別と教育をめぐる社会学) | 単位数 | 2 |
担当者 | 眞野 豊 | 履修期 | 前期授業 |
カリキュラム | *下表参考 | 配当年次 | *下表参考 |
授業題目 | LGBT差別と教育をめぐる社会学 Queer Sociology: Discrimination and Education |
授業の概要 | 性的少数者(いわゆるLGBT)とは、同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーなどのように性のあり方が少数派の人々を指す言葉である。国内の調査では3~8%が性的少数者であると推計されているが、日本の学校教育はこれまで性的少数者の存在を隠蔽、もしくは、非行とみなしてきた。しかしながら、性的少数者をめぐる状況は、ここ数年急速に変化している。このような社会状況を踏まえて本講義では、性的少数者に対する差別と学校教育に焦点化し学習を進める。 講義の前半では、性的指向及び性自認を理由とした差別の実態について、国内外の調査、学校教育の実態、カリキュラムなどの面から理解していく。さらに、性的少数者に対する差別を成り立たせている社会や学校空間を支配するジェンダー規範や異性愛規範の性質について学ぶ。 後半では、性の多様性を踏まえたカリキュラムのあり方、LGBT差別に対抗するための授業の方法や教職員に対する啓発について検討していく。また、急速に浸透しているネオリベラリズム体制とLGBTの関係、「性同一性障害」概念の功罪や性教育バッシングなど、LGBTに関係する社会的問題を広く扱い、性的指向や性自認を理由とした差別にどう向き合っていけばいいのかを多角的に考えていく。 |
学習の到達目標 | ①性的指向及び性自認が人権であることを理解し、LGBT差別をめぐる問題が社会の問題であると考えることができる。 ②LGBT差別を成り立たせている社会構造について理解し、その特質を説明することができる。 ③LGBT差別をめぐる学校教育の重要性を理解し、差別に対抗するために学校教育では何ができるのかを具体的に説明することができる。 |
授業計画 | 第1回 | SOGIとは何か:本講義の導入として性的指向及び性自認(SOGI)の権利について考える。 |
第2回 | LGBTと差別:いくつかのデータを基に性的少数者に対する差別の実態を理解し、その背景について考える。 | |
第3回 | ジェンダー・セクシュアリティと学校教育:ジェンダー・セクシュアリティに関する理論や隠れたカリキュラムを手がかりに、学校教育と性差別について考える。 | |
第4回 | 性の多様性と学校教育:多様な性の視点から公教育が抱える諸問題を考え、学校空間を支配する異性愛規範やジェンダー規範について理解する。 | |
第5回 | LGBTに対する「支援」とは?:事例をもとに、性的少数者に対する「当事者支援」の実態と課題について考える。 | |
第6回 | 人権同和教育と性の多様性:人権同和教育の知の蓄積が、性の多様性をめぐる差別問題にどのように生かされうるのかを考える。 | |
第7回 | 国際社会とSOGI:性的指向及び性自認の権利をめぐる国際社会の歴史を国連の動向などを参照しながら理解する。 | |
第8回 | 性の多様性をめぐる諸外国の教育:諸外国の学校では、性的指向及び性自認を理由とした差別をなくすためにどのような取り組みがなされてきたのかをいくつかの事例から学ぶ。 | |
第9回 | 性の多様性とカリキュラム:アップルやフレイレの理論を参照しながら、性の多様性を踏まえたカリキュラムのあり方について考える。 | |
第10回 | 性の多様性をどう教えるか:性的指向及び性自認を理由とした差別に対抗するために学校には何ができるのかを授業づくりの事例を通して考える。 | |
第11回 | 教職員の意識を変える:教職員たちの性の多様性に関する意識の実態を踏まえ、教職員に対する啓発をどのように行えばよいのかを考える。 | |
第12回 | 性同一性障害と日本社会:日本では、なぜ性同一性障害が注目をされたのかを批判的に考える。 | |
第13回 | ネオリベラリズムとLGBT:ネオリベラリズムの社会体制が性的少数者や性の政治にどのような影響を与えるのかを考える。 | |
第14回 | 性教育バッシングとHIV:性教育バッシングが性の多様性に関する知をどのように排除してきたかを振り返り、性に関する知と私たちの健康について考える。 | |
第15回 | 講義のまとめ:これまでの講義を振返り、要点を確認する。 |
授業外学習の課題 | 授業の中で紹介する文献を読むこと。また、授業内に指示された課題(レポート等)を期限を厳守して提出すること。【追記】次の文献を読んでレポート(1400字以上)を提出する。詳細は授業において指示する。風間孝・河口和也 2010『同性愛と異性愛』岩波書店の第5章。 |
履修上の注意事項 | 授業中における発言や授業への積極的な態度は成績評価に加えるので、積極的に議論に参加し、質問や意見を積極的に発言すること。反対に、私語など学習の妨げとなる言動は、減点の対象とするので留意してほしい。【追記】第12回目の授業についてはレポート課題に代える。第14回目の授業内で試験を行なう。 |
成績評価の方法・基準 | 授業中の発言等25%、授業中に課す課題25%、期末試験50%により総合的に評価する。【変更】授業中の発言20%、授業中に課す課題20%、レポート課題10%、授業中に行なう試験50%により評価する。 |
テキスト | 毎回レジュメを配布します。 |
参考文献 | 河口和也 2003『クイア・スタディーズ』岩波書店 風間孝・河口和也 2010『同性愛と異性愛』岩波書店 森山至貴 2017『LGBTを読み解く――クィア・スタディーズ入門』ちくま新書 |
主な関連科目 | 差別問題論、ジェンダー論、クィア・スタディーズ |
オフィスアワー及び 質問・相談への対応 |
質問・相談についてはできる限り授業中に対応するが、メールでも受け付ける。 |
所属 | ナンバリングコード | 適用入学年度 | 配当年次 |
人文学部人間関係学科心理学専攻(他学科及び他専攻科目) | - | 2014~2016 | 1・2・3・4 |
人文学部人間関係学科社会学専攻(自専攻科目) | - | 2011~2016 | 1・2・3・4 |
人文学部人間関係学科社会学専攻(社会学専門科目) | FHHS23117 | 2017~2020 | 1・2・3・4 |