授業コード | 50021000 | クラス | |
科目名 | 入門特殊講義(災害史) | 単位数 | 2 |
担当者 | 宮川 卓也 | 履修期 | 前期授業 |
カリキュラム | *下表参考 | 配当年次 | *下表参考 |
授業題目 | 歴史の中の災害、社会の中の災害 (Disasters in History and Society) |
授業の概要 | 「3.11」以降、日本では災害への関心が急速に高まっている。「3.11」以後も頻繁に発生する地震や台風・豪雨は、否応なく、われわれの関心と危機意識をますます高めている。特に広島では大規模土砂災害・水害によって災害に対する意識は高くなっている。国際的にも、気候変動などと連動した自然災害に対する関心は広く認識されつつある。大災害が発生した際、どう対応すべきなのか、これからますます激しくなると予想される災害に対してどのように備えるべきなのかといった課題についての議論が広く行われている。 災害対策に関する議論が活発化するなか、過去に先人たちが経験したさまざまな災害(地震・水災・火山・飢饉など)に目を向け、歴史から教訓を得ようとする動きも活発になっている。「3.11」後に貞観地震(869年)や安政の大地震(1853年)がクローズアップされたのは記憶に新しい。過去、人々はさまざまな災害とどう向き合ってきたのか? 過去の記録からどの程度の規模の災害が起こりうるのか? このように現代社会の課題を解決する目的から歴史を掘り返す作業が進む一方で、災害という非日常的状況において人間社会の本質を見出そうとすることも可能である。災害は人間社会に何をもたらしたのか? 災害という非日常的から日常に復帰しようとする過程において、人や社会の本質はどのように現れるのか? それは災害という非常事態においてのみ見られるものなのか? 本講義では、古代から現代に至るまでに発生した様々な災害事例を通じて、災害と人間の関係性、災害に関する考え方などの特質や変遷について幅広く考えたい。 また、本講義では「災害」の意味を広くとる。すなわち、自然災害だけでなく人災も含める。例えば戦争や公害は人災の最たる例であり、福島原発事故は自然災害と人災が合わさった複合災害といえるだろう。何を以って災害と定義するのかは難しいが、ここではひとまず「「被害者」にとって抵抗し難い大きな「力」によって引き起こされる惨事・状況」としておく。詳細は講義で議論する。 |
学習の到達目標 | 本講義は、日本を中心に、過去に発生したさまざまな災害や現代社会における災害をとりあげ、「災害とは何か」「人は災害にどう向き合ってきたのか」「自分たちは災害とどう向き合うべきなのか」などの問いについて自分なりの考えを深めることを目標とする。 |
授業計画 | 第1回 | イントロダクション:災害とは何か? 歴史から何を学ぶのか? |
第2回 | 近現代の災害(1):阪神・淡路大震災 - 災害が映す現代社会問題 | |
第3回 | 近現代の災害(2):伊勢湾台風 - 現代都市水害、防災の原点 | |
第4回 | 古代・中世社会と災害(1):神話と災異 | |
第5回 | 古代・中世社会と災害(2):飢饉と疫病 | |
第6回 | 江戸の社会と災害(1):災害とムラ | |
第7回 | 江戸の社会と災害(2):「災害と生きる」思想と実践 | |
第8回 | 江戸の社会と災害(3):安政地震 - 地震となまず | |
第9回 | 明治・大正期(1):利根川水害 - 近代の水害と対策 | |
第10回 | 明治・大正期(2):足尾鉱毒事件 - 近代公害の原点 | |
第11回 | 明治・大正期(3):関東大震災 - 災害後の人と社会 | |
第12回 | 近現代の災害(3):複合災害:枕崎台風と広島 | |
第13回 | 近現代の災害(4):水俣が語るもの | |
第14回 | 災害としての戦争:9.11とその後 | |
第15回 | 東日本大震災:災害復興の「夢」と現実 |
授業外学習の課題 | 読書課題を読み、レポートを進めること。 近年、災害に関する新聞・雑誌記事、著書、ドキュメンタリーが溢れているので、幅広く興味をもって目を通してほしい。参考文献に示した本のうち1冊でも読んでほしい。 |
履修上の注意事項 | 1. 授業計画・進行については、受講生の反応や理解度を勘案して変更する可能性がある。 2. 大人の分別をもって講義に臨むことを期待する。 |
成績評価の方法・基準 | レポート(x4)で評価する。課題内容は講義中に指示する。一つでも未提出がある場合は成績評価の対象としない。 レポート作成に不安がある学生は学習支援センターを積極的に活用すること。 レポート作成にあたっては、本多勝一『日本語の作文技術』を一読することを強く勧める。 |
テキスト | 特に指定しないが、参考文献のどれか一冊でも読むことを強く勧める。 |
参考文献 | 荒畑寒村『谷中村滅亡史』1907年(岩波文庫、1999年) 石牟礼道子『苦海浄土 わが水俣病』1969年 磯田道史『天災から日本史を読み直す』中公新書、2014年 いのうえせつこ『地震は貧困に襲いかかる』花伝社、2008年 加藤直樹『九月、東京の路上で』ころから、2014年 北原糸子『日本災害史』吉川弘文館、2006年 北原糸子『日本震災史』ちくま新書、2016年 倉地克直『江戸の災害史』中公新書、2016年 小山鉄郎『大変を生きる』作品社、2015年 塩崎賢明『復興<災害>』岩波新書、2014年 史学会編『災害・環境から戦争を読む』山川出版社、2015年 寺田寅彦『天災と日本人(寺田寅彦随筆集)』角川ソフィア文庫、2011年 直江清隆・越智貢 編著『災害に向きあう』岩波書店、2012年 モフセン・マフマルバフ『アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない、恥辱のあまり崩れ落ちたのだ』現代企画室、2001年 柳田邦男『阪神・淡路大震災10年』岩波新書、2004年 渡辺尚志『日本人は災害からどう復興したか』農文協、2013年 『現代思想 2001年10月臨時増刊号 総特集 これは戦争か』青土社、2001年 |
主な関連科目 | |
オフィスアワー及び 質問・相談への対応 |
原則的に月曜日2限をオフィスアワーとするが、他の曜日・時間も受け付ける。事前に必ずメールでアポをとること。 |
所属 | ナンバリングコード | 適用入学年度 | 配当年次 |
人間環境学部人間環境学科(入門科目) | FHES11156 | 2018~2019 | 1・2・3・4 |