授業コード 30039600 クラス
科目名 特別講義A(国際人権論) 単位数 2
担当者 柳生 一成 履修期 後期夏季集中
カリキュラム *下表参考 配当年次 *下表参考

授業題目 国際人権論 Theory and practice of international human rights
授業の概要 第二次世界大戦後、国際的な人権保障制度の発展はめざましく、国連が人権の尊重を促進するほかにも、人権保障に関する条約が次々と作られ、各国による条約の遵守を監督する条約機関も設立されてきました。欧州などでは地域的な人権裁判所もできています。本授業は主に講義形式によって、それらの制度の歴史的発展と概要をみます。その中において日本との関係や重要な事例も扱い、「国際人権」とは言っても、実は市民の生活と密接に関係していることを認識してもらいます。
制度の全体像の理解にとどまらず、人権保障の意義や現在の課題などを考え、人権のより良い実現とは何かを探究することが本科目の目標です。
学習の到達目標 この授業を受けることで、①国内における人権の問題と国際的な人権保障のつながりを意識できるようになる、②国際的な人権保障制度の概要や専門用語の説明ができるようになる、そして③国際人権をふまえた論理的な観点から人権に関する時事的な問題を分析し、意見を形成できるようになることが到達目標です。
授業計画 第1回 ガイダンス・なぜ国際人権法を学ぶのか (プロローグ)
授業の進め方、成績評価、予習・復習の方法、関連科目との位置付けなどを説明し、国際人権論で扱う内容を説明します。カッコ内は教科書の該当箇所です。
第2回 国際人権法の意義 人権はなぜ国際問題となったのか (第1章)
各国の国内問題と考えられてきた人権保障が、国際的な問題として取り扱われるべきと認識されるようになった歴史的経緯を学びます。
第3回 国際人権法の内容① 国際人権の中心理念を考える (第2章)
「人間尊厳」や「平等原則」など、国際人権法の中核となる理念について、その歴史的発展と内容を見ます。
第4回 国際人権の内容② 世界各地の人権保障を考える(第3章)
世界に普遍的な人権保障とは別に、各地域にも人権保障制度が存在します。ヨーロッパとアメリカの制度を中心として、地域的人権保障の概要や特徴を見ます。とくにヨーロッパにおいては欧州人権裁判所や欧州連合(EU)司法裁判所が判決を積み重ね、それらが日本にも間接的に影響を及ぼすことがあります。さまざまな人権保障の仕組みを知ることで、望ましい人権保障制度を考察します。
第5回 国際人権の内容③ さまざまな人たちの人権を考える (第4章)
国際的な人権保障を実現するために主として用いられるのは条約であって、それらの多くは、人種差別および女性差別の撤廃ならびに子供の権利保護など、テーマ別に作成されています。各条約の特徴や保護する権利の内容を見て行きます。
第6回 国際人権の内容④ 見過ごされてきた人たちの人権を考える (第5章)
現在も世界各地で発生する難民に関する報道を目にしますが、難民とはどういった人たちのことを言うのか、国内避難民との違いなどを見ます。障害者の権利もここで勉強します。
第7回 国際人権法の意義⑤ 武力紛争における人権を考える (第6章)
武力紛争のニュースは現在も日々目にしますが、武力紛争の仕方にも国際人道法というルールがあります。国際人道法とは何か、国際人道法と国際人権法の関係などを見ます。
第8回 国際人権法の国際実施① 国連の活動を見る (第7章)
たとえ条約などに権利が定められていても、人権を保障する仕組みと、人権保護の実効性を監督する制度がなければ、権利は「絵に描いた餅」となってしまいます。国連人権理事会の制度を見つつ、国連の人権に関する主要な機関の機能を学びます。また第7回までの内容に関して小テストを行います。
第9回 国際人権法の国際実施② 国家報告制度を見る(第8章)
