授業コード 93103802 クラス 02
科目名 行政法研究Ⅰ 単位数 2
担当者 山田 健吾 履修期 前期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 行政法総論
the Basic Theory of Administrative Law
授業の概要  行政法の役割とその存在理由を明らかにした上で、行政法理論の基本原理や法概念を中心に説明する。この理解を基にして、行政の現実態や裁判例の検討し、行政法解釈論を解説する。ここでは、行政法総論の体系的理解に加えて、行政法総論の基礎的事項を正確に把握してもらうことを目的とする。
 本講義は、行政法理論を体系的に理解するための出発点となる科目である。そのため、まず、行政法の基本原理や法概念を正確に理解することが必要となる。また、基本原理や法概念を用いて、行政法の仕組みおよび運用のあり方を適切に把握する能力とともに、行政の現実態を客観的に分析する能力も求められる。
学習の到達目標  本講義は、行政法理論を体系的に理解するための出発点となる科目である。そのため、まず、行政法の基本原理や法概念を正確に理解することが必要となる。また、基本原理や法概念を用いて、行政法の仕組みおよび運用のあり方を適切に把握する能力とともに、行政の現実態を客観的に分析する能力も求められる。
授業計画 第1回 行政法入門の入門
 行政活動が、いかなる法的仕組みのもとで行われているのかについて学習する。これとともに、行政法がいかなる行為形式と制度で形作られているかを理解する。
第2回 行政法の法源と行政法の基本原理
 行政活動が、行政領域ごとに制定された個別の法令や、不文法、行政の内部規範などの様々な規範に基づいて行われていることを理解し、これらの規範のなかで、いかなるものが行政法の法源の範囲に含められるのかを学習する。法治主義の古典的理解を正確に把握するとともに、現行憲法下における法治主義論をめぐる諸学説の意義と限界を明らかにし、法治主義の現代的課題について学習する。
第3回 行政法関係の意義-組織法と自治法
 行政法関係の一つである行政組織内部の関係について取り上げる。行政主体概念、行政機関概念および行政庁概念について正確に理解し、行政機関の権限、権限の代行、権限の監督、行政機関相互間の協議・調整に関する諸問題について学習する。これとともに、地方自治組織についてもあわせて検討を加える。
第4回 行政法関係の意義-作用法
 外部法関係である行政作用法上の関係を取り上げる。行政作用法上の法関係とは、行政と国民の法関係のことであるが、事業者、地域住民、消費者、施設・サービス利用者などの権利利益の性質の違いに留意しつつ、これらの法関係の特質について学習する。
第5回 行政行為(1)概念と効力
 行政行為の特殊性を理解した上で、その概念、分類および効力について学習する。
第6回 行政行為(2)適法性判断基準と裁量
 行政行為の適法性判断基準についても正確に理解する。その上で、行政裁量に対する司法審査方法について、裁判例を通じて、学習する。
第7回 行政行為(2)適法性判断基準と裁量(続き)
第8回
行政行為(3)瑕疵
 行政行為の無効、取消および撤回の概念を正確に理解する。無効と取消の区別、職権取消の制限等の行政法理論とともに、違法性の承継、瑕疵の治癒及び附款についても学習する。
第9回 行政過程と行政手続 
 適正手続に関する憲法的理解を正確に把握した上で、行政手続法の仕組みと運用を理解し、その意義と問題点について学習する。行政手続の瑕疵の法効果の問題についても、裁判例を通して学習する。
第10回 行政機関による規範定立
 行政機関が、行政組織・活動について定める規範の概念および種類について正確に理解する。その上で、行政機関が定める規範に対する法的コントロールのあり方について、立法例や裁判例を通じて学習する。
第11回 行政契約・行政計画
 行政契約の概念と分類とこれをめぐる現代的諸問題を正確に理解する。行政契約に対する実体的・手続的統制方法について、裁判例を通じて、学習する。行政計画の概念および種類について理解し、その上で、行政計画が多様な法的性質を有することを学習する。行政計画の立法例や裁判例を通じて、その法的コントロールのあり方を学習する。
