授業コード 20032000 クラス
科目名 都市社会学B 単位数 2
担当者 中道 豪一 履修期 後期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 宗教文化から見る広島デルタ地域の現在・過去・未来
授業の概要 本講義は、広島デルタ地域、すなわち広島市中心部(旧広島市域)における生活文化を、宗教文化領域に焦点を絞り学ぶことで、地域社会を分析する素材とスキルを身に着けることを目的とする。

現在、様々な場所で「広島学」等の名称で、広島についての学びが繰り広げられているが、それらを眺めた際、原爆以前の広島の生活・文化を射程に入れたものは一般的と言い難い。歴史については広島城・嚴島神社・原子爆弾等のテーマに触れるものが珍しくないものの、広島で古くから大切にされてきた生活文化を見つめ、そこに立脚した広島学を多く見受けることはできない。

そこで本講義は以下に挙げる2点を特徴として内容を構成した。1点目はそうした状況をふまえ「広島で大切にされてきた生活文化」を学ぶことで、現在、抜け落ちがちな事実と感覚を習得できるようにすること。2点目が、原爆体験にとどまらぬ長いスパンから広島を論じるスキルを習得できるようにすることである。

宗教文化という領域に焦点を絞って事例を紹介していくが、そこで取り扱う内容は神社・寺院といった既存の宗教施設を舞台とするものから、亥の子など民間を主体とした祭礼行事、さらにはきつね・たぬきをはじめとする妖怪の話までを幅広く扱う。その中には江戸時代、魔王山本と戦った武士を奉る神社など、思わず人に話したくなるようなものも少なくない。そして分析の一助として「聖なる天蓋」をはじめとする宗教を考えるための理論も紹介していく。

昨年(2019年)は浅野家が広島の政治を司るようになって400年という記念の年を迎えた。この節目の年をきっかけに、宗教と社会の関わりを考えたい学生は勿論、広島という地域を考えたい学生・純粋にそうした話が好きな学生に対し受講を勧める。
学習の到達目標 ①旧広島市域における宗教文化の事例(神社・神道を中心)を説明することができる
 ―過去の事例を正確に理解した上で他人に説明できる―
②そうした記憶が覆い隠され広島が語られている現状について実例を挙げ説明することができる
 ―現在、何が無くなり何が残っているか等の変遷を理解した上で他人に説明できる―
③講義で得た知見を元に、現代広島に関する意見を持つ
 ―原子爆弾「だけ」に頼らない広島論を持ち他人に説明できる・講義で紹介した理論を駆使できるようにする―
授業計画 第1回 失われた広島の歴史と文化について
―講義概要と評価方法の説明―
第2回 旧暦1月における旧広島市域の生活と文化
―正月行事を中心に人々の生活を知る―
第3回 旧暦2月における旧広島市域の生活と文化
―初午を中心に人々の生活を知る―
第4回 旧暦3~4月における旧広島市域の生活と文化
―上巳の節句(3月3日)・こと追いなどを中心に人々の生活を知る―
第5回 旧暦5月における旧広島市域の生活と文化
―端午の節句(5月5日)・さねもりさまを中心に人々の生活を知る―
第6回 旧暦6月における旧広島市域の生活と文化①
―忘れ去られた嚴島神社と管絃祭―
第7回 旧暦6月における旧広島市域の生活と文化②
―広島城下における敬神行事:火振り・御供船―
第8回 旧暦6月における旧広島市域の生活と文化
―氷餅・国主棚・大祓を中心に人々の生活を知る―
第9回 旧暦7月における旧広島市域の生活と文化
―忘れられた七夕とお盆の関わりを知る―
第10回 旧暦8~9月における旧広島市域の生活と文化
―八朔・重陽の節句(9月9日)・乙九日を中心に人々の生活を知る―
第11回 旧暦10月における旧広島市域の生活と文化
―亥の子を中心に人々の生活を知る―
第12回 旧暦11~12月における旧広島市域の生活と文化
―川通り餅・針供養を中心に人々の生活を知る―
第13回 旧広島市域における説話・伝承①
―狸・狐・河童・妖怪・不思議な木の話など―
第14回 旧広島市域における説話・伝承②
―広島から伊勢にお札を受けに行った豚の話など―
第15回 まとめと分析:原子爆弾偏重の広島からの克服
―旧広島市域の生活・文化の知識を基盤に現代の諸文献を分析する―
―「聖なる天蓋」などの理論で広島の状況を分析する―
授業外学習の課題 講義中に参考にすべき書籍・ホームページ等を紹介する
履修上の注意事項 【講義全般に関する事項】
①古文・漢文・くずし字等の専門知識は必要としない。
②旧広島市域についての土地勘が無くても構わない。初歩から知識を重ねられるよう工夫してある。
③講義は、話す内容を「文字起こし」した資料(だいたいA4×8)を中心に運用する。

【コロナウイルス対応に関する事項】
①「Google classroom」を利用する。
②開講曜日の開講時刻から1時間の間に「Google classroom」上で出席確認を行う。(※「講義資料のアップロード」「連絡事項の伝達」も基本的に開講曜日の開講時刻に行う。なお出席確認を実施する時間について、もし大学の時間割運営上、実施困難なケースが出てきた場合は、入力時間の拡大等を実施し柔軟に対応する)
③全15回中、10回以上の出席をもって評価の対象とする。
④各回アップロードする講義資料は、容量不足等の問題が発生しない限り削除しない。
⑤第5・10回終了後に小課題を実施し、第15回終了後に学期末レポートを実施する予定。(ただし受講者数や習熟度により小課題は1回になることがある)
成績評価の方法・基準 ①学期末レポート(60%)
②講義への取組み(40%=5・10回の小課題など)
テキスト テキストは講義中にプリントを配布する
参考文献 ①広島関係の文献
本講義内容に関連する内容について現代日本語で容易に読めるものとしては、薄田太郎の『がんす横丁』『続がんす横丁』『続々がんす横丁』『がんす夜話』 (この4冊は全てたくみ出版 昭和48)がある。
②宗教を考える理論に関する本
■ピーター・L. バーガー『聖なる天蓋』筑摩書房 平成30
■和辻哲郎『風土-人間学的考察』岩波書店 昭和54
主な関連科目 ヒロシマ文化論Ⅰ
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
①「Google classroom」のコメントから連絡してください(※非公開コメントを推奨します)
②「Google classroom」のコメントが使用できない時は、「Google classroom」に記載してあるメールアドレスに連絡してください

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
人文学部人間関係学科心理学専攻(他学科及び他専攻科目) 2014~2016 2・3・4
人文学部人間関係学科社会学専攻(自専攻科目) 2011~2016 2・3・4