授業コード 30092100 クラス
科目名 特別講義A(国際法の現代的諸問題) 単位数 2
担当者 柳生 一成 履修期 第4学期
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 国際法の現代的諸問題 Recent development and problems of Public International Law
授業の概要 グローバル化が進んだ現在、国際社会においては、人権や環境などに関する問題は国境を越えて生じます。本授業においては、スライドを使用した講義形式を中心としつつ、現在の国際社会が抱える問題を国際法の観点から検討します。
学習の到達目標 本授業を受講することにより、
①「国際法」の授業で学んだ知識を基礎として、より発展的な国際法の内容を理解できる
②現在、国際社会が抱える問題を法的視点から分析し、自らの見解を形成できる
ようになることが目標です。
授業計画 第1回 ガイダンス
授業の進め方、予習・復習の仕方、成績評価方法、および関連科目(「国際法」など)との関係を説明します。
第2回 国際労働法
第一次世界大戦後に設立された国際労働機関(ILO)は、労働条件に関する様々な条約を作成してきており、また各国によるその実施を監督しています。それらの条約のうち重要なものの内容と、履行確保制度を学びます。
第3回 国際経済法①国際投資法
国際投資の保護を目的とするルールは二国間条約によって発展してきましたが、現在では自由貿易協定(FTA)の中にも含まれるようになっています。そのルールの概要とそれまつわる諸問題(紛争解決制度など)をみます。
第4回 国際経済法②国際通貨・金融
国際通貨・金融に関する制度は、第二世界大戦後に設立された国際通貨基金(IMF)と世界銀行による体制が中心ですが、2008年の世界金融危機以降には大きな変化を遂げています。国際通貨・金融に関わる制度の歴史と現状を分析します。
第5回 国際経済法③国際租税法
「パナマ文書」「パラダイス文書」の内容が報じられ、多国籍企業による国際的な租税回避が問題となるなど、租税に関する国際的な枠組みが注目を集めています。経済協力開発機構(OECD)が作成したルールを中心に、租税に関する国際法をみます。
第6回 国際経済法④WTO紛争解決パネル(事例研究)、地域社会と国際法
授業の前半は、WTOの紛争解決パネルが出した判断のうち、日本に関する事件を見つつ、紛争解決手続の性質と重要性を確認します。後半は、地理的表示保護制度などを素材として、国内の地域社会と国際法とのつながりを探ってみたいと思います。
第7回 EU法
欧州連合(EU)法は、国際法、とくに国際経済法とのつながりが強いものの、独自の発展を遂げている部分もあります。その理論的重要性とは別に、欧州に進出した日本企業などにとって、その規制は無視できないものとなっています。今回は、EU法の骨組みを学びます。
第8回 ビジネスと国際人権
現在、企業の経済活動も国際法のルールと無縁ではいられません。企業活動は国際人権法や国際労働法とも関連しますが、ここでは国連グローバル・コンパクト(UNGC)、持続可能な開発目標(SDGs)に重点を置いて学びます。
第9回 個人・企業・国家の経済活動に関する国際法
第2回から第8回までの授業の内容を総括しつつ、個人に対する国連安全保障理事会の経済制裁などの問題も考察し、第10回以降の個人が負う責任の問題を考察する準備を行います。
第10回 国際刑事法①
第11回で触れた国際刑事裁判所の活動を詳しく見ます。具体的には、実際の事件と関連させて訴訟手続きを見た後、国際刑事裁判所規程が定める4つの罪の内容を詳しく見ます。
第11回 国際刑事法②
前半は、旧ユーゴスラヴィア国際刑事裁判所などの判決にも触れつつ、国際刑事裁判所の重要判決を扱います。また、いくつかのアフリカ諸国が見せた裁判所への反発などを素材に、裁判所の問題点も探ります。後半は、国際経済刑法の説明をします。
第12回 国際海洋法
前半は、海洋法と環境法が交錯する、海洋環境の保護、海洋資源の管理などを見ます。後半は、現在、国際司法裁判所などが数多くの判決を出している海洋境界の画定に関する事例研究を行います。
第13回 国内裁判における国際法 (事例研究)①
国際法に関する紛争は国家間で生じ、国際裁判所で扱われるというだけではありません。国内の裁判所も国際法を適用して紛争を解決することがあります。日本の裁判所が扱った国際法に関する代表的事件を見て行きます。
第14回 国内裁判における国際法 (事例研究)②
国内裁判所も国際法を適用して紛争を解決した事件のうち、戦後補償に関する事件など、近年に日本の裁判所が扱った国際法に関する事件を見て行きます。
第15回 総括
本授業で扱ったテーマを振り返りつつ、テーマ相互の関連などを考察します。
授業外学習の課題 ・復習を重点的に行ってもらうことを予定していますが、予習として、事前に配布した資料を読んで、その内容をまとめ、授業に臨んでもらう課題があることがあります。
・復習として、授業で配布した資料を読み返したり、重要な用語の暗記などをして下さい。
・授業外の学修は60時間行って下さい。
履修上の注意事項 ・「国際法」または「国際社会と法」を受講していることを前提として授業を行います。
・教員と学生との間のまたは学生同士の質疑応答などを交えた授業形式をとる可能性があります。
・授業への参加度・課題への取り組みを重視するので、授業中の私語、スマートフォンの使用、居眠り、途中退室などは厳に慎んで下さい。教員が注意したにもかかわらず、それらを継続する者には、授業への参加を認めないことがあります。
・期末試験に関しては、解答を掲示する予定です。
成績評価の方法・基準 授業への参加度・課題への取組み(60%)および期末試験(40%)を基礎として総合的に評価します。
テキスト 必要に応じてレジュメ・資料を配布します。
※『国際条約集』(出版社は問わない)を必ず授業に持参して下さい(初回ガイダンス時に説明します)。
参考文献 玉田大ほか『国際法』(有斐閣、2017)ほか
※必要に応じて、各回の参考文献を追加で紹介します。
主な関連科目 国際法、国際組織論、国際人権論
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
オフィスアワーまたは授業終了時に質問を受けます。それ以外の時間に質問を希望する学生は、日程調整のため、授業後に声をかけるか、または事前にメールして下さい。気軽に質問して下さい。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
法学部法律学科(発展科目) FLLA20921 2018~2019 2・3・4