第12回 行政指導
 行政指導の概念および機能について正確に理解する。その上で、地方自治体で実際に用いられている要綱を素材に、行政指導の実効性担保手段について学習する。
第13回 行政上の義務履行確保手段・即時強制
 行政上の強制執行と裁判所による司法的強制の相違を正確に把握した上で、行政上の義務履行確保手段の概念、種類および機能を学習する。即時強制についてはここで扱う。
第14回 行政情報の収集・管理・公開
 行政情報の収集(行政調査など)に関する実体的・手続的コントロールのあり方を、憲法論も踏まえつつ検討するとともに、情報管理のあり方に関する法制度の状況を整理し、これをめぐる法的課題を学習する。情報公開および個人情報保護の憲法的位置づけを正確に把握し、これらの法制度(条例も含む)の仕組みと運用を、裁判例を通して、学習する。
第15回 行政情報の収集・管理・公開(続き)
授業外学習の課題  各回のテーマに関する行政法の基本書や論文等について学習をしておくこと。
履修上の注意事項 1 授業資料について
(1) 受講生は、あらかじめ配布された教材に基づき、次回授業の該当部分を事前に読み、各自、次の準備をする。
 ①各回の目標を達成するために予め読んでおくべき資料[予習事項]には、「配付資料」と「参考資料」に掲げておく。
 ②講義では取り扱わないが、より理解を深めるために自習すべき事柄やこれに関わる判例等[自習事項]については、「配付資料」でその旨を明示するので、予習・復習の際に精読すること。
 ③教材に示された説例や設問への解答・解決方法をあらかじめ考えておく。
 ④各回で取り上げる判例・裁判例については、《一般理論としてどのような意味があるのか》、そして、《個別事例としての分析》の、ふたつの事柄について予習しておくこと。
 ⑤[配付資料]のはじめに、学ぶべき事項を掲げてあり、そこに、【基礎】・【展開】・【応用】・【自習】という表記がなされている。
ア. 【基礎】とは定義や内容を正確に理解しおぼえておくべき事項のこと
イ. 【展開】とは、【基礎】で理解し覚えた事項を踏まえて、当該事項につき、裁判例・判例・学説において、いかなる理由で、いかなる議論が展開されているか理解しておくべき事項のこと
ウ. 【応用】とは、【基礎】【展開】事項を踏まえて、具体的事例において、個別法や事実関係を分析して考察できるようになるべき事項。
エ. 【自習事項】は、期末試験の試験範囲に含まれるが、各受講生の自習に委ねる事項であり、原則として、講義では取り扱わない。
オ. ただ、受講生の理解度によって、自習事項であっても講義で取り扱ったり、また、自習項目以外でも、自習項目に指定する場合がある。いずれの場合においても、講義においてその旨を指示する。

2 各回の授業
(1) 「配付資料」と「参考資料」の説明と、「配付資料」に掲げられた設問の解説を中心に講義を行う。その際、随時に受講生に質問を発し、解答を得るなど、双方向性を高めるよう工夫を施す。
(2) 事前に指示した設問について、受講生に適宜、質問し、理解の度合いを確認しながら講義を進める。
成績評価の方法・基準  平常点〔予習状況、講義中における質疑応答に関する内容等〕(40%)、レポートの内容(60%)を総合的に評価判定する。
テキスト  教科書は使用しません。ただし、本科目は、塩野宏・行政法Ⅰを独力で読めるようになることを一つの目標としています。
 行政判例百選、判例六法プロフェッショナルは必携。
参考文献 参考文献として、代表的な基本書を以下に掲げておきます。塩野宏『行政法Ⅰ』有斐閣、原田尚彦『行政法要論』学陽書房、芝池義一『行政法総論講義』有斐閣、小早川光郎『行政法 上』弘文堂、宇賀克也『行政法概説 Ⅰ 行政法総論 』有斐閣、橋本博之=櫻井敬子『行政法』弘文堂など。
主な関連科目 行政法研究Ⅱ、行政法演習Ⅰ及びⅡ
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
(1)授業終了時に質問してください。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
法学研究科M法律学専攻 2017~2019 1・2