授業コード 50020900 クラス
科目名 入門特殊講義(日本の科学技術) 単位数 2
担当者 宮川 卓也 履修期 前期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 近代日本の科学技術と社会 Science and Technology in Modern Japan
授業の概要 日本の科学・技術は単線的に発展してきたものでも、西欧からの単純な受け売りでもなく、日本・東アジア独自の歴史的文脈のなかで複雑な過程を経て形成されてきた。本講義は19世紀から20世紀まで、日本の科学技術の歴史的展開を通観する。15回という限られた時間のなかで、科学の全分野について細かく見ていくことはできないが、できるだけ幅広い視点から近現代日本、ひいては東アジアの科学技術がどのように変遷してきたのか、近現代の歴史において科学と技術はどのような役割を担ってきたのか、政治的・経済的・社会的文脈との関連を十分に考慮しつつ概観する。
学習の到達目標 本講義は19世紀以降の日本の科学技術が、それまでの以前とはどのように異なる展開を示したのか、どのような文脈の中で進展してきたのかなどを追いかけることで、現代の科学技術の歴史的展開を理解すること、さらには現在の科学技術問題について議論できるようになることを目標とする。
授業計画 第1回 イントロダクション:科学とは何か、科学史とは何か、日本の科学技術をどう捉えるのかなど、本講義の目的や範囲、課題などについて説明する。
第2回 19世紀以前の東アジアの科学:古来から文明が栄え独自の発展を見せた東アジアの科学・技術とはどういうものだったのか概観する。
第3回 江戸時代の科学:西欧から科学技術が大量に流入する以前、江戸時代に注目して日本にはどのような知的営為があったのか概観する。
第4回 日本からみた「近代科学」1:19世紀に日本が導入した「科学技術」とは何だったのか?19世紀フランスを中心に、同時代の最先端科学の特徴について理解する。
第5回 日本からみた「近代科学」2:19世紀に日本が導入した「科学技術」とは何だったのか?19世紀ドイツを中心に、同時代の最先端科学の特徴について理解する。
第6回 明治維新と西欧近代科学の導入:幕末から明治にかけて西欧の科学技術を取り入れるため、日本政府や知識人がとった対策とはどのようなものだったのか。またどのような意図のもとに政策が進められたのか考察する。
第7回 日本の産業革命:幕末〜明治日本の産業の変化はどのような社会背景のもとに進んだのか概観する。
第8回 帝国大学と高等教育機関:大学や専門学校など高等教育機関の設立過程やそこに込められた意図とはどういうものだったのか考察する。
第9回 明治日本の科学研究:19世紀末までに日本で行われた科学研究とはどのようなものがあったのか。
第10回 戦争と科学(1):日清・日露の両戦争は日本の科学技術にどのような影響を及ぼしたのか、戦時中、あるいはその前後に科学技術に期待された役割とは何だったのか検討する。
第11回 戦争と科学(2)第一次世界大戦と研究所の設立:第一次世界大戦は現代科学技術の展開において大きな転換点となった。当時の映像などを参照しながら、第一次世界大戦が社会に与えたインパクトとはどういうものだったのか、また日本ではどう受け止められたのか検討する。
第12回 帝国の科学:日清・日露戦争を経て帝国主義国家となった日本は、周辺国・地域に対する植民地支配を進めていく上で、科学・技術をどのように利用したのか概観する。
第13回 戦争と科学(3):15年戦争を通じて築かれた科学の制度の特徴を理解し、戦後へのつながりを考える。
第14回 戦後日本の科学技術(1):敗戦後の米軍占領期を通じて、科学技術関連の制度・組織にはどのような変化があったのか。また科学者、技術者の意識・行動にはどのような変化が見られたのか検討する。
第15回 戦後日本の科学技術(2):1950年代後半から高度経済成長期に入った日本は、科学技術、産業分野で飛躍的な発展を遂げる一方、社会的な問題も引き起こしていた。水俣病などの公害はその代表的なものだ。科学技術の進展が抱える両義性について考える。
授業外学習の課題 講義前日までに担当教員がWEB上に公開するレジュメに目を通しておくこと。
余裕があれば参考文献を読むのが望ましい。
履修上の注意事項 1) 前提知識を必要としないが、日本近現代史について予習しておくことが望ましい。和田春樹ほか『東アジア近現代通史』上下巻、岩波現代全書、2014年を薦める。
2) 授業計画については、受講生の反応や理解度を勘案して変更する可能性がある。
3) 大人の分別をもって講義に臨むことを期待する。
成績評価の方法・基準 リアクションペーパー(5%x4)および期末試験(80%)で評価する。
テキスト
参考文献 廣重徹『科学の社会史』上下巻、岩波現代文庫、2002年
中山茂『帝国大学の誕生』中公新書、1978年
中山茂『近世日本の科学思想』講談社学術文庫、1993年
中山茂『科学技術の戦後史』岩波新書、1995
石井寛治『日本の産業革命』朝日選書、1997年
主な関連科目 「総合教養講義a(科学史)」、基礎特殊講義(東アジアの科学史)
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
月曜日2限(事前に必ずアポをとること)。他の曜日・時間を希望する場合は応相談。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
人間環境学部人間環境学科(入門科目) FHES11154 2018~2019 1・2・3・4