第5回の授業などで見た人権条約は、その加盟国に人権保護の実施状況を報告させ、それを評価する委員会(人権条約機関)を設立しています。国家報告制度の流れを見て人権条約機関の活動を学びます。ヘイトスピーチやジェンダーなどの問題を具体的素材として、日本の報告に対する諸委員会の評価を考えます。
第10回 国際人権法の国際実施③ 個人通報制度を見る (第9章)
人権条約は、個人が人権条約機関に自らの人権を侵害されたと通報することも認めています。ただしこの制度の利用は各国の選択に委ねられます。日本は自国民に個人通報を認めていませんが、規約人権委員会などの条約機関が出す見解も、日本が保障すべき人権の水準と無関係ではありません。個人通報制度の役割と概要、代表的な事件を見て、その意義と課題を考えます。
第11回 国際人権法の国際実施④ 国際的な刑事裁判を見る (第10章)
第2次世界大戦後、「戦争犯罪」や「人道に対する罪」を犯した個人の責任を追及する流れができ、国際的な刑事裁判所がいくつか設立されました。しかし近年においては国際刑事裁判所(ICC)の活動に対して批判的な国家も見られます。刑事裁判の手続と意義、および現在の問題点を見ます。
第12回 国際人権法の国際実施⑤ 国際的なNGO活動を見る (第11章)
人権保障の責任を第一義的に負うのは国家ですが、現在の国際社会においては、NGOが人権保障において果たす役割が大きくなっています。国連との連携なども含め、人権NGOを中心にその活躍を見ていきます。
第13回 国際人権法の国内実施① 人権訴訟を調べる (第12章)
人権条約は国家間で結ばれますが、各国の国内において、とくに裁判所が条約を適用したり参照したりして紛争を解決することがあります。日本の具体的な裁判例を見つつ、国内における条約の効力と人権保障の実効性について考えます。国家報告制度(第9回)や個人通報制度(第10回)との関係も意識して、国内人権訴訟の意義や課題を考えます。
第14回 国際人権法の国内実施② 人権を守る人たちについて調べる (第13章)
国内において人権保障に携わるのは裁判所に限られず、さまざまな機関が人権保護に関わっています。それらの機関の活動を見て行くとともに、日本の現状の課題も探ります。
第15回 国際人権法の未来 (エピローグ)
今までに勉強してきた国内外の人権保障制度を振り返るとともに、テロリズムを防止する必要とそれにまつわる人権の制限など、現代の国際人権法が直面する問題を考察します。第15回をレポート課題の提出期限とします。
授業外学習の課題 予習において、各回の授業に対応する教科書の該当章を事前に読み、分からない点を把握しておいて下さい。復習を重点的に行い、それと関連・並行させてレポート課題の準備を行って下さい。
履修上の注意事項 講義形式を中心としますが、必要に応じて受講者との質疑応答を交えて授業を進めます。国際法や憲法に関する前提知識は求めません。文献検索とレポートの書き方については基礎的なスキルを有していることが望ましいですが、必須とはしません。また不明な点は積極的に質問して下さい。
正当な理由なく4回以上の欠席をした者は単位取得ができません。正当な理由のない遅刻も欠席と同様に扱います。
成績評価の方法・基準 小テスト1回(計20%)、レポート提出(60%)、および授業への参加態度(20%)を基礎として総合的に評価します。
テキスト 芹田健太郎ほか『ブリッジブック国際人権法』信山社、2008、2500円、ISBN978-4-7972-2327-9
参考文献 ・参考書 申惠丰『国際人権法』信山社、第2版、2016
・必要に応じ、各回の参考文献を追加で指示するほか、資料としてレジュメを配布します。
主な関連科目
オフィスアワー及び
質問・相談への対応
授業終了時に質問を受け付けます。

■カリキュラム情報
所属 ナンバリングコード 適用入学年度 配当年次
法学部法律学科(発展科目) 2007~2016 2・3・4
法学部法律学科(発展科目) FLLA30920 2017~2017 2・3・4