授業コード 20021951 クラス 51
科目名 ヒロシマ文化論Ⅱ 単位数 2
担当者 中道 豪一 履修期 後期授業
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 石門心学の教えと広島石門心学 -忘れられた広島の文化-
授業の概要 本講義は石門心学を通して広島の文化に触れることを目的とします。

現代の広島において、「文化」という言葉を通して多くの人に共有されるトピックは決して多いとはいえません。その中でも広島城や原爆ドームといった建築物にまつわる話は、耳にする機会はあると思いますが、歴史的に活躍した人物や団体にまつわる話はほとんど耳にしたことはないのではないでしょうか。そこで本講義が注目したのが石門心学というトピックです。

石門心学とは、京都の町人石田梅岩が説き全国に広まった教えのことです。これは日常の行いを正すことを目的に展開された教えで、当時勢力を持っていた神道・儒教・仏教という宗教を、人の心を磨くツールとしてとらえた点が特徴でした。そしてその名を歴史に刻んだのは、その教えを平易なたとえ話で広めた点です。結果、その教えは町人のみならず農民・武士・公家にまで拡大し全国的に広まりました。

こうした石門心学の一大拠点だったのが、なんとこの広島だったのですが、このことは今や多くの人が忘れてしまった事実となりました。現在の平和記念公園で行われた講演をきっかけに、多くの人が石門心学に親しんだ歴史を、広島の歴史・文化として語り継ぐ人はほとんど存在していません。

そこで本講義は、石門心学に関する基本的な知識を身に着けたうえで、この広島の町で展開された教えと活動を確認していくことを通して、広島の文化を考え論じる知識・スキルを培っていきたいと思います。江戸時代の庶民に愛された道話(石門心学の講話)や、当時の史料も紹介していきますが、詳しい歴史知識や、古文や漢文の知識がなくても受講できるよう工夫を加えてあります。

現代でいえば、共生といった概念にも通じ、日本人の宗教性・道徳観に大きな影響を与えたといわれる石門心学。その石門心学の姿と、広島の町で展開された教えと足跡を知ることで、忘れられた広島の文化に触れていきたいと思います。
学習の到達目標 1)石門心学について説明することができる
2)広島で活躍した心学者の実例を説明することができる
3)石門心学の教えに関する著作を説明することができる
4)石門心学を通して広島の文化について意見をもつことができる
授業計画 第1回 □講義ガイダンス(講義の進め方、評価方法などの説明)
□石門心学と広島の文化について ―心を重んじた人々と現代―
第2回 現代における石門心学の評価1
―著名人・企業倫理・経営者からの評価を通して石門心学の大枠をつかむ―
第3回 現代における石門心学の評価2
―研究者の評価や心学講舎の活動を通して石門心学の大枠をつかむ―
第4回 石門心学の開祖 石田梅岩は人々に何を伝えたかったのか?1
―心を磨き日々を暮らすことの大切さ:石田梅岩『都鄙問答』を読む―
第5回 石門心学の開祖 石田梅岩は人々に何を伝えたかったのか?2
―心を磨き日々を暮らすことの大切さ:石田梅岩『倹約斉家論』を読む―
第6回 石門心学を広めた人々の教えと工夫1
―楽しくわかりやすく伝える:『鳩翁道話』を読む―
第7回 広く石門心学を広めた人々の教えと工夫2
―楽しくわかりやすく伝える:教育システムや宣伝方法に触れる―
第8回 広島石門心学の教えと活動(江戸時代1)
―広島で活躍した人々:矢口来応・奥田頼杖・中村徳水―
第9回 広島石門心学の教えと活動(江戸時代2)
―実際の教えに触れる:『心学道の話』の全体像に触れる―
第10回 広島石門心学の教えと活動(江戸時代3)
―実際の教えに触れる:『心学道の話』を読む―
第11回 広島石門心学の教えと活動(江戸時代4)
―実際の教えに触れる:『山姥の弁儀』を読む―
第12回 広島石門心学の教えと活動(明治和時代)
―眠りにつく石門心学:武一騒動・宮本愚翁など―
第13回 広島石門心学の教えと活動(大正~昭和時代)
―目覚める石門心学―
第14回 広島石門心学の教えと活動(昭和~平成時代)
―よみがえった石門心学とその後―
第15回 □まとめ
□試験に関しての説明
授業外学習の課題 講義中に参考にすべき書籍・ホームページ等を紹介します
履修上の注意事項 ①古文・漢文・くずし字等の専門知識は必要としません
②私語を含め、他の受講者の迷惑となる行為は厳禁です
③配布プリントを基盤にポイント等を板書するスタイルで講義を進めます
④受講者数等の事情によりシラバスの順序・内容を予告の上、一部変更することがあります

【この科目は、グローバルコース対象科目(2014年度以降生)にもなっています。※ただし、一部の学部・学科では配当されていない場合があります。】
成績評価の方法・基準 試験(60%)
講義への取組み(40%)
テキスト 使用しません。毎回、資料を配布します。
参考文献 専門書①石川謙『石門心学史の研究』(岩波書店 昭和13)
専門書②及川大渓『広島の心学』(国書刊行会 昭和49)
一般書①平田雅彦『企業倫理とは何か 石田梅岩に学ぶCSRの精神』(PHP研究所 平成17)
一般書②柴田実『石田梅岩』(吉川弘文館 昭和63)
他にも様々な書籍が出版されているので講義の中で随時紹介していきます。
主な関連科目
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
講義前後の時間に対応します

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
人文学部人間関係学科心理学専攻(人間関係学科科目) 2011~2016 1・2・3・4
人文学部人間関係学科社会学専攻(人間関係学科科目) 2011~2016 1・2・3・4
人文学部人間関係学科社会学専攻(人間関係学科科目) FHHS21105 2017~2019 1・2・3・4
人文学部人間関係学科教育学専攻(人間関係学科科目) 2011~2015 1・2・3・4
人文学部教育学科(関連学科科目) 2016~2016 1・2・3・4
人文学部教育学科(関連学科科目) FHED15104 2017~2019 1・2・3・4
人文学部英語英文学科(関連科目) 2011~2016 1・2・3・4
人文学部英語英文学科(関連科目) FHEN21103 2017~2019 1・2・3